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03月01日-一般質問-03号

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  1. 新潟県議会 2021-03-01
    03月01日-一般質問-03号


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    令和 3年  2月定例会 本会議令和3年3月1日(金曜日)  議事日程 第3号    午前10時開議第1 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(小島隆君、上杉知之君、秋山三枝子君、高橋直揮君、池田千賀子君、重川隆広君)   ――――――――☆――――――――出席議員(53名)          河原井 拓 也 君  小 山 大 志 君  中 川 隆 一 君  高 見 美 加 君          保 坂 裕 一 君  与 口 善 之 君  桜 庭 節 子 君  斎 京 四 郎 君          中 村 康 司 君  松 原 良 道 君  笠 原 義 宗 君  高 橋 直 揮 君          宮 崎 悦 男 君  青 柳 正 司 君  横 尾 幸 秀 君  皆 川 雄 二 君          小 林 一 大 君  冨 樫 一 成 君  楡 井 辰 雄 君  小 島   隆 君          佐 藤   純 君  桜 井 甚 一 君  岩 村 良 一 君  沢 野   修 君          尾 身 孝 昭 君  柄 沢 正 三 君  小 野 峯 生 君  帆 苅 謙 治 君          渡 辺 惇 夫 君  石 井   修 君  星 野 伊佐夫 君  樋 口 秀 敏 君          小 島   晋 君  池 田 千賀子 君  高 倉   栄 君  上 杉 知 之 君          大 渕   健 君  長 部   登 君  小 山 芳 元 君  小 泉   勝 君          杉 井   旬 君  重 川 隆 広 君  秋 山 三枝子 君  片 野   猛 君          市 村 浩 二 君  安 沢 峰 子 君  遠 藤 玲 子 君  青 木 太一郎 君          佐 藤 浩 雄 君  小 島 義 徳 君  佐 藤 久 雄 君  渡 辺 和 光 君          飯 野   晋 君議員以外の出席者  知事           花角 英世 君  副知事          佐久間 豊 君  副知事          米澤 朋通 君  知事政策局長       小岩 徹郎 君  総務管理部長       笠鳥 公一 君  県民生活・環境部長    村山 雅彦 君  防災局長         熊倉  健 君  福祉保健部長       松本 晴樹 君  産業労働部長       橋本 一浩 君  観光局長         佐野 哲郎 君  農林水産部長       山田 治之 君  農地部長         緒方 和之 君  土木部長         金子 法泰 君  交通政策局長       田中 昌直 君  会計管理者兼出納局長   本間由美子 君  病院局長         藤山 育郎 君  企業局長         桑原 勝史 君  教育長          稲荷 善之 君  人事委員会事務局長    川上 克也 君  警察本部長        山本 有一 君  労働委員会事務局長    綱島 知子 君  監査委員事務局長     山田富美子 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(桜井甚一君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(桜井甚一君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、小島隆君の発言を許します。小島隆君。   〔小島隆君登壇〕(拍手) ◆小島隆君 自由民主党の小島でございます。おはようございます。では、よろしくお願いいたします。 さて、冒頭から大変私ごとで恐縮でありますけれども、私は1963年に東京に出まして、27年後の1990年に命ぜられて新潟に戻り、新潟で4年間勤務する機会がありました。ちょうどその頃は、新潟と仙台との間で、都市力といいますか、インフラ整備といいますか、両市の比較が話題になっておりました。世間の評判では、専ら互角と言われていたと思います。私もそう思っていました。 事実、特に交通インフラに関しましては、空港、高速道路、港湾と、仙台に比べて劣ってはいなかったと記憶しています。しかし、それから30年余、改めて仙台と比べて、どうでしょうか。 1つ、空港を例に取りますと、新潟に国際線が就航したのは仙台よりかなり早く、1973年にハバロフスク線、1979年にはソウル線が就航しました。それに対して仙台は、1990年のソウル便が最初であります。つまり新潟が仙台よりもかなり早く国際化していたわけであります。乗降客数については、1990年当時で、新潟空港と仙台空港との差は約100万人、新潟のほうが少なかったのでありますけれども、最近の2018年では、新潟の116万人に対して仙台空港は360万人と、差が250万人に広がってしまいました。 新潟は、先輩方の御尽力のおかげで、道路、空港、港湾、新幹線など交通インフラは比較的早くから整備されてきたと思っています。当時、それらは決して仙台に劣るものではなかったと思います。しかし、その後ですけれども、早くに整備された財産を生かして活用し、さらに発展させることに十分であったか、十分な努力をしてきたのでしょうか。 今日は、新潟の拠点性という観点から、交通インフラを中心に諸課題について、順次一般質問させていただきたいと思います。 最初に、知事にお伺いしたいと思うのですが、今、私は勝手な感想で、本県の拠点性としての地位が相対的に低下したのではないかというようなことを申し上げましたけれども、知事は総体的な、つまり総じて新潟の現状について、どんな感想をお持ちでしょうか、最初にお伺いしたいと思います。 続いて、個々の課題について伺ってまいりたいと思います。 まず、新潟空港に関連してお伺いします。 空港へのアクセスの改善については、これまで新幹線空港乗り入れ、あるいはモノレールなど軌道系アクセスが検討されてきました。新幹線乗り入れについては、議論が三十数年近く続いてきたでしょうか。 米山前知事は、空港利用者が135万人を超えたら導入について具体的に検討するとされました。新潟空港への新幹線乗り入れの建設費用は422億円かかると承知していますけれども、航空機利用者がたとえ135万人を達成したとしても、建設費用に見合うのか、したがって本当に新幹線乗り入れが実現できるのか、いささか疑問を持たざるを得ません。 知事は、この考え方、すなわち135万人に達したら乗り入れを検討するという考え方を踏襲していると認識していますけれども、引き続きこのまま踏襲されるのでしょうか。また、あるいは、今後、軌道系アクセスについて新たな考え方をされることはあるのでしょうか、お伺いいたします。 さて、軌道系アクセスの実現に向けては、航空機利用客数の増加を目指すだけでなく、空港自体へ訪れるお客様の数を増やすことが重要であります。そのためには、空港運営の民間委託、すなわちコンセッションの導入等によって空港の活性化を図るなど、策を講じる必要があると考えます。 そのコンセッション導入については、県、新潟市、経済界、交通事業者、学識経験者などで構成する新潟空港活性化検討会議において、国の資産調査の結果を踏まえながら、コンセッション導入の可能性について議論を深めることになったと聞いています。 今後のコンセッション導入の可能性、また導入に向けた今後のスケジュールについて、知事の所見をお伺いいたします。 この検討会議には、民間事業者をはじめ、新潟市も参加しています。コンセッション導入に向けた議論に当たっては、新潟市との連携が欠かせません。市との連携はどうなっているのか、新潟市のコンセッション導入に対しての姿勢はどうなのか、県としての認識をお伺いいたします。 今、全国でコンセッション導入の流れが加速しています。関西の3空港のほか、これまでに5つの空港、北海道7空港は1つと数えてですが、コンセッションを導入しました。現在進行中の広島の次として、新潟が俎上に上っています。 これまでコンセッションを導入した空港は、いずれも空港利用客が200万人を超える空港です。乗降客数が110万人から120万人程度の新潟空港は、コンセッション導入には程遠いと思われていたのですが、ここに来て、新潟空港のコンセッションに関心を持つ企業が出てきていると聞いています。この背景には、国においてコンセッションを積極的に拡大する方針に加えて、新潟空港についてはトキエアの計画自体が大きな反響を呼んでいることがあるかと思います。 知事は、関西国際空港等のコンセッションに関わってこられたと聞いています。知事の御経験から、コンセッションに関し何かと御感想があると思いますが、こうしたコンセッションに関心を持つ企業の協力を生かしながらコンセッション導入を進めていくことは、新潟空港の活性化を図る上で千載一遇のチャンスではないかと思っています。 コンセッションが導入され、新潟空港が活性化していけば、さらなる国際線の誘致につながりますし、国内各地への路線が拡充すれば、新潟空港が日本海側の内外を結ぶハブ空港としての役割を担うときが来るかもしれません。 コンセッション導入に関心を持つ企業の、民間企業の知恵を生かしながらコンセッションを進めるべきと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 コンセッションの導入による将来の新潟空港の発展について、知事はどのような期待をしておられるのか、所見をお伺いいたします。 さて、トキエアですが、就航すれば、新潟空港の利用客の増加に貢献するだけでなく、新潟空港のコンセッションに関心を持つ企業の呼び水となっており、新潟空港に新たな展開をもたらしていく上でも重要な役割を担う存在になると認識しています。 そのトキエアの現在の進捗状況をどう認識しておられるか、お伺いします。 また、トキエアに対して、県では事業の進捗状況に応じて最大限の対応をしていくとしてこられましたが、現在の状況を踏まえ、県としてどのような支援をしておられるのか、知事にお伺いいたします。 次に、新潟港に関連してお伺いします。 2年前に埼玉県のある運送会社から、熊谷駅にあるJR貨物の操車場を活用し、インランドポートを整備して、これまで利用していた京浜港ではなく、JR貨物で輸送して、新潟東港から輸出入させたいとの提案がありました。 この提案の一つのポイントは、新潟東港のオン・ドック・レールの復活です。現在は、岸壁までの800メートルの線路が撤去されていて、藤寄駅までしか運用されていません。京浜港は今や満杯状態で、トラックは常に四、五時間待ちとも聞いています。また、鉄道利用へのモーダルシフトは、国も推奨するカーボンニュートラルにも貢献するところですし、加えて鉄道による運送コストも競争力があると聞いています。 これまで、集荷が思うようにいかない、あるいはロシア極東との横断航路の失敗などから、総体的に東港への関心は限定的であったと感じています。そんな中、牧草、木材チップの輸入事業が動きつつあります。そこへ、この埼玉の動きです。新潟東港にとって大きな発展につながる可能性が生まれつつあります。 この機に、この構想の前提となる新潟東港オン・ドック・レールの復活に努めるべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 この埼玉の構想にはオン・ドック・レールのほかに、JR貨物の採算面での問題や、技術的には清水トンネルを40フィートハイキューブコンテナが通れないなど、解決すべき課題も多いと聞いています。 しかし、県としてこれらの課題に正面から取り組んでいただいて、JR貨物のみならず国にも働きかけて、この物流ルートを築いてほしいと思います。知事の所見を伺います。 さて、新潟港は港湾計画が6年前に改定されましたが、港湾計画に沿った事業が展開されているのでしょうか、現時点での進捗状況をお伺いいたします。 また、国際コンテナターミナルの既存岸壁の西側への延伸工事は進んでいるのでしょうか。 また、コンテナターミナルは現時点でもコンテナヤード用地が不足しているとも聞いています。今後の関東地域からの貨物の増加を見越せば、コンテナヤード用地の拡張も必要と考えますが、そのために、港湾計画にある南埠頭の泊地の埋立てについてはどう進めていくのでしょうか、併せてお伺いいたします。 新潟港の港湾計画の中で、新潟西港に9万トン級のクルーズ船が接岸できる岸壁が位置づけられていますが、実現の見通しについてお伺いいたします。 また、今、柳都大橋の下手に水域を占用しているプレジャーボートの係留設備を、万代島入り江に整備する計画もありますが、併せてこの計画の進捗状況をお伺いいたします。 さて、その新潟西港ですが、万代島の再開発の中心である、万代島地区のにぎわい創出に関して、有識者で構成する、万代島地区賑わい創出検討委員会が開催され、万代島将来ビジョンの実現に向けた検討内容が取りまとめられたとのことであります。 検討委員会の取りまとめでは、取組を早期に着手すべきとしていますが、将来ビジョンの実現に向けて、具体的に県としては今後、どのように対応していくのか、お伺いいたします。 県は昨年、低速電動バスによる万代島地区内のアクセス改善について、実証実験を行いました。その評価についてお伺いいたします。 また、同様の電気自動車は、全国各地で実用化されているようですが、県としては、今後、実際に活用の計画があるのか、お伺いいたします。 さて、新潟駅の高架化が間もなく完成します。令和5年度と聞いています。関係者のみならず、県民、市民がひとしく待ち望んだ完成であります。新しい新潟駅が、新潟県の窓口として、県民、市民のみならず、訪れる方々にも感銘を与え、印象深い、県都にふさわしい駅に生まれ変わってほしいと願うところであります。 改めて、この新潟駅の高架化の完成に、知事は何を期待するのか伺うとともに、まちづくりや交通の結節点などの観点から、今後、新潟駅がどうあるべきか、所見をお伺いいたします。 ところで、完成とはいっても、ハード的に残された課題はまだ多いのではないでしょうか。例えばバスタの構想がありますが、このバスタへのアクセス道路がどうなるのか。また、新潟駅の南北を結ぶ道路計画のうち、まだスケジュールが決まっていない東跨線橋の整備など、課題は多々残されていると思っています。 県は、政令市が誕生したときに高架化事業を新潟市に移管しましたが、当初計画したのは県ですし、移管に当たって県は40億円を超える交付金を市に交付しています。さらに、新幹線と在来線の乗換同一ホーム、対面ホームの設計変更費用に5億円を負担したと記憶しています。 こうした経緯を踏まえれば、新潟駅の高架化に関連する残された課題について、新潟市に対し積極的に働きかけていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 さて、ハード面だけではなく、ソフト面でも新潟駅の交通結節点としての機能を高め、その利便性を内外にPRする必要もあるかと思っています。 新潟空港や佐渡汽船の利用者の利便性を向上させ、利用者増に結びつけるため、新潟駅構内に、新潟空港や佐渡汽船の発着案内板を設置し、新潟駅で空港や佐渡汽船への乗換駅としての臨場感を醸し出すような演出をしたらと考えますが、県の所見をお伺いいたします。 さて、バスタ構想については、国主導で、新潟市が協力する形で進み、県はその検討会に委員として関わっていますが、県内高速バスの発着所、また県外への高速バスの拠点としてのターミナル機能に加え、バスタ機能の上層部の民間施設として、アリーナ等も例示されているとのことです。 県として、構想の実現に向けて主体的に取り組むべきではないでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。 高架化完成時の高架下の通行ですが、バス、タクシーなど公共交通のみが通行可能とされています。BRTないしLRTが、富山駅のように、南北を貫いて走る計画もありましたが、今は新潟駅南方面への延伸については白紙となっています。 結局のところ、その高架下を公共交通が通る基幹公共交通軸の南北一体化の計画については、具体的に向けた検討はこれからと聞いています。本来新潟市の事業ですが、県としても、県の顔としての新潟駅の在り方に大きな影響を与えると思われる、公共交通の南北の貫通という高架下の利用方法について、県としても無関心でいるべきではないと思います。知事の所見をお伺いいたします。 次に、下越、上越の時間距離問題についてお伺いいたします。 上越地域と下越地域との時間距離を縮めるための議論が続いています。何とかこの時間距離による分断を縮めていかなければならないと考えますが、上越地域からは、富山、石川、長野県庁、ひょっとすると群馬県庁ですら新潟県庁よりも近いというような指摘がありました。 こうした上越、下越の分断状況に対する知事の認識を伺うとともに、具体的にどう対処されていくのか、基本的な考えを知事にお伺いいたします。 これまで、この問題解決の手法として、羽越新幹線、在来線高速化としてのフリーゲージトレインなどの議論がありました。 羽越新幹線については、費用、また実際の工事開始時期を考えると、とても現実的ではありません。そこで、現実的な案として、新潟から金沢まで上越・北陸新幹線を相互乗り入れして、長岡-糸魚川間の在来線を高速化し、新潟と金沢を約1時間半で結ぶ中速新幹線を2年前に提案させていただいたわけであります。 ただ、この約2年間ですが、常任委員会、特別委員会、また一般質問でも取り上げさせていただきましたが、議論の中で中速新幹線の定義に関して共有化できていないこともあって、前向きな議論になっていなかったと思っています。 県の答弁でも、在来線を時速200キロで走るには、たとえ4線にして広軌にしても、急カーブ、踏切は安全なのかという技術論、あるいは法的な問題点などが指摘されました。 フリーゲージトレインが候補から消えてからは、県では在来線の高速化を目指すとしているわけですが、その高速化の具体的なイメージについてお伺いいたします。 また、その中で中速新幹線はどう位置づけられるのでしょうか。中速新幹線構想について県はどのように捉えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。 在来線の高速化については、国が、幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査において検討していて、その結果を待つというのが県の姿勢であります。県としては、現実に在来線の高速化が課題になっているわけですから、国の検討を待たずに、あるいは並行して、県が主体的に調査研究を進めるべきと考えます。この2年間、そのように県に提案してきましたが、しかしながら今回の予算案では、会議費程度の計上しかありません。 中速新幹線も含めた在来線の高速化に対する県のこの問題に対する姿勢について、改めて知事の所見をお伺いいたします。 さて、上越と下越の時間距離を縮めるために、鉄道ばかりが話題となってきていますが、ここで発想を180度変えて、上越地区に空港を整備して、新潟と上越を空路で結ぶというのはどうでしょうか。確かに、県内に2か所空港があってもおかしくありません。日本海側では、石川県、山形県には県内に2か所空港があります。島根県は、面積は新潟県の約2分の1強、人口も約4分の1強ですが、隠岐も含めて3つの空港を持っています。 夢のような話ですが、上越地域に空港を整備するというアイデアについて、知事の感想をお伺いしたいと思います。 次に、国際交流拠点ということでお伺いいたします。 金子元知事が、就任当時、政策目標を示すキャッチフレーズの一つとして、環日本海フロントを掲げられました。新潟県として、対岸諸国との交流の日本海側の窓口を目指すという宣言であったと理解しています。それ以来、一種のブームとなった環日本海時代の幕開けでもありました。 今、県のシンボルマークとして使われている紺地に白の扇の90度のマークは、そのときに作られました。私も当時、そのマークの選定委員を務めさせていただいたので、懐かしく思い出します。 さて、対岸諸国のうち、ロシアとの交流については、その後、定期航空便の開設、極東2州との交流提携協定締結などがあって、新潟が環日本海交流の拠点として順調な時期もありました。しかし、近年は、定期航空路の休止、横断航路の失敗などで停滞ぎみの感は否めません。 しかし、最近のプーチン大統領、安倍前首相の連携で、極東地方に再び脚光が当たってきたようです。そんな中、呼応するように、新潟に関連する民間企業によって、牧草の輸入、バイオマス発電の燃料となる木材チップの輸入事業などが動きつつあります。 幾多の変遷はありましたが、今後、ロシア極東地区との定期航空路が復活し、民間による輸入事業などによって、またオン・ドック・レールの復活が契機となって横断航路が実現するようなことがあれば、改めて新潟が北東アジアとの拠点として、存在感を発揮する時代が来るのではないかと期待しています。 こうした中で、一昨年の夏に知事が自ら極東2都市を訪れましたが、極東地方との交流についての認識を伺うとともに、今後はどう県として対応していくのか、所見をお伺いいたします。 さて、環日本海交流ブームの中で、1993年にシンク・アンド・ドゥ・タンクとしてERINAが創設されました。最近になって、ERINAの今後の在り方について、統合ないしは廃止論が提起されていることは御案内のとおりです。県財政危機の中、ERINAへの拠出金30億円の可否をめぐって、あるいは対岸諸国の政治的な状況の変化等もあって、今後の在り方について見直すべき時期に来ていることも確かであります。 しかし、今後の方向性の検討に当たっては、約30年余りの歴史的経緯も踏まえ、ERINAがこれまで果たしてきた役割、実績、築いてきた人的ネットワークなどを、県外及び国外からの評価も含めて、公正に評価することも極めて肝要と考えます。また、新潟県の要請に応じて出捐してくれている近隣10県と新潟市に対しての丁寧な説明も求められます。 そこで、改めて伺いますが、ERINAについてこれまでの県はどのように評価しているのでしょうか。 また、出捐自治体や過去にERINAに携わった方々など関係者による評価を踏まえ、ERINAの今後の在り方を議論すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 最後の項として、エネルギー拠点という観点で2点お伺いいたします。 知事は、冒頭の提出議案説明の中で、県の基本的な政策として、脱炭素社会の構築を目指すと熱く述べられました。国は、昨年12月にカーボンニュートラル宣言を行いましたが、それに先立って、県は9月に同様の表明をしたところです。また、先日の県共催の日露エネルギー・環境対話において、参加した北東アジア各国に対して、産業振興課長がパネラーとして力強く県の姿勢を発信しておられました。県の意気込みを感じますし、予算案の中に関連施策が盛り込まれていることも評価したいと思います。 脱炭素社会を目指す中で、知事はまた、再生可能・次世代エネルギー利活用を加速することが重要とされました。こうした中、先般は新潟東港におけるバイオマス発電事業が発表され、また村上市・胎内市沖の風力発電の検討も進んでいると理解しています。水素エネルギーの利活用の検討も緒に就いたと聞いています。 民間におけるこれらの具体的な事業について、県はどのように評価し、どのように支援していくのか、2月22日の議案の説明の中でも触れておられましたけれども、改めて知事の所見をお伺いいたします。 脱炭素時代を迎えて、今後も本県が再生可能エネルギー供給だけでなく、カーボンニュートラルを目指す国の先頭に立ち、時代の転換に貢献していくことは県民にとっても誇らしいことであります。また、先般、港湾機能の活用も含めたカーボンニュートラルポートとして、全国で6地域の一つとして指定されたことは、県のそうした取組が国に評価されたものと思われます。 今後の取組をお伺いするとともに、知事の決意もお伺いしたいと思います。 質問は以上でありますが、新潟の拠点化という観点から、今後の新潟の発展に関わる課題について取り上げさせていただきました。 知事は、住んでよし、訪れてよしの新潟県づくりを目指しておられます。私も大賛成であります。 この住んでよし、訪れてよしに加えて、新潟県の拠点性の向上を図り、この新潟県を県民にとって夢のある、誇りの持てる新潟県になってほしい、あるいはそうしたいと、それが私の願いでもあります。 微力ではありますけれども、今後も研さんを積み、精進を重ね、新潟の発展のために働いてまいりたいと思います。 今後の新潟のさらなる発展を願って、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 小島隆議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、本県の拠点性に関する認識についてでありますけれども、議員もおっしゃいましたが、本県は、日本海側唯一の政令市を擁するとともに、上越・北陸の2つの新幹線や新潟空港、日本海側拠点港の新潟・直江津港、県内外をつなぐ5つの高速道路網が整備され、日本海側の表玄関として今後も発展する基盤を備えております。 しかしながら、最近の港湾のコンテナ取扱貨物量や外国人延べ宿泊者数などが、近隣県と比較し伸び悩んでいる状況もあることなどから、本県の拠点としての優位性は相対的に低下している面があるものと認識しています。 本県の拠点性向上のためには、引き続き県内港の機能強化や、新潟空港の路線ネットワーク充実などを図るとともに、県内企業の海外展開や海外誘客の拡大等の取組を進めていくことが重要であると考えています。 また、本県の顔であると同時に玄関口でもある新潟市の都市機能の向上も必要であることから、まちづくりの主体である新潟市と連携をして魅力向上に取り組んでまいりたいと考えています。 次に、新潟空港の軌道系アクセスについてでありますが、空港への軌道系アクセスの整備は、空港の活性化や本県の拠点性向上などにつながる効果的な手段の一つであると考えています。 一方、その実現には、財源の確保や鉄道事業としての採算性等の課題があるものと認識しています。 新型コロナウイルスの影響により航空需要の回復は不透明な状況でありますけれども、従来の方針を踏まえ、状況を見極めつつ、まずは、路線ネットワークの強化や短中期的に実行可能なアクセス改善の取組により、空港利用者を増やすことで、できる限り早期に軌道系アクセスの本格的な検討を開始できるように努めてまいりたいと思います。 次に、新潟空港におけるコンセッション導入の可能性及び今後のスケジュールについてでありますが、新潟空港におけるコンセッション導入に当たっては、空港全体の収益力を向上させ、民間企業が参入可能かどうかの観点が重要であると認識しています。 現在、コンセッション導入の可能性を判断するために、国による資産調査が行われており、令和3年4月以降、調査結果が示される見込みと聞いております。 県といたしましては、令和3年度の新潟空港活性化検討会議等において、国の資産調査の結果を踏まえながら、コンセッション導入の可能性について議論を行い、地元自治体としての意向を示していくこととしております。 次に、コンセッション導入における民間企業の知恵の活用についてでありますが、新潟空港におけるコンセッション導入は、個別に運営されている滑走路、ターミナルビル、駐車場等について、民間の創意工夫を生かし、一体経営を実現するものであり、議員御指摘のとおり、民間企業の知恵を生かしながら進めていくことが必要であると考えています。 導入に当たっては、民間企業が参入可能かどうか判断できることが重要であり、現在、国が実施している新潟空港の資産調査においても、民間企業と参入可能性について意見交換を実施することとされています。 県といたしましても、このような民間企業の意見等も踏まえながら、コンセッション導入の可能性について議論してまいります。 次に、コンセッション導入による新潟空港への期待についてでありますが、コンセッションが導入される場合は、民間による創意工夫を生かした空港の一体経営が実現されることで、着陸料の柔軟な設定等を通じた航空ネットワークの充実や、空港自体のにぎわい創出等により、新潟空港の利用拡大や、空港の活性化及び拠点化の推進が図られることを期待しています。 このことで、ひいては内外の交流人口拡大による地域の活性化にもつながるのではないかと考えています。 次に、トキエアの進捗状況と県の支援についてでありますが、トキエアは、現在の非常に厳しい航空情勢においても、令和4年7月の就航に向け、航空運送事業許可申請の準備等の取組を進めていると承知しています。 県といたしましては、新型機材受入れのために必要となる佐渡空港の環境整備を図るなど、就航に備えた対応のほか、事業者の資金調達において、企業や金融機関に対し、県の支援姿勢をアピールするなどの協力を行っているところです。 今後も、事業者との意思疎通を図りながら、運航を開始する際には、トキエアの安定運航のため、運航経費や利用促進の取組に対する支援等を検討してまいります。 次に、東港オン・ドック・レールの復活についてでありますが、議員御指摘の牧草等の輸入事業や、熊谷インランドポート構想の実現は、新潟港利用の鉄道貨物の掘り起こしに寄与することが期待されます。 県ではこれまで、新潟東港の取扱貨物量に与える効果を見極めるため、この構想の事業主体となる協議会への出席や、新潟東港の視察への対応など、協議会の活動に関与してきたところです。 オン・ドック・レールの復活については、現状では収支のめどが立つ貨物量の確保が見通せていないことから、北関東圏の荷主企業等に対するポートセールスやセミナーの実施といった活動を積み上げ、事業化に必要となる輸出入貨物量の確保に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、熊谷インランドポート構想における採算面や、技術的課題に対する県の対応についてでありますが、現状では、国内の輸出入コンテナ貨物の多くがトレーラーにより輸送されていますが、鉄道による物流ルートを築くことは、環境負荷の低減やドライバー不足の解消に貢献することから、この構想に限らず、物流全体における課題の解決につながるものと認識しています。 議員御指摘の採算面や、技術的課題の解消に向けては、JR貨物をはじめとする関係者の努力や協力・連携に加え、国の協力や支援なども必要となることから、県といたしましても、国や関係者への働きかけ等を行ってまいりたいと考えております。 次に、新潟駅の高架駅完成への期待等についてでありますが、新潟駅が高架化され、道路網や広場の整備が進められることで、鉄道横断部の混雑緩和と鉄道を挟む南北市街地の一体化が図られ、都市機能が集積し、駅を中心としたにぎわいと魅力の創出につながるものと考えています。 また、この後に予定する駅直下バスターミナルの供用によって、鉄道とバスとの接続が改善することで、交通結節拠点としての駅の利便性が向上していくものと期待しているところです。 新潟駅は、県都である新潟市の玄関口であると同時に、県内外との交通の結節点であり、新潟県の顔としても重要な役割を担っていることから、本県全体の拠点性向上の観点からも、魅力や利便性の向上をより一層図っていくことが重要と考えています。 次に、新潟駅周辺地区のまちづくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、新潟駅の高架化は令和3年度に完成する予定と聞いておりますが、新潟駅周辺地区において、さらなるにぎわいと魅力を創出し、交通結節点としての駅の利便性をより向上させるためには、計画されている施設を今後も着実に整備することが重要であると認識しています。 県といたしましては、新潟市が主催する新潟駅・万代地区周辺まちづくり協議会などの会議を通して、新潟駅周辺地区のまちづくりが円滑に進み、本県の拠点性向上に、より一層寄与するものとなるよう働きかけてまいりたいと考えております。 次に、中長距離バスターミナル構想についてでありますが、バスターミナルの整備は、現在、国と新潟市の連携の下で進められており、これまで必要な施設や整備手法などについて検討がなされてきたところです。 県といたしましては、新潟駅を中心とした広域的な交通結節機能の強化が、本県のさらなる拠点性の向上につながるよう、国や新潟市との意思疎通を図りつつ、広域自治体の立場から、魅力あるバスターミナルの実現に向けた検討に、積極的に関わってまいります。 次に、新潟駅高架下の利用方法についてでありますが、新潟駅高架化の完成後に予定する駅直下バスターミナルの供用により、鉄道とバスの乗換利便性や市内の回遊性が向上し、駅を中心とした公共交通ネットワークの強化が図られるものと期待しています。 このバスターミナルの運営を含む都市交通に関する課題は、新潟市において検討されるものではありますけれども、県都である新潟市の公共交通の充実は、県全体の拠点性の向上につながることから、県といたしましても、より広域的な観点から、しっかりと関心を持ち、バス路線等公共交通網の利便性の向上が図られるよう、新潟市に求めてまいりたいと考えております。 次に、上越地域と下越地域との時間距離に関する認識についてでありますが、北陸新幹線の開業により、上越地域とその隣県都市との時間距離が大きく短縮した結果、新潟との間の交通アクセス利便性が、相対的に低下している状況にあることは認識しています。 県といたしましては、これまで関係同盟会等と連携を図り、JRに対し上越地域と新潟を結ぶ優等列車の充実などを強く求めてきたところであり、今後も働きかけを行うとともに、JR東日本新潟支社との信越本線の高速化に関する検討や、高速バスネットワークの維持・確保など、基幹交通網の充実と利便性の向上に取り組んでまいります。 また、日本海国土軸の形成にもつながる羽越新幹線の実現に向けて、関係県と連携しながら国等への働きかけを継続してまいります。 次に、在来線高速化の具体的なイメージと中速新幹線構想についてでありますが、高速化の手法としては、乗車時間の短縮を図るための運転速度の向上や、乗換時間の短縮を図るための新幹線と在来線の直通運転化などの、投資が必要となる取組とともに、乗換ダイヤの調整などの短期的な取組も考えられるところです。 また、中速新幹線構想については、これら乗車時間の短縮と乗換時間の短縮の両方の要素を取り込んでおり、実現すれば、新幹線と在来線の直通運転化をはじめ、交流人口の拡大や本県の拠点性の向上にもつながるものと考えておりますが、これまでの在来線の考え方を大きく超える鉄道の高速化に関する提案であることから、その実現には、技術的な課題や法令上の対応など、まずは国レベルでの検証が必要と考えております。 次に、中速新幹線構想も含めた在来線の高速化に対する県の姿勢についてでありますが、在来線の高速化による利便性向上や都市間のアクセス改善は重要と考えており、フリーゲージトレインの導入断念以降も、関係同盟会等と連携をして、JRに対し優等列車の充実等を働きかけるとともに、JR東日本新潟支社との勉強会において、高速化の方策等の検討を進めてきたところです。 今年度、国土交通省において、中速新幹線構想にもつながる、在来線の高速化に向けた検討が行われていることから、県といたしましては、その状況等を積極的に情報収集するとともに、在来線の高速化等に資する内容は、県内路線への適用可能性など、現在進めている勉強会の検討に取り込んで、調査研究を行ってまいりたいと考えております。 次に、上越地域における空港の整備についてでありますが、上越地域に空港が整備され、新潟空港を結ぶ路線が開設されることは、上越地域と下越地域の移動時間が短縮し、交流人口の拡大や地域活性化にもつながるものと思っています。 一方で、空港整備に係る国の基本方針においては、配置的側面からの整備は全国的に見れば概成していることから、離島を除き新設を抑制することとされています。 いずれにいたしましても、空港整備の実現に向けては、地権者からの用地提供の同意取得や就航する航空路線の確保、採算性のある需要見込みなども必要であり、相当ハードルが高いものと考えています。 次に、ロシア極東地域との交流についてでありますが、新潟とハバロフスク間の定期航空路が1973年に開設され、1990年には県・地方政府レベルでの交流が始まるなど、本県と極東地域とは長い交流の歴史があります。 私も、一昨年、沿海地方とハバロフスク地方を訪問いたしましたが、これまでの交流の実績をベースに、双方にメリットのある具体的な成果に向け、様々な分野の交流を進めることで合意したところです。 今年度は、海外との渡航制限等の影響があり、オンラインを活用するなどして対応しているところですけれども、いずれこの事態が収束した際には、ロシア極東地域との交流をさらに進め、航路、航空路の拡大や経済交流の活性化につなげてまいりたいと考えています。 次に、ERINAに対する評価と今後の在り方についてでありますが、ERINAについては、行財政改革において統廃合なども含む見直しの検討を行うこととされ、その後の県議会での御議論や県出資法人経営評価委員会での検証においても県経済にどれだけ貢献しているか分からないといった大変厳しい評価や御指摘があったことを踏まえ、今般、県としての見直しの方向性を明らかにしたものであります。 一方で、北東アジア地域の経済に関する情報収集・発信や調査研究、国際会議の開催などを通じ、ERINAが本県のこの地域における情報の拠点化に一定の役割を担ってきたことは評価しており、その過程で諸外国との人的ネットワーク等も形成されてきたものと考えています。 このため、今般のERINAの見直しに際しては、議員御指摘のように、こうした点についての評価や今後のニーズについて、引き続き、出捐自治体なども含め関係者の御意見を伺いながら、研究資産の蓄積等を踏まえ、行財政改革の観点のみならず、時代の変化に即した北東アジア研究等を効果的に推進する等の観点から、新たな組織体制への移行について、検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、県内における再生可能・次世代エネルギー関連の事業と県の支援についてでありますが、議員御指摘のバイオマスや洋上風力発電、水素エネルギーの利活用の取組は、地球温暖化防止に資するとともに、本県のエネルギー拠点化にもつながり得るもので、いずれも地域の雇用拡大や、県内企業の新規参入など、本県経済への波及効果が期待できるものと考えております。 洋上風力発電につきましては、村上市・胎内市沖の促進区域の指定を目指し、利害関係者との調整を進めてまいります。 水素の利活用に向けては、国や民間企業等と本年1月に協議会を設立し、本県におけるカーボンニュートラル化に向けた産業ビジョンを策定するとともに、具体的な実証事業の検討を進めてまいります。 あわせて、バイオマス発電計画につきましても、事業者の計画の熟度に応じた適切な支援を行ってまいります。 次に、カーボンニュートラルに向けた今後の取組についてでありますが、将来の世代に安全で快適な環境を継承できるよう、地球温暖化対策を強化する必要があり、あわせて、こうした対策を通して経済社会のイノベーションを促進することで、本県の活性化につながる脱炭素社会の構築を目指してまいります。 新年度には、本県の特性や課題等を踏まえ、関係者と合意形成を図りながら、脱炭素社会構築に向けた産業や家庭など部門ごとの具体的な戦略を検討してまいります。 また、脱炭素に向けては、再生可能・次世代エネルギーの利活用を加速していくことが重要であり、洋上風力発電や議員御指摘の新潟港におけるカーボンニュートラルポートの形成など水素の利活用、地域循環型の再生可能エネルギーの導入を促進するとともに、脱炭素技術のイノベーションや省エネ・省資源の促進にも取り組んでまいります。   〔交通政策局長田中昌直君登壇〕 ◎交通政策局長(田中昌直君) 6点についてお答えいたします。 新潟空港のコンセッション導入に向けた新潟市との連携等についてでありますが、議員御指摘のとおり、新潟空港活性化検討会議には新潟市も参画し、新潟空港のコンセッション導入について、歩調を合わせて議論を行ってきたところであり、今後も、国の資産調査の結果を踏まえながら、その可能性について検討していくこととしております。 新潟空港の活性化や拠点化を目指し、コンセッションの導入を議論していくという姿勢は、新潟市とも共有できているものと考えており、引き続き、新潟市を含めた官民の関係者で緊密に連携を図りながら、議論を進めてまいります。 次に、新潟港の港湾計画における事業の進捗状況についてでありますが、新潟港の港湾計画において、現在、取り組んでいる主な事業といたしましては、西港区の信濃川左岸地区で港に親しめる水際空間づくりのための緑地整備を行っており、万代島地区では大規模地震発生時における緊急物資等の輸送機能を確保するため、耐震強化岸壁の整備に向けて検討を進めているところです。 また、東港区では、南埠頭岸壁において大型クルーズ船受入れに対応した施設を整備し、昨年度までに8隻の大型クルーズ船の寄港が実現したほか、最寄りの高速道路のインターチェンジへのアクセス性向上のため、臨港道路の整備を進めているところです。 これらはいずれも、おおむね計画に沿って事業を進めております。 一方、議員御指摘の東港におけるコンテナターミナルの岸壁延伸及び南埠頭の泊地埋立てによるヤード拡張については、現時点では、貨物量の確保が見通せていない状況にあることから、施設整備の着手には至っておりませんが、今後のコンテナ取扱貨物量の推移や新たな外貿航路の就航の動向等を見極めながら、整備の必要性を検討してまいりたいと考えております。 次に、新潟西港におけるクルーズ船岸壁の実現見通しとプレジャーボートの係留施設計画の進捗状況についてでありますが、当該岸壁は港湾計画において、新たな海上輸送ネットワークの構築に向け、内貿貨物を取り扱うRORO船の利用のほかに、西港への大型クルーズ船の入港が可能となる岸壁として位置づけたものです。現時点では貨物量の確保が見通せていない状況であることから、施設整備の着手には至っておりませんが、今後、港湾背後の内貿貨物の動向を見極めながら、事業化を検討してまいりたいと考えております。 また、万代島入り江のプレジャーボート係留施設は、河川の増水時に流木等が衝突しボートが損傷するおそれがあることから計画に位置づけたものです。整備に当たっては、入り江内の複数の既存利用者の移転が必要であることから、現在関係者間で協議調整を行っているところであり、この調整が整い次第、整備に着手してまいります。 次に、万代島地区将来ビジョンの実現に向けた対応についてでありますが、検討委員会のまとめでは、検討すべき取組の方向性として、民間のセンス・アイデアによる集客の強化などの民間活力の導入や、将来ビジョンの着実な推進などが盛り込まれております。 県といたしましては、万代島地区の振興などを目的に設立された県出資法人に対する県の関与を見直し、民間活力をこれまで以上に発揮してにぎわいづくりに取り組めるよう検討を進めるとともに、万代島地区のアクセス改善や万代テラスを活用したにぎわい空間づくりなど、将来ビジョンの実現に向けた取組を着実に進めてまいります。 次に、低速電動バスの評価と実用化についてでありますが、今年度の実証事業は8月から10月までの58日間で2,163人の利用がありました。 利用者へのアンケート結果から、好意的な評価として、眺望を楽しめる信濃川沿いのルートや目新しいバス自体への関心、電動バスの安全性、快適性などが挙げられました。 一方で、今後の必要な改善点として、運行本数の増便、万代シテイや新潟駅方面との連携、乗車定員の増員などに対する意見が寄せられたところです。 議員御指摘の電動バスは、今後、運行本数やルート等を見直していく中で、燃料電池バスを含む他の手段との比較検討が求められますが、いずれにしても、県としては、これらの課題を踏まえ、令和3年度は、運行本数やルートの面で、引き続き万代島地区のにぎわい創出と併せたアクセス改善の手法について検討を行ってまいります。 次に、新潟駅での効果的な発着案内板の設置についてでありますが、公共交通網の結接点である新潟駅における、新潟空港や佐渡汽船の発着情報の提供は、利用者の利便性を確保する重要な取組であり、現在も、事業者や関係団体が、空港及び佐渡汽船に向かう、それぞれのバス乗り場付近に発着案内板を設置して、利用者への情報提供に努めているところです。 今後、新潟駅の高架駅全面開業に向けた準備の本格化に合わせて、議員御提案の演出も含め、新潟空港や佐渡汽船のより効果的な発着案内板の設置など、情報提供の手法について、関係者と協議を行ってまいりたいと考えております。 ○議長(桜井甚一君) 小島隆君の質問は終わりました。 次に、上杉知之君の発言を許します。上杉知之君。   〔上杉知之君登壇〕(拍手) ◆上杉知之君 未来にいがたの上杉知之です。通告に従い、順次質問いたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 新型コロナウイルス感染症の第3波は、全国レベルで見ると一部地域で緊急事態宣言が発出されましたが、本県においては県独自の警報は発令されたものの、医療従事者をはじめとする関係者の皆様による御尽力と県民の皆様の御協力により、ある程度感染拡大が抑制できていると認識します。 しかしながら、政府の緊急事態宣言と県独自の警報から自粛ムードが一気に広まり、本県では店舗の時短要請などは出ていないにもかかわらず、飲食業界を中心に県内経済は必要以上に冷え込んでいます。 感染拡大が見られる都道府県との往来は極力控えなければなりませんが、感染防止対策を徹底することに留意すれば、ほぼふだんどおりの生活を送ることができると考えてよいのではないでしょうか。 県民の不安を解消し、県内経済を維持するために、感染状況と県民生活について、改めて、より丁寧な説明が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。 県と新潟市は、PCR検査の結果、陽性が判明した方の居住地、年齢、性別などを連日のように公表しています。ニュースでは、これで県内の感染者は何人になりましたなどと累計人数が報道されることも多いのですが、累計人数よりも、現時点で何人が入院しているかという点が重要であります。 また、どこの誰が感染したということよりも、感染した人がどのような場面で感染したのかという情報がより丁寧に伝えられるべきと考えます。 感染の経路や原因などの情報を詳しく伝えることが、県民に過度な不安を与えることなく、また、さらなる感染拡大を防止するためにも重要なのではないかと考えますが、所見を伺います。 このたび、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、緊急事態宣言下において、休業や時短の要請に応じず命令にも違反した事業者に対する罰則規定が盛り込まれました。しかしながら、様々な理由から休業や時短の要請には応じられない、罰金を払ってでも営業したほうがよいという声も聞こえています。 今後、本県に緊急事態宣言が発出されるような事態になり、休業や時短を要請しなくてはならなくなったとき、要請に応じない事業者を特定及び指導するだけでも大変な労力が必要になると考えます。 知事は、御理解を頂けるよう説明を尽くすとされていましたが、緊急事態宣言が発出される感染状況であれば、そこに割ける人的余裕も厳しいと想像します。 罰則の適用に対し県はどのように対処するのか、知事の所見を伺います。 休業や時短の要請が出された場合、正当な理由なく要請に応じない場合、知事は命令できるとされ、逆に正当な理由があれば命令できず罰則も適用されないということになりますが、何をもって正当とするのかが国会の議論では不明なままでした。 事業者の立場からすると、十分な補償がなければ営業して従業員の生活を守ることも、要請に応じない正当な理由になるという考え方もあると思います。 休業や時短の要請に応じない正当な理由の判断基準について、知事の所見を伺います。 休業や時短の要請に応じた事業者に支払う協力金について、これまでのような一律幾らというやり方では、複数の店舗を経営する事業者や立地条件がよく家賃負担の大きい事業者などからは不公平との意見があります。 また、協力金の金額が少なければ、たとえ罰金を払ったとしても命令に従わずに営業したほうがよいという事業者が出てくることも考えられますが、本県における協力金の支給基準について、知事の所見をお伺いします。 これまで感染拡大の局面では、飲食店等に対し時短営業が要請されてきましたが、問題なのは営業時間ではなく、感染防止対策を徹底しているかどうかなのではないでしょうか。感染防止対策を徹底していなければ、昼間であろうと感染リスクは高いでしょうし、対策を徹底していれば、深夜であってもリスクは低いはずです。 休業や時短の要請をする前に、まずは改めて事業者に対して店舗等の感染防止対策の徹底を呼びかけることが急務であります。その上で、感染防止対策が講じられていることを店頭にきちんと表示してもらうこと。そして、その表示について広く県民に周知することで、県民が感染リスクの低い店舗を利用する流れをつくることが、感染防止の強化と経済対策の両立を図る上で重要と考えますが、知事の所見を伺います。 全国的なGo To トラベルキャンペーンが中止となる中、県内の観光産業はぎりぎりの状況に追い込まれています。県は、今定例会冒頭の補正予算で新たな県民向け宿泊割引キャンペーンを実施することとしましたが、その開始日については決まっておりません。とにかく早急に実施すべきです。 また、低価格帯の宿泊施設にも適用できるよう対象金額を下げたことは評価できますが、全体の割引額は、Go To トラベル等、他の割引と併用できるとはいえ、前回のキャンペーンと比較するとインパクトに欠けており、Go To トラベルキャンペーンの再開が見通せない現状においては、観光需要喚起につながる前回並みの割引内容に拡充すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 あわせて、県内スキー場においても緊急事態宣言により首都圏からの利用客がいなくなり、大変厳しい状況が続いています。県民や近隣県限定の割引プランを独自に販売しているスキー場もあります。 にいがたスキーONI割キャンペーンについても県民限定等で早急に販売を再開し、残り少ないスキーシーズンの営業を少しでも後押しすべきと考えますが、知事の所見を伺います。 Go To イートキャンペーンについては、県独自の警報発令を受けてプレミアム食事券の販売を一時停止していましたが、利用については現在も継続して可能です。警報の内容からすれば、一概に飲食の自粛を要請すべき状況にはなく、販売を停止していても利用が可能というのは分かりにくい対応ではないでしょうか。 冒頭補正では飲食店への事業継続支援金も盛り込まれましたが、県内の飲食店はこの年度末を乗り切ることが困難なほど疲弊し切っています。支援金の支給を可及的速やかに行うことはもちろん、必要以上の自粛ムードを解消するために、Go To イートキャンペーンのプレミアム食事券についても早急に販売を再開すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 緊急事態宣言による休業や時短の要請がなくても、感染拡大により影響を受ける業界は飲食店のほかにも多くあります。飲食店のように時短要請が出されれば協力金が支給されますが、要請されない業界は支援金の仕組みから取りこぼされます。また、飲食店であっても、もともと閉店時間が午後8時より早かった店舗なども協力金の支給対象外でした。 地域経済の底支えについては、時短要請に対する協力金という仕組みではなく、人件費や家賃補助など、あらゆる業界に対応した事業継続のための支援策が求められていると考えますが、知事の所見をお伺いします。 新型ウイルス禍における各種対策では、地域によって感染状況に差がある中、より地域の実情を反映した対策が求められており、知事の果たすべき役割は大きいと考えます。 これまで緊急事態宣言やGo To キャンペーンなどについて、国と各知事との意見交換、知事会からの提言などが繰り返し行われてきました。より現場に近い知事からの積極的な提言に対し、国の動きはスピード感に欠け、常に後手に回っているようにも見えます。 先日、島根県知事が聖火リレーの中止を表明したのも、感染拡大地域とそうでない地域への支援に不公平があるとの理由もあると言われています。 Go To キャンペーンなどは、都道府県が独自に設計できるよう交付金を増額し、地方に任せるべきであり、国はもっと地方の意見を尊重し、役割分担を整理すべきと考えます。 これまでの感染症対策に係る政府の対応について、国と地方との意思疎通や役割分担はうまく機能していると思われるか、知事の所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響により仕事がなくなり、生活困窮に陥る人が増加しています。こうした方に対する経済的な支援ももちろん重要ですが、目には見えにくい心の支援も欠かせないと考えます。生活困窮のほか、自粛生活の長期化によるストレスなどに起因するDVや児童虐待なども増加傾向にあるとされ、今後さらに深刻化する懸念もあります。 政府は、国民民主党の求めに応じ、孤独・孤立対策担当大臣を任命し、内閣官房に対策室を設置、孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラムを開催するなど、こうした問題に本格的に取組を進めることとなりました。 県は、県内におけるDVや児童虐待などの現状をどのように把握しているのか伺うとともに、これまで以上に丁寧な対応が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響による生活困窮から、自殺の増加も懸念されています。厚生労働省のデータでは、2020年の自殺者数は全国・県内ともに11年ぶりに増加しています。特に8月以降の女性の増加が目立ち、芸能人の自殺報道が影響しているとの見方もありますが、新型ウイルス禍による生活困窮も大きく影響している可能性も否定できません。当面の対策として、国及び県からは相談窓口の充実などの対策が示されていますが、誰にも相談せず突然命を絶つケースも少なくありません。 県としても相談窓口の充実とともに、心配される人を積極的に見つけ出し、関係機関が連携してアプローチしていくという取組が重要になると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、原発問題について伺います。 言うまでもなく、柏崎刈羽原発の再稼働には県民の安心が欠かせません。安心とは安全プラス信頼だと言われます。たとえ技術的に安全が確認されたとしても、その検証過程や安全をつかさどる組織に信頼がなければ安心は得られません。 IDカードの不正使用や安全対策工事の未了など、このところの東京電力による不祥事の連続は、もはや一つ一つ取り上げるまでもなく、県民の信頼を完全に失墜させました。 そして、IDカードの不正使用問題では原子力規制庁もその事実を原子力規制委員会に速やかに報告していなかったこと。また、これだけ県民が不安に思っていても、原子力規制委員会は適格性とは別問題だとするなど、規制する側も県民の信頼を裏切る対応をしています。 昨今の問題は東京電力のみならず、原子力規制庁・原子力規制委員会など、原子力行政全般に対しての信頼が揺らいでいる極めて重大な問題だと思いますが、知事の所見を伺います。 また、県の原子力行政に対しての信頼が揺るぎかねない問題があります。県の技術委員会の人事について、今回、年齢要件で再任しないことに対し、一部の委員からこれを不服とし、再任を求める声が上がっています。たとえ巷間ささやかれるような恣意的な理由がないにしても、検証作業が大詰めを迎えたこのタイミングでの委員の変更は、県民にあらぬ疑念を抱かせて当然のことと思います。 福島原発事故の検証期間中のみ例外的に年齢要件を適用していなかったとの説明ですが、そのことは、検証が始まる前や検証中の任期更新時期に、委員の方々には御承知おきいただいていたのでしょうか。 交代される委員の方に御納得いただき、県民の理解を得られる対応がなければ、技術委員会だけでなく、全ての検証委員会に対する県民の信頼も得られなくなるおそれもあると考えますが、知事の所見を伺います。 このたび、3つの検証のうち健康・生活委員会から、福島第一原子力発電所事故による避難生活への影響に関する検証結果が報告されました。報告では、震災前の社会生活や人間関係などを取り戻すことは容易ではない。広域避難が発生すると、避難元の属性や避難先の自治体間における支援策の違いなどにより、支援対象から外れてしまう人たちが生まれる。避難者ごとに課題が個別化・複雑化する中で、生活を取り戻すために長期の支援が必要とされるといった課題が挙げられています。 こうした課題を回避するためにも、まずは原発事故を起こさないことが大切ですが、それでも事故が起きた場合に、これらの課題をどのように解決するのか、再稼働の議論を始めるには、その答えを出しておかなければならないと思います。 このたびの検証結果からは国や県において解決すべき課題も読み取れると思いますが、報告内容に関する知事の所見を伺います。 知事はこれまで、3つの検証が示された後に原発再稼働の議論を始めるとしてきましたが、避難委員会における議論については、課題の抽出までが任務であり、課題への対応は県の仕事としています。また、技術委員会で抽出された課題については、国及び事業者等が対応すべきともされています。 さきの健康・生活委員会で指摘された課題も含め、3つの検証委員会の仕事が課題の抽出までであるとしたら、3つの検証が示された後に原発再稼働の議論を始めるとしても、さらに、これら3つの検証委員会で抽出された課題に対する対応策がそれぞれ国、県、事業者等から示され、その対応策についての検証も必要になると考えますが、さらなる検証作業に県としてどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 知事は再稼働の判断について県民の意思を確認するとしていますが、広大な本県においては、原発立地市村、30キロ圏、県内全域など地域によって県民の意識も大きく違ってくると考えます。 例えば、ある町にごみ処理場を造る場合、町民全てに意見を聞くと賛成多数になるが、建設地周辺に限ると反対多数ということがあり、住民投票にはその範囲をどのように設定するかという問題がある。これは、私が学生時代に習った地方自治論の基礎的問題であります。 これまで他の地域における地元同意の事例を見ると、県の判断は立地市町村の同意に基づくケースが多いようです。 知事は立地市村以外の市町村の意見も取りまとめた上で判断するとの立場であったと承知していますが、県民の意思を確認する場合の、県民の範囲をどのように考えるのか、知事の所見をお伺いします。 過日、新潟市で開催された東京電力による柏崎刈羽原発の安全対策に係る地元説明会に参加をいたしました。IDカード不正使用問題や工事未了問題に対し、会場から厳しい意見、批判が出ることは予想していましたが、全体として参加者と事業者とのコミュニケーションがうまく取れていないと感じました。事業者と県民との間で議論の土台がそもそも違っているという感じです。安全対策の話は技術的に少し難しいのかもしれませんし、国のエネルギー政策や避難方法の課題などについては、事業者ではなく、国や自治体からの説明が求められます。 再稼働の議論をするに当たっては、エネルギー政策全般や事業者と行政の役割など基本的な情報を改めて県民と共有しなければ、県民の意思を確認することもできないと考えますが、知事の所見をお伺いします。 県民の意思を確認するにしても、知事が一方的に選択肢を提示するだけでなく、県民が本当に知りたいこと、重視する課題などについて双方向のやり取りが必要と考えます。 知事の公約には、検証結果は広く県民の皆さんと情報共有するとともに、県民の皆さんの評価を頂き、納得いただけるかを見極めます。その上で、結論を得て県民の信を問うことを考えますとされていました。 情報共有についてはさきの項目で述べましたが、知事は県民の皆さんからどのような形で評価を頂くおつもりでしょうか。 私は、県民の皆さんから納得いただけるか見極めるためには、県民の理解度を定期的に調査するアンケートを実施すべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 知事は原発再稼働の判断について、県民の信を問う、県民の意思を確認するとされてきましたが、その方法については、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で、決めているものはありませんと具体的に言及はされてきませんでした。 昨年12月定例会において、知事が県議会の意見を踏まえた上で結論を示すという答弁をされてからは、県民は、県議会の意見が県民の意思とされてしまうのではないか、自らの意思を伝える機会が本当にあるのかと不安に思っています。 東京電力の不祥事が相次ぎ、再稼働に向けた工程は振出しに戻った感もあり、3つの検証が示されるまで再稼働の議論は始められないとしても、県民の意思を確認する方法についての議論は、そろそろ始めてもよい時期に来ているのではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。 最後に、生き物と環境問題についてお伺いします。 知事は、住んでよし、訪れてよしの新潟県を目指していますが、それは生き物にとっても住んでよし、訪れてよしであるべきと思います。 日本は今、空前のペットブームです。新型ウイルス禍による巣籠もり需要もあるのか、ペット市場は急速に拡大しています。一方で、安易にペットを飼い始めたものの、様々な理由から手放さざるを得なくなるケースもあり、中にはかわいくなくなったからという理由だけで行政に引取りを願い出るケースもあるとのことです。 行政に預けられた犬や猫は、譲渡会などを通じて第二の飼い主を探すことになりますが、病気や性格などの理由からどうしても譲渡には適さず、やむを得ず殺処分されるケースもあります。 幸いにして、動物愛護センターや動物愛護団体による御尽力のおかげで、本県における犬の殺処分は全国に比べ相当少ないほうでありますが、猫の殺処分は野良猫の自然繁殖や病気などの理由でまだまだ多いのが実情です。 今後、災害の多発や高齢化の進展などにより、引取り手のないペットの問題が深刻化するという懸念もあります。 行政や民間団体の努力だけでは限界があり、多くの県民の皆様に現状を知っていただき、一つでも多くの小さな命を救うため、力を合わせて取り組む必要があります。 そのためにも、難しい課題ではありますが、県として殺処分ゼロに向けた目標設定の見直しと啓発活動の強化が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 空前のペットブームの中、今般、動物の愛護及び管理に関する法律が改正され、飼養施設の構造・規模、環境の管理、繁殖の方法等の基準案が具体的に示されました。 ペット業界では、首都圏などペットの需要が高まっている地域などにおいて、劣悪な環境で繁殖を繰り返すなどの悪質業者が問題となっています。身動きも取れないようなおりの中に閉じ込められ、ふん尿にまみれながら、まだ幼いうちから何度も繁殖、帝王切開を繰り返され、自分の親や子、そして人間の愛情を知らずに物同然に捨てられていく業界の闇を見ると、心を痛めずにはいられません。悪質業者でなくても、愛好家の多頭飼育が崩壊するケースもあります。 本県における悪質事案の発生状況を伺うとともに、ペット業界や多頭飼育に対して、県として十分な管理体制が取れているのか、所見をお伺いします。 次に、野鳥や野生生物についてです。 現在、本県の複数箇所において洋上を含む風力発電構想が進んでいると承知しています。再生可能エネルギーの推進に向けて風力発電には大きく期待するところでありますが、一方で、風力発電施設による渡り鳥への影響を懸念する声もあります。特に県内は冬場になるとハクチョウをはじめとする多くの渡り鳥が飛来し、地域に愛されるとともに、観光の一助にもなっています。これまで環境省や鳥類研究所、野鳥の会などにより、風力発電が野鳥の渡りに及ぼす影響と対策について、研究と議論がされてきましたが、いまだ解明できていない部分も多くあると聞きます。 県では現在構想中の風力発電施設が、本県に飛来する渡り鳥に与える影響をどのように評価しているか伺うとともに、影響があるとすれば対策はどうするのか、所見をお伺いします。 近年、県内各地で猿、熊、イノシシなどによる被害が多発しています。個体数の増加も一つの要因とされており、県では対策のための調査と狩猟による駆除に取り組んでいると承知しています。 一方で、山に動物の餌となる植物がなくなってきているなど、本来の生息域である山の荒廃も要因の一つと言われています。かつては人間がきちんと手入れをしていた里山に手をかけなくなってきたことで、自然のしっぺ返しを受けているのだと考える人もいます。 有害鳥獣対策の一つとして、里山の手入れや人里との緩衝帯の整備など、駆除と併せて生息域の環境改善にも並行して取り組む必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 本県は、県として2050年までに脱炭素社会の構築を目指すとし、新年度予算案の中でも脱炭素社会への転換が重点的な取組として挙げられています。脱炭素社会の構築に向けては、エネルギー政策、産業構造、ライフスタイルの転換など、国レベルの大きな課題が多々あります。そうした中でも、本県が県レベルでできることにはどのようなことがあると考えているのか伺います。 その上で、脱炭素社会への転換は当然行政だけでできることではないので、事業者や県民の協力を仰ぎつつ進めなければならず、そのために目標を共有し、達成に向けた具体的な戦略が必要になると考えますが、知事の所見を伺います。 昨年からスタートしたレジ袋の有料化により、県内においてもレジ袋の削減は一定程度進んだと承知しています。 しかしながら、レジ袋の削減は、あくまでも消費者の環境意識啓発の入り口でしかなく、その本来の目的であるプラスチックごみの削減には、まだまだ課題が多いのではないかと考えます。 潟、川、海など県内の水辺にも大量のプラスチックごみが散乱しています。海洋プラスチックは生態系に大きく影響し、大気中にもマイクロプラスチックが確認され、人間の健康に害を与える危険性も指摘されています。 こうした問題の解決には、レジ袋の有料化にとどまらず、容器包装や製品自体の脱プラスチックが必要です。 県内企業においても包装資材のプラスチックを減らす取組を進めている事業者などもあり、消費者に対する啓発活動や事業者の取組を支援するなどの取組が必要と考えますが、所見をお伺いします。 最後に、新年度予算案には、食品ロス削減推進計画の策定に向けた予算が盛り込まれましたが、この取組には大いに期待するところであります。 これから世界が向き合う大きな問題の一つに食料危機があります。日本は食料自給率が低いといいながらも、大量の食べ残しを排出しています。国全体でこの無駄を省いていかなくてはならないのですが、本県は、うまさぎっしりと食の魅力を売りにする農業県でもあり、本県から食品ロス削減を訴えることには大きな意味があります。 昨今は、宴会の席でも初めと終わりは席を立たず料理を楽しもうという動きが広がっていますが、ホテルなどでは残り物の持ち帰りはまだまだ難しいのが現状であります。食品ロス削減には、事業者による取組はもとより、県民一人一人の意識改革が重要です。 まずは、残さず食べよう!にいがた県民運動の啓発をより一層強化するなど、知事が先頭に立って県の本気度を県民に示すことが必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 以上で一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 上杉議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、警報発令に伴う丁寧な説明についてでありますが、本県においては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能とするため、専門家の意見を伺った上で独自の基準を設け、感染状況に応じた感染拡大防止の呼びかけを行っているところです。 県民が適切な行動を取れるよう、県内への呼びかけの趣旨の具体的な説明をはじめとして、首都圏と本県の感染状況が異なり、それにより生活上の活動自粛の度合いも変わることなど、より丁寧な説明に努めてまいります。 次に、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく要請に応じない事業者への対応についてでありますが、県といたしましては、感染拡大防止のためにそうした要請が必要となった場合には、法律に規定された事項について、労力の多寡を問わず、適切な対応を取っていく必要があると考えています。まずは、そのような事態に至らないよう、感染状況を注視しながら早期の段階で注意喚起を行うなど、必要な対策を行ってまいりたいと考えております。 次に、要請に応じない正当な理由の判断基準についてでありますが、国からの通知によりますと、正当な理由は限定的に解釈されるべきものとされ、経営状況等を理由に要請に応じないことは正当な理由がある場合に該当しないものとされているところです。 なお、実際の運用に当たっては、対象となる事業者からの協力を得ることが最も大切であると考えており、要請の趣旨を御理解いただくために説明を尽くすなど、謙抑的に考えてまいりたいと思っております。 次に、営業時間の短縮要請等に関する協力金の支給基準についてでありますが、協力金の支給の在り方について、公平性の観点などから様々な意見があることは承知しています。 また、要請の実効性を確保するためにも、事業者の経営に与える影響への不安を払拭することが必要であり、従業員数など事業規模に応じて支給することが望ましいと考えています。 県といたしましては、全国知事会を通じて、国に対し事業規模に応じた支給の在り方等について検討するよう、要請しているところです。 次に、店舗等が講じる感染防止対策の徹底とその表示についてでありますけれども、県では、業界団体が策定したガイドラインなどに基づく感染防止対策の徹底を繰り返し呼びかけるとともに、店舗等が自ら行う取組を分かりやすく表示するピクトグラムなどの提供により、県民の皆様が安心して利用いただけるよう、感染防止対策の見える化を後押ししているところです。 また、店舗等において感染が確認された場合に、速やかな相談や検査につなげる、新潟県新型コロナお知らせシステムの登録店舗等であることを掲示していただくことも、感染拡大防止の取組のPRにつながるものと考えています。 引き続き、商工関係団体などとも連携をし、これらの取組について県民への周知を進め、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。 次に、県民宿泊割引キャンペーン等についてでありますが、新型コロナウイルスの感染再拡大により、昨年末から再び落ち込んだ観光需要の回復を図るため、現在、新たな県民宿泊割引キャンペーンの実施に向けた準備を進めているところです。 また、これまでの実績を踏まえ、宿泊施設の直接予約を割引対象とするほか、他の割引支援との併用を可能とするなど、利用者と宿泊施設双方に、より広く恩恵が及ぶよう改善を図った上で、感染状況を注視しながら、開始時期を判断したいと考えています。 加えて、感染拡大防止の観点から、リフト券等の販売を停止している、にいがたスキーONI割キャンペーンについても、感染状況を注視しながら、販売の再開時期を判断してまいりたいと考えています。 次に、Go To イート食事券の販売再開についてでありますが、昨年12月に、Go To イートキャンペーンについて、国から各都道府県に対し、地域ごとの感染状況を踏まえて、キャンペーンの運用見直しを検討するよう強い要請がありました。 これを受け、専門家会議の委員の意見も踏まえ、本県における事業の実施主体である共同事業体とも協議した結果、販売の一時停止を要請したものです。 本県では、昨年の警報発令以降、新規感染者数は減少傾向にあるものの、今後も状況を注視していく必要があると考えており、Go To イート食事券の販売再開についても、専門家の意見なども踏まえて、適切に判断してまいりたいと考えております。 次に、事業継続に向けた支援策についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、緊急事態宣言の発令や営業時間の短縮要請の有無にかかわらず、地域の経済に大きな影響を与えているところであり、その範囲も飲食業にとどまらず、観光、交通など幅広い業種に及んでおります。 このため、影響を受けた事業者が広く活用できる事業継続のための支援策が重要と考えており、保証料負担をゼロとする新たな制度融資の創設や事業継続応援金の要件の緩和、新たなチャレンジへの支援などを本議会にお諮りしたほか、持続化給付金の再支給等についても、全国知事会を通じて国に対し要請をしているところです。 次に、国と地方との意思疎通や役割分担についてでありますが、未曽有の感染症に対応するに当たり、これまで本県を含め地方自治体は、地方の意見が国の政策に反映されるよう、全国知事会等を通じて国との意見交換を頻繁に行ってまいりました。 その結果、関連法の改正や手厚い財政措置などの成果につながったところであり、国との意思疎通や役割分担についてはおおむね適切であったものと考えています。 次に、DVや児童虐待への対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、自粛生活によるストレスや、子供の見守り機会の減少による潜在化の可能性も含め、DVや児童虐待の増加が懸念されることから、相談の動向を注視するとともに、さらなる窓口周知や、民間団体とも連携した地域での見守りネットワークの強化など丁寧な対応に努めてまいります。 なお、本県の現状については、福祉保健部長からお答えいたします。 次に、自殺の相談窓口の充実等についてでありますが、令和2年の本県の自殺者数は前年より増加しており、県では議員御指摘のように、相談窓口を充実するため、来年度、新型コロナウイルス感染症の影響により不安やストレスを抱える方などの相談に応じる専用窓口を精神保健福祉センターに設置してまいります。 また、心配される方への対応については、住民に最も身近な市町村において、住民の変調などに気づき、関係機関と連携してきめ細かい支援を行うことができるよう、県としては、身近なところで、気づき・見守りを行うゲートキーパーの養成や、様々な職種や機関との連携調整を担う市町村職員の研修などに取り組んでいるところです。 引き続き、生きづらさを抱えた方が、周囲の気づきや見守りにより家庭や地域の中で孤立をせず、また、早期に相談機関につながり必要な支援を受けることで、生きやすいと感じることができる社会の実現を目指してまいります。 次に、原発問題についてお答えします。 まず、原子力行政全般に対する信頼についてでありますが、今般の東京電力の一連の不祥事は、柏崎刈羽原子力発電所全体に対する信頼を失いかねないものと考えています。 このような事案、事態を生じさせたことは、東京電力の管理能力について、何らかの形で改めて評価すべきことであると考えており、原子力規制委員会など政府におかれては、原子力行政全般についての県民の信頼を確保するためにも、厳格かつ適切に対応いただきたいと思います。 次に、技術委員会委員の選任についてでありますが、技術委員会は柏崎刈羽原子力発電所の安全管理・安全の確認のために平成15年に設けた委員会であり、各分野の専門家に最新の知見に基づき、客観的かつ科学的に議論していただいており、これまでも適宜、多くの委員が交代してきているところです。 平成23年の福島原発事故発生を受け、県から技術委員会に対し、臨時的に福島原発事故原因の検証を依頼したことから、この検証作業が行われている間は、県の要綱にある例外規定を適用し、委員を再任してまいりました。 今回の委員選任は、昨年10月にこの福島原発事故原因の検証報告書が取りまとめられたことを受け、県の要綱を踏まえて行いたいと考えています。 次に、避難生活への影響に関する検証結果についてでありますが、検証結果の主な結論として7項目にわたり、長期の避難生活の中で生じている様々な問題を御指摘いただいており、福島原発事故がもたらした避難生活の実態を、県民にも分かりやすく示していただいたものと考えております。 次に、検証において抽出された課題への取組についてでありますが、技術委員会においては、福島第一原発事故原因の検証により課題や教訓を抽出し、それらに対する国や東京電力の対応を柏崎刈羽原発の安全対策の確認の中で議論していただいております。 また、避難委員会においても、避難に係る課題を抽出し整理したものが検証結果となるものと考えており、課題への対応については、広域避難計画を策定する県として対策を検討し、国、市町村、関係機関と連携をして課題の解決に取り組み、その結果を適宜計画に反映することによってその実効性を高めてまいりたいと考えています。 次に、意思を確認する県民の範囲についてでありますが、3つの検証が終わっておらず、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で、県民の意思を確認する方法について決めているものはありません。 次に、再稼働の議論をするに当たっての県民との情報共有についてでありますが、再稼働については、3つの検証結果が示された後に議論を始めたいと考えています。 エネルギー政策全般の情報等については、再稼働の議論を始める始めないにかかわらず、国が責任を持って、国民の理解促進に努めてもらいたいと考えております。 次に、県民の皆様の理解度を調査するアンケートの実施についてでありますが、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で、県民の意思を確認する方法について決めているものはありません。 次に、県民の意思を確認する方法についてでありますが、3つの検証が終わっておらず、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で、県民の意思を確認する方法について決めているものはありません。 次に、生き物と環境問題についてお答えします。 まず、犬や猫の殺処分ゼロに向けた取組についてでありますが、現行の新潟県動物愛護管理推進計画における殺処分数の目標は既に達成されておりますが、将来的な殺処分ゼロを目指し、さらなる削減を盛り込んだ新たな計画の策定作業を行っているところです。 この目標の達成に向け、ボランティアとの連携を強化し、県で保護した犬や猫の譲渡をこれまで以上に推進するとともに、ペットの適正な飼育方法について普及啓発に努めてまいります。 次に、野生鳥獣の生息域の環境改善についてでありますが、議員御指摘のとおり、山にある杉人工林やかつての薪炭林などは、手入れが行き届いていないため、近年、やぶ化・過密化が進んでおり、野生鳥獣が人目につかず、住宅地等へ容易に近づくことができる状態にあると認識しています。 このため、県では、鳥獣被害対策支援センターが中心となり、有害鳥獣を人里へ寄せつけない取組や捕獲、県民への注意喚起等の対策に取り組んできたところですが、さらに強化するため必要な予算を本議会にお諮りしているところです。 引き続き、市町村や関係団体等と連携をし、捕獲を強化していくとともに、里山の緩衝帯整備や広葉樹の育成等による多様な森林整備を通じて、野生鳥獣の生息域の環境改善に取り組み、人と野生鳥獣が共生できる環境づくりを進めてまいりたいと考えています。 次に、県の温暖化対策及び事業者、県民との協力等についてでありますが、県では、国の定める地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画等、国全体の方向性を踏まえ、地域の実情に応じた再生可能エネルギー等の導入や、県民、事業者の省エネ行動の促進など、県として重点的に取り組むリーディングプロジェクトの着実な推進が必要と考えています。 加えて、温室効果ガスの削減目標を確実に達成していくためには、議員の御指摘どおり、県民、事業者、団体、行政の各主体が連携・協働した取組を進めていくことが重要であり、新年度には、関係者と合意形成を図りながら、脱炭素社会構築に向けた産業や家庭など部門ごとの具体的な戦略を検討してまいります。 次に、食品ロスの削減に向けた県民への啓発についてでありますが、食品ロスの削減には、議員御指摘のとおり、県民一人一人がその必要性について理解を深め、日々の暮らしの中で行動に移すことが重要であると考えています。 県では、家庭や外食での食べ残しをなるべく減らすように呼びかける県民運動を展開しており、今年度より新たに、SNSを活用した情報発信や、スーパーマーケットなどの協力店による利用客への呼びかけに取り組んでいるところです。 今後は、多様な主体と連携しながら一体となって啓発に取り組めるよう推進協議会を設置し、さらなる県民意識の醸成に努めてまいりたいと思います。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) 2点についてお答えいたします。 風力発電施設が渡り鳥に与える影響についてでありますが、一定規模以上の風力発電事業など、大規模な開発事業の実施に当たっては、環境影響評価法により、あらかじめ事業による様々な環境への影響を評価し、住民や県などの意見を踏まえて、環境影響をできる限り回避・低減するよう配慮することが事業者に義務づけられております。 風力発電事業においては、渡り鳥など鳥類の衝突等のリスクが考えられるため、その影響について調査、予測及び評価が行われ、結果を踏まえて、風力発電機の位置・配列の変更や、運転時の稼働調整といった対策が実施されております。 県といたしましては、引き続き、環境影響評価の手続の中で、専門家の意見等を踏まえ、事業者に必要な対応を求めてまいります。 次に、プラスチックごみの削減についてでありますが、プラスチックは便利で有用な素材であるため、その削減は容易ではありませんが、過剰な使用の抑制や循環利用を図ることは重要であると考えております。 このため、県では3R推進キャンペーンや、にいがた環境フェスティバル等の啓発活動を実施してきたほか、今年度からは、県自らが会議等におけるペットボトルの使用抑制や、代替素材への切替えに率先して取り組んできたところです。 今後とも、効果的な啓発に努めるとともに、プラスチックのリサイクルを実施する事業者への支援を拡充するなど、プラスチックごみの一層の削減に取り組んでまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 3点お答え申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の感染状況の公表についてでありますが、これまでも、感染者の発生状況については、速やかに公表し、マスク着用や手指消毒等の感染防止対策の徹底などについて啓発を行っているところですが、議員御指摘のとおり感染状況の共有も重要であることから、クラスターの発生した経緯や発生後の対応などを検証し、得られた課題や改善策を関係者間で情報共有するとともに、県民に公表しているところです。 また、国の専門家会議が発表したクラスターの検証結果を参考とし、日常生活において、感染拡大が見られる他都道府県との往来、ふだん顔を合わせない人との食事会・飲み会や、カラオケ・ホームパーティーなどが感染リスクであるということについても、啓発を行っております。 今後とも、感染の発生状況等を共有するとともに、感染防止のための必要な行動を呼びかけ、県民の皆様が正しく理解し安心していただけるよう努めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症の影響によるDVや児童虐待の現状についてでありますが、DVの相談件数については、5月以降は前年度比で若干の増加となっております。 一方で、児童虐待相談対応件数については、令和2年度上半期において、前年度比で18%減少しており、特に5月までの間は学校等の休校や外出自粛が継続した中で、子供の見守り機会が減少したことが要因の一つであると考えております。 その後7月以降も前年度比で減少している傾向は続いており、その動向を注視する必要がありますが、児童虐待の潜在化を防ぎ、早期発見・早期対応につなげることは重要であるため、引き続き、相談窓口の周知啓発や、国の子ども見守り強化アクションプランに基づく安全確認の徹底などに取り組んできたところであります。 次に、ペット業者に対する県の管理体制についてでありますが、動物販売業については年1回以上の立入検査を行っており、これまで行政処分を行うような悪質な事案は発生しておりません。 議員御指摘のとおり、本年6月から、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく、動物販売業者への規制が強化される見込みであることから、県といたしましては、新たな基準が遵守されるよう、営業者の監視指導に努めてまいります。   〔上杉知之君登壇〕 ◆上杉知之君 2点再質問させていただきたいと思います。 初めに、3つの検証で抽出された課題への県としての対応の部分でございます。県としては、特に避難計画の策定という部分に関しまして、しっかりと、避難訓練を重ねていく中で、より確かなものにしていくというこれまでの御答弁は認識しておりますが、その対策自体がしっかりとしたものであるか、十分なものであるかという検証。あるいは事業者、国がすべき対応についても、それで対策ができたというふうに捉えられるのか、引き続き検証する仕組みが欠かせないのではないかと考えておりますが、その検証も必要になるという部分について、改めて御所見を伺いたいと思います。 それから、県民の意思を確認する点についてです。様々それぞれに御答弁いただきましたが、まだその時期ではないというお話です。 私の考えは、アンケートもそうですし、情報共有もそうなのですが、やはり県民との双方向の情報のやり取りというものの中で、県民の皆様から原発の安全性、あるいは在り方そのものについても、自分事として認識をしていただかなくてはいけないのだろうというふうに考えております。現時点においても、最終的には県民の皆様の意思を表明する機会があるのだと、そのために今からしっかりと知っておいていただきたいというメッセージにつながるということで、そろそろ県民の意思を確認するということを、明確に手段等も含めて示す時期ではないかと考えておりますが、改めてこの点についてお伺いをいたします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 上杉議員の再質問にお答えしたいと思います。 最初の御質問は、避難委員会の検証の関係であったと思いますけれども、現在進めていただいている避難委員会での検証は、福島第一原発事故を踏まえての、まさに安全に避難することの検証でありまして、課題の抽出、整理がこの避難委員会の検証の成果であり、目的であると思っています。 そこで整理されたもの、抽出されたものを、どのような形で現実の行政の中で、関係者と調整をしながら克服していくかというところは、まさに行政がやっていかなければならないことであり、それを広域避難計画に反映させていくという作業、それは繰り返し繰り返し行われることになるものと思っております。 その過程で、現在進められている避難委員会での検証とは別に、広域避難計画がどの程度までの効果、実効性を持つか、対応力はどこまで上がったかということについて議論することはあり得るとは思いますけれども、現在のこの検証とは違う問題だと思っています。 それから2点目のお話は、意思確認の方法とか、県民の範囲ですとか、そうしたことについては、繰り返し申し上げておりますけれども、今、まさに3つの検証委員会で客観的、科学的に検証作業を進めていただいています。これらは、これから再稼働に関する議論をしていく上での、大変重要な資料になっていくものでありますので、この検証作業をしっかり見守ることが、今の時点では重要だと思っています。 ○議長(桜井甚一君) 上杉知之君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午前11時59分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時 開議 ○副議長(佐藤純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、秋山三枝子君の発言を許します。秋山三枝子君。   〔秋山三枝子君登壇〕(拍手) ◆秋山三枝子君 リベラル新潟の秋山三枝子です。通告に従い、順次質問させていただきます。 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会前会長の発言について、メディアからコメントを求められ、改めて日本における男女共同参画の推進について振り返ってみました。少しお付き合いください。 私が初めてこの問題に関わったのは、旧新井市で30年前、40代の頃であります。市の働きかけによる国の女性の社会参加推進事業に加わりました。そのとき、世界に目を向けると、1975年の国際婦人年にメキシコで第1回世界女性会議が開催され、その後、25年前の北京会議には新潟県の各地から100名近い女性が参加し、現在もそのときの参加者が中心となって、北京JAC・新潟という団体名で、提言などロビー活動を続けております。 旧新井市では、1992年に県内でも早い段階で、あらい女性プランを策定し、女性団体の活動拠点も整備し、地域への様々な情報発信を行いました。現在の妙高市では女性リーダーの団体が数多く活動し、女性議員は4名、女性割合は22%で、聖籠町、見附市に次いで県内3番目というのもうなずけます。 日本では、1999年にようやく男女共同参画社会基本法が制定され、その後、各自治体での計画策定が進みました。新潟県では、2002年に新潟県男女平等社会の形成の推進に関する条例の制定、2006年に男女平等推進プランが策定され、現在につながっております。 30年前の当時、男女共同参画という言葉に対して、男がもっと家事を手伝えということかなど、眉をひそめていた男性が私の世代には多くいました。専業主婦が7割を超えていた時代です。今は、女性の就労が7割を超え、若い世代では家事も仕事も夫婦で役割分担が当たり前、男女共同参画が当然定着していなければならない状況です。 しかし、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会前会長の発言は、意識、特に古くから続く組織の体質は変わっていなかった、日本のジェンダーギャップ指数が主要先進7か国で最下位、新興国や発展途上国より低いということは事実だったということを改めて日本及び世界中に気づかせたものでした。 今回の出来事をきっかけに、国際社会から大きく遅れているジェンダーギャップの解消に向け、各分野において積極的な取組が行われることを期待して、質問に入ります。 最初に、人口減少への対応と男女平等に関する政策について伺います。 若い女性の県外流出が多いとされ、様々な施策が取り組まれています。私の子供、そして孫も、何人かは希望する職種に就くために県外に出ております。自分らしく生きたいと考え、自分の住む場所、働く場所を選択できる幅が広がったこと自体は歓迎すべきと考えますが、その中で、ふるさと新潟県を選んでもらえるようにするには、より積極的なメッセージと行動が必要と考えます。 若い女性のU・Iターンを促進し、県内定着を図るために令和3年度予算において力を入れた施策を伺います。 新聞報道によりますと、兵庫県豊岡市では、女性が戻ってこないのは男性との格差が都会よりも大きいからだと気づき、市長が先頭に立ち、ジェンダーギャップ解消に生き残りをかけ取り組んでいるとあります。 きっかけは、市長が若者回復率、これは国勢調査により10代でふるさとを離れた人が20代でどれだけ戻ってくるかという数字ですけれども、この若者回復率の男女差が2倍に開いていると気づいたことによります。男性52%に対して女性26%でした。男女合計では緩やかに回復していたので、気づかなかったそうです。若い女性に選ばれないのではなく、この地で暮らすことが否定されている、静かな反乱だ。まちはこれまで女性に期待してこなかったという反省の下での取組とありました。 静かな反乱という言葉にどきりとしました。私も同じ思いをいつもしていたからです。 そこで、新潟県のジェンダーギャップの現状と若い女性の県外流出との関係について、知事の認識をお伺いします。 1999年に男女共同参画社会基本法が制定されてから22年、諸外国がジェンダーギャップを縮める中、日本は政治・経済分野のリーダー的地位への女性割合が停滞していることにより、相対的な順位は下がる一方です。 新潟県の現状はどうでしょうか。平成29年3月に策定した第3次新潟県男女共同参画計画では、3つの基本目標について、重点目標17項目を掲げ取り組んでいるところです。策定後4年を迎え、計画期間も残り1年となる時点での、全体を通じた達成状況をどのように捉えているか、知事の所見を伺います。 ここで、少し具体的な内容について認識をお聞きしたいと思います。 国の男女共同参画社会基本法には5つの基本理念があります。1つ目は男女の人権の尊重です。説明するまでもなく、男性も女性も性別で差別を受けずに、個人として能力を発揮する機会を与えられることです。2つ目が社会における制度または慣行についての配慮です。慣習や社会の決まりにとらわれることなく、仕事やほかの活動の選択を自由にできる社会のことです。3つ目が政策等の立案及び決定への共同参画、4つ目が家庭生活における活動と他の活動の両立、そして最後の5つ目が国際的協調です。 基本理念の2番目、社会における制度または慣行についての配慮についてですが、これが一番難しいと感じております。 県の第3次計画の重点目標の一つである目標指標として、社会慣習・しきたりにおける男女の地位の平等で、男性のほうが優遇されているとする人の割合が、男性は55.3%に対して女性は70.2%です。計画策定時と比べほぼ横ばいの状態です。この差をどのように受け止めているのか、知事の認識を伺います。 次に、職場の中における男女の地位の平等について伺います。 男性のほうが優遇されているとする人の割合は、男性が50.5%で女性が60.1%となっています。社会慣習・しきたりにおける男女差よりも小さいものの、男女の認識には溝があります。また、所定内賃金の男女格差は、男性100に対して女性は75.7で横ばい状態であり、雇用等の分野での男女格差の縮小を目指すという目標は掛け声で終わっています。 男女間の賃金格差の要因は様々で、管理職の女性が少ない、業務の難易度が違う、平均勤続年数が少ないなどが挙げられ、ある意味、仕方がないと思われています。 しかし、先ほども取り上げた豊岡市では、ジェンダーギャップ解消に向けて、仕事のやり方を変えようと市内の事業所が集まり、女性が働きたい仕事や職場環境の変革について解決方法を共有、実践し、効果が出始めているそうです。市役所でも女性が管理職になるのはまれであり、かつては結婚すると女性に退職を促すような雰囲気があったそうです。市長は、女性職員に対し、フェアではなかった、無意識に女性を差別していたと謝り、地元商工会議所と共に、フェアな人事制度を普及させるために積極的に動いております。 本当に目指すのであれば、県内企業に対して今以上のアクションが必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、U・Iターンを考える上で、若い世代に関心の高い子育て環境の充実について伺います。 放課後児童クラブ、病児保育、延長保育、一時預かり、子育て支援拠点、ファミリー・サポート・センターの会員数などは順調に伸び、子育て支援施策が充実してきていると感じております。 しかし、一方で子供に対する虐待相談対応件数が大幅に増加しております。この傾向を見ると、若い子育て世代に対する負担が軽減されていないと感じます。 経済的・精神的にゆとりがなく、子供を育てること、働くことにストレスを抱えている世帯が多いのではないか。その辺への配慮が行き届いているならば、若い世代に選んでもらえるポイントになるのではないかと考えます。 今以上の子育て環境の充実や虐待防止につながる心のケアなどが必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、就労の視点から伺います。 保育・介護は女性の労働者が多い分野ですが、給与水準は全国的に見て本県は中位であるものの、東京圏と比較して低い状況であり、東京圏に人材が流出していると聞きます。 資格を生かせる就労を考えたとき、県内の職場を選んでもらうには、思い切って保育・介護分野の給与水準を東京圏並みに上げてはどうかと考えますが、知事の所見をお伺いします。 ビジネスの世界でも女性の能力を生かす取組が進んでいます。グローバルな経営のトレンドとして、ジェンダー問題に取り組む企業が増えてきております。2010年にイギリスで始まった動き、2030年を目途に女性役員割合3割以上を目指す、30% Club Japanでは、メンバーを主要企業のトップに絞り、機関投資家が女性役員を増やす取組を支援するように働きかけるなど、男性の行動変容を促しております。これらは、SDGsの目標に沿った行動でもあります。 県の男女共同参画計画においても、女性役員割合について具体的に目標を掲げることが効果的と考えますが、知事の所見を伺います。 昨年末に、2021年度から5年間の方針を示す国の第5次男女共同参画基本計画が閣議決定されました。これまでの取組評価では、一定の進展はあったものの、道半ばとされています。 女性活躍促進法などにより、指導的地位に女性が占める割合を、2020年までに30%程度にするとして期待された目標ですが、残念ながら達成できず、2020年代の可能な限り早期にと10年近く期限が先送りされました。本気度が疑われます。政治分野ではクオータ制などを導入しなければ、成り行きでは達成は難しいと考えます。 また、地域では固定的な性別役割分担意識等が根強く、女性の居場所と出番を奪い、地域を離れ、大都市圏への転入超過が増大しているとあります。女性活躍や男女平等をうたっても、地域でリーダーを務める世代の意識と行動は変わっていません。 県の第4次男女共同参画計画の検討が次年度予定されていますが、計画策定に向け特に力を入れるべき項目は何か、知事の所見をお伺いします。 次に、子供の健やかな育ちに関わる政策についてお伺いします。 コロナ禍における経済的・社会的困窮に苦しむ独り親家庭が増えています。子ども食堂、フードバンク活動など民間団体による支援が行われていますが、支援が必要とされる家庭の現状はつかみ切れておりません。 新潟県フードバンク連絡協議会が行う、子どもの未来応援プロジェクトでは、主にSNSでつながる3,000世帯以上への情報提供や支援を行っていますが、ほかにも支援を必要とする世帯が存在すると活動を通じて感じていると聞きます。 上越市で取り組まれたフードパントリーでは約90世帯が米などの食品配布に来所しましたが、上越市の児童扶養手当受給者は1,600人、全員ではないにしろ、まだまだ支援の充実が必要と話します。 連絡すればすぐに対応できる伴走型の支援は民間団体ならではですが、一人も取り残さないためには県、市町村、民間団体が連携し、支援が必要な者に必要な支援が行き渡るようにする取組が必要と考えます。知事の所見を伺います。 子供の医療費助成及び妊産婦医療費助成については県内市町村で実施の格差があり、特に妊産婦医療費助成の利用が進まないと聞きます。 上越市、燕市、魚沼市、南魚沼市などは全額助成で所得制限なしですが、通院1日530円、入院1日1,200円などの一部負担に加えて、医療費助成を利用するには、非課税世帯であることなど所得制限がある市町村が多く見受けられます。 妊産婦が安心・安全に妊娠出産期間を過ごすことができるように妊産婦医療費助成を所得制限がなく実施できるよう、県の支援を望む声が多くあります。必要性について、知事の所見をお伺いします。 働く女性への支援として、保育園または病院併設型病児保育施設など、緊急的に預けやすい病児保育の拡充は欠かせません。これまでも何度か質問し、少しずつ拡充されていると感じますが、いまだ施設数が少なく、遠距離の送迎が必要で、保護者の負担が大きい状況があります。 上越市では小児科医院が病児保育施設を併設し、予約なし、当日でも受け入れてもらえるため、県内では恵まれているとされていますが、広い上越市でこのような対応ができるのは、ここ1か所だけです。 病児保育の利用者は、必要なときにのみ利用を希望することから、安定した収入が見込めない構造となっており、施設運営は厳しい状況にあると聞きます。開設支援に加えて、運営面での県の支援拡充が求められていますが、知事の所見をお伺いします。 児童数が減少する中、放課後児童クラブの利用者は年々増加していますが、市町村によって開設時間や利用金額などの格差が大きいのが現状です。 以前行った調査では、利用料金が無料のところから約6,000円まで幅がありました。また、運営内容も、いろいろな体験活動を工夫しているところから、支援員にゆとりがなく、安全確保が最優先のところなど様々でした。 どこに住んでいても安心して子供を預けられる環境整備に向けて、県の役割は大きいと感じます。よりよい環境整備への支援や多様な運営方法などについてのアドバイスなど、県の役割を期待するところですけれども、知事の所見をお伺いします。 上越で児童養護施設を管理運営する団体が、利用者が退所後の生活などを支援する基金を創設しました。そのニュースがありました。経済的事情で進学を諦めたり、自立に必要な資金が不足するなど、巣立った後の支援が目的で寄附を募っているとのことです。 きっかけを伺ったところ、子供の貧困や虐待等への関心の高まりから、食品や寄附の申出が多くあり、また一方で進学を希望する子供が増えてきたこともあり、進学・就職支援のためと目的をきちんと定めて寄附が生かされるように創設したとのことでした。親がバックアップできない事情の子供が退所後自立するまで、アフターフォローも含めて、基金を切り口に関わり続けていきたいとの思いを語っていただきました。 県内の児童養護施設の退所者は同じ環境と考えますが、自立までの支援の現状を伺うとともに、県の支援強化の必要性について、知事の所見をお伺いいたします。 次に、教育に関する政策について伺います。 今年2月に、教育委員会が教員の免許の失効及び取上げとなった事実の有無を閲覧できる期間が、従前の3年から40年に延長されました。 教職員は常に高い倫理観や使命感を持ち、児童生徒の人格形成を支援するという重大かつ崇高な責務を持つとうたっております。 しかし、残念ながら県内でも教員による児童生徒へのわいせつ事件が起きています。現状に対する認識及び防止の取組について伺います。 学校での性加害の専門家によれば、児童生徒に対するわいせつ行為が増え続ける背景の一つに、学校という特殊な環境があると指摘しています。 この専門家は、具体的に4つの前提条件があるとしています。1つ目、性加害の対象となる児童生徒が身近にいる。2つ目、校内のほかの人がいない場所や時間帯に詳しい。3つ目、指導などで1対1の状況をつくりやすい。4つ目、教員と児童生徒という対等とは言えない関係や児童生徒からの信頼を利用し得るという点です。 私自身も中学生時代に部活顧問から、このような状況でセクハラ被害を受けた経験があり、50年以上たっても記憶を消し去ることはできません。あってはならないことです。 これらの環境を変えることは難しいですが、教師自身が自己の性加害リスクを知り予防につなげる、教員の性行動セルフチェック表が考案されています。これらを活用した予防意識の喚起は効果的と考えますが、所見をお伺いします。 平成29年12月定例会の一般質問で義務教育課程における性教育の現状と課題をお伺いしました。児童生徒の発達段階に応じて、身体の成長や性感染症の知識は保健で、倫理的・心情的な面は道徳や特別活動において指導しているとの答弁でしたが、増え続ける性被害から身を守るためにも、教育現場における性教育・ライフプラン教育の重要性はさらに高まっています。 昨年11月に手にした教育関係の情報紙によれば、新型コロナウイルス感染症が流行する中で、各種相談窓口や病院における、望まない妊娠の相談が例年の2倍から4倍に増えたとの報告があったとあります。特に、これまで全体の2割程度だった10代の相談が七、八割を占めるとのことでした。 性に対しての正しい知識と理解、性と生殖に関する健康と権利、避妊や子宮頸がんワクチンの必要性など、一歩踏み込んだ性教育が今こそ必要と考えますが、所見をお伺いします。 県の行財政改革行動計画に基づく取組の一環として、県立図書館の維持・運営の在り方が検討されています。 私は転居が多かったので、新しい土地に行くと、まず図書館に足を運びました。明るく開放的で多くの世代に利用されている図書館があるところは、行政運営も市民目線でした。 図書館はそのまちの文化レベルを表すと言われるように、目に見えない多様な存在価値があります。県立図書館は、市町村立図書館のバックアップ機能や専門職員による高度なサービスを提供してきた歴史もあります。全国には特色ある県立図書館が市町村立図書館を牽引している事例もあり、この機会に多くの関係者を巻き込み、新潟県民に愛される県立図書館の在り方について、議論を深める必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。 昨年11月30日付で新潟県いじめ等に関する調査委員会報告書がまとめられました。12月の総務文教委員会でも質疑しましたが、報告書がまとめられた直後であったことから、改めて報告書の受け止めと対応、今後について質問させていただきます。 この事案は、平成29年4月に上越地域の県立高校で、いじめを受けて、その後不登校になったとされる問題です。高校が設置した第三者委員会がいじめとは結論づけることはできないとした報告書を不服として、保護者が再調査を求め、令和元年5月に再調査が始まり、約1年半かけてまとめられました。 この報告書では、県立高等学校におけるいじめ事案に関する調査委員会が実施した原調査の報告と比較し、多くの論点で評価が異なり、原調査の結果を覆す点があるほか、原調査報告書等について様々な課題が指摘されています。 1つには、いじめとは結論づけることはできないとした原調査に対して、いじめの定義に基づいて、いじめに該当すると認めた点。2つ目に、いじめと不登校の因果関係について、疑われる事実はあるが直接的な要因ではないとされていたものが、因果関係はあるとされた点。3つ目が当該高校の対応について、生徒への指導・対応は適切であり問題はなかったとされていたものが、問題があったとされた点。さらには、学校設置の第三者委員会の運営等について、法の定義に基づかずに判断、検証や判断等に至る審議の記録がない、審議状況について保護者への適切な説明が行われていないなどが指摘されています。 教育委員会には、この結果をしっかりと受け止めてもらい、適切に対応していただきたいと考えますが、知事の所見を伺います。 本事案において行われた再調査は、平成29年3月に文部科学省が策定した、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインにのっとって行われました。 改めてガイドラインを読み返しました。以下引用です。平成25年にいじめ防止対策推進法が施行され、学校の設置者または学校において、いじめの重大事態が発生しているにもかかわらず、法、基本方針及び調査の指針に基づく対応を行わないなどの不適切な対応があり、児童生徒に深刻な被害を与えたり、保護者等に対して大きな不信を与えた事案が発生していることから、ガイドラインを策定したとあります。 被害生徒の保護者がこの間、学校及び教育委員会に求めたものは、クレームではなく、ガイドラインの遵守であったと受け止めております。 子供に問題が生じた場合、学校と向き合うのは保護者です。最初の対応が一番重要であります。再調査報告では、保護者の心情を考慮し、受容するものであり、その上で保護者に寄り添った関係性の構築を図るように努めると提言されています。 教育現場において、ガイドラインにのっとった保護者に寄り添った対応が徹底されているかどうか、教育長の認識をお伺いします。 再調査報告書が取りまとめられて3か月を経て、教育委員会においては課題について様々な検討が行われたと推察します。 しかし、私がこの事案に関わって3年半になりますが、全てのタイミングにおいて対応が遅いと感じます。民間では通用しない対応の遅さ、情報提供・説明のなさ、責任の曖昧さです。この関係性を再構築するには、よほどの誠意が求められます。 何よりもまず被害者家族への丁寧な説明と謝罪等があってしかるべきと考えますが、今後の具体的な予定も含めて、教育長の見解を伺います。 今回実施された再調査は、新潟県で初めてのケースであります。原調査は教育委員会において学校設置で行われ、再調査は知事部局の子ども家庭課で行われました。異なる機関で調査していることから、文部科学省では原調査と再調査の関係を明確には示しておらず、各県の判断に委ねられているようです。 事案発生の平成29年4月以降、被害児童本人、その家族、学校、教育委員会、2つの調査委員会など、関係者はこの4年間の過程で多くの課題について議論を重ねてまいりました。 この間の取組を教訓として教育現場で生かすべきと考えますが、教育長の所見を伺い、質問を終わります。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 秋山議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、若い女性のU・Iターン促進についてでありますが、本県は進学・就職を契機とした若者の転出が社会減の大きな要因となっており、特に女性の転出超過数が多いことから、新年度においては、こうした方々の県内定着、U・Iターン促進の強化を重点テーマとして取り組みます。 具体的には、アプローチすべき方のターゲット像を細分化・具体化し、U・Iターンの検討の熟度やライフスタイル等に応じて、暮らしやすさに関する情報等を的確かつ戦略的に発信してまいります。 さらに、女性の視点から本県の魅力を掘り起こして発信するとともに、移住検討者と先輩移住者とのネットワーク形成に取り組むなど、女性を移住行動へ誘導するための取組を一層強化してまいりたいと思います。 次に、ジェンダーギャップの現状と若い女性の県外流出との関係についてでありますが、本県の若者転出の大きな要因である就職に関する男女格差を見てみますと、国の調査によれば、賃金や正規雇用の割合等について、本県と首都圏を比較した場合、全体では有意な差は認められませんが、若年層では、首都圏のほうが賃金に関する男女の格差は小さい状況です。一方、女性の就業率は本県のほうが高く女性の労働参加が進んでいるなど、男女格差といっても様々な側面があります。 これらのことから、本県と首都圏との就業面における男女格差の大小については一概に言うことはできず、女性の転出超過数が多いことと直ちに結びつけることは難しい面もあると考えています。 一方、女性が就職先を選択する際に、賃金の水準や女性の働きやすさは影響しているものと考えており、県といたしましては、本県が若者、特に女性から選ばれる地となるため、所得水準の向上と良質な働く場の確保、総合的な暮らしやすさの向上に向けて取り組んでまいりたいと思います。 次に、第3次新潟県男女共同参画計画の達成状況についてでありますけれども、男性の育児休業取得率や、ハッピー・パートナー企業登録数等の項目で目標を達成するなど、ワーク・ライフ・バランスの推進や子育て環境の充実について、取組が進んできております。 一方、社会慣習や政治経済活動の場などにおいて男性のほうが優遇されていると考える県民の割合が、半数を超えたまま横ばいの状態が続いており、男女共同参画社会の実現に向け、引き続き意識啓発に粘り強く取り組んでいく必要があると考えています。 次に、社会慣習における男女の意識の差についてでありますが、社会慣習・しきたりについては、同じ物事について、男女平等と捉えるか、一方の性が優遇されていると捉えるか、その捉え方が男性と女性で異なり、また、過去から日々の生活の中で培われてきたものであるため、なかなか容易には変わらないものであると考えています。 このため、男性、女性ともに、男女平等社会の形成に関して理解を深めることが重要であり、今後も様々な広報活動や啓発活動などに粘り強く取り組んでいく必要があると考えております。 次に、雇用分野における男女格差の縮小についてでありますが、職場の中で男性のほうが優遇されているとする人の割合は、減少傾向にはあるものの、性別による固定的な役割分担意識は職場にもいまだ根強く残っているものと思われます。 また、所定内賃金の男女格差については、管理的職業従事者に占める女性割合が低いことや、女性の就業者に占める非正規雇用割合が高いこと、勤続年数が男性に比べて短いことなどが主な要因と考えております。 県といたしましては、雇用分野における男女格差の解消に向け、経営者層の意識改革や女性の意欲向上に努めるとともに、女性の管理職登用の拡大や正規雇用への転換、男女ともに仕事と家庭生活等が両立できる職場環境の整備などに、より一層取り組んでまいります。 次に、児童虐待防止のための取組についてでありますが、児童虐待は、少子化・核家族化からくる保護者の育児知識や技術の不足、さらには夫婦間のDVなど、様々な要因が絡み合って起こるものと言われており、議員御指摘のとおり、子育て環境の充実や虐待防止につなげるための心のケアなどが重要であると認識しています。 また、児童虐待相談対応件数の増加については、子育て支援機関が充実してきたことなどにより、地域の見守り機能が強化されたことで、これまで見つけられてこなかった事例が顕在化してきた面もあることなどから、必ずしも否定的にのみ取る必要はないと考えています。 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による子供の見守り機会の減少等が指摘されていることから、新年度においては、地域で子育て支援活動を行うNPO等の民間団体への支援を拡充することとしており、こうした取組により、子育て環境の充実や児童虐待の未然防止に努めてまいりたいと思います。 次に、保育・介護分野の給与水準についてでありますが、保育士や介護職員の給与については、国が地域ごとの賃金水準を踏まえ定める保育所運営に係る給付費や介護報酬等の範囲内で経営が成り立つよう、各施設の判断により決定されるものと認識しています。 一方で、議員御指摘のとおり、保育・介護人材の東京圏への流出を防ぐことは重要であり、県としては、今年度は東京圏から移住し保育・介護の施設へ就業した場合に支援金を支給する事業を実施しています。さらに新年度からは、介護職員に加えて、新たに保育士についても、県内定着を促す修学資金貸付制度を実施することとし、人材確保に取り組んでまいります。 また、就職先を決めるに当たっては、給与だけではなく、働きやすさや住みやすさなども重要な要素であることを認識していただく必要があると考えており、本県の保育・介護分野の職場環境のよさや、暮らしやすさの魅力などをアピールしていくことにより、人材確保に取り組んでまいります。 なお、保育士や介護職員は社会福祉を支える大切な職でありますが、全国で見てもその給与水準は全産業よりも低いため、不足する人材確保のため、さらなる処遇改善を国に対して要望しているところです。 次に、女性役員を増やす取組についてでありますが、県といたしましては、女性の活躍を推進するために、まずは管理・監督的業務に従事する女性を増やし、活躍する女性の裾野を広げていくことが重要であり、このことが、女性役員を増やすことにつながっていくものと考えています。 このため、管理・監督的業務に従事する者に占める女性の割合について目標数値を掲げ、女性のキャリア形成支援などを進めているところでありますが、議員御指摘の女性役員割合についても、どのような目標設定ができるか今後検討してまいります。 次に、次期男女共同参画計画の策定についてでありますが、来年度予定している次期計画策定に向け、今年度は、県民意識調査の実施により現状を把握し、現計画の達成状況と課題の洗い出しを行っているところです。 県民意識調査では、県が力を入れていくべき施策として、子育て支援の充実、ワーク・ライフ・バランスを可能とする就業環境の充実などが上位に選択されました。 県といたしましては、今後、県民意識調査結果や審議会の意見、国の第5次男女共同参画基本計画も踏まえながら、男女ともに仕事と家庭生活等が両立できる職場環境の整備など、重点的に取り組む項目を整理し、男女共同参画社会の実現や女性に選ばれる魅力ある新潟県を目指して、次期計画を策定してまいります。 次に、子供の健やかな育ちに係る政策についてお答えします。 まず、独り親家庭等への支援における行政と民間団体との連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、支援が必要な人に必要な支援を届けるためには、行政と新たな支援の担い手であるフードバンク等の民間団体とのさらなる連携が必要と考えております。 このため新年度においては、フードバンク団体が行う食品保管設備等の整備や子ども食堂での食品配布の取組を支援するとともに、市町村と民間団体を結ぶネットワークの構築に取り組んでまいります。 次に、妊産婦医療費助成についてでありますけれども、母子保健法上、市町村は、妊娠や出産に支障を及ぼすおそれがある疾病にかかっている疑いのある妊産婦について、診療を勧奨し、また診療を受けるために必要な援助を与えるよう努めることとされていることなどから、妊産婦医療費助成が行われているものと考えており、基本的には市町村において、その要否や所得制限などについて、検討されるべきものと考えています。 県といたしましては、妊産婦が抱える様々な不安や悩みに適切に相談できるオンライン相談などの仕組みづくりについて、ICTを活用して支援することにより、妊産婦が安全・安心に妊娠出産期間を過ごすことができるような環境整備に取り組んでまいります。 次に、病児保育への支援についてでありますが、病児保育事業は、子ども・子育て支援新制度において、市町村が実施主体となり、地域のニーズや実情に応じて実施するものであり、施設数は平成26年度の15市町村34か所から、本年1月時点で24市町村60か所と着実に整備が進んでおります。 しかしながら、議員御指摘のとおり、利用児童数を見込むことが難しく、安定的な収入が見込めないという課題があるため、安定的運営に必要な基本単価の増額等を全国知事会を通じ国に要望してきたところです。 その結果、新年度から基本単価の比率の引上げ等の見直しが示され、今後はより安定的な施設運営ができるようになるものと考えています。 県といたしましては、今後も現場の状況の把握や国の動向等を注視しながら、必要に応じて国に制度改正の働きかけを行うなど、子供を産み育てやすい環境整備の充実に取り組んでまいります。 次に、放課後児童クラブの環境整備に向けた県の役割についてでありますが、放課後児童クラブは、事業の実施主体である市町村が、開設時間や利用料等を定めることができるため、地域のニーズや実情を踏まえた適切な運営が可能となっているものと考えております。 県といたしましては、市町村が行っている放課後児童クラブをはじめとした様々な取組等を集約し、会議や研修等の機会を通じて周知するなど、優良事例の横展開により、市町村の取組を支援してまいりたいと考えています。 次に、児童養護施設退所者への自立までの支援についてでありますが、県といたしましては、公的支援として就職や進学に必要な家賃や生活費の返還免除条件のある貸付事業を行うとともに、退所者が住居の確保や就職などで支障が生じないよう、施設長が身元保証人となる際に支援を行うなど、施設入所児童が希望を持って自らの進路を選択できるよう支援を行っているところです。 こうした公的支援の活用により、進学を諦めた等の事例はないものと考えておりますが、それぞれの養護施設での寄附金等を活用した上乗せ支援も含め、引き続き、退所者の自立支援の充実に努めてまいります。 次に、教育に関する政策についてお答えします。 新潟県いじめ等に関する調査委員会報告書の受け止めについてでありますが、この報告書では、いじめがあったこと、また、いじめと生徒の不登校に因果関係があったことなど、原調査報告書と異なる内容となっているほか、今後の学校における対応等について提言が示されました。 教育委員会においては、調査結果を真摯に受け止め、今回と同様のいじめ事案の再発防止策など必要な措置を講じてもらいたいと考えております。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 7点についてお答えいたします。 教員のわいせつ事件に対する認識と防止の取組についてでありますが、教員のわいせつ事件は、児童生徒の心を深く傷つけるばかりでなく、学校や教職員に対する保護者及び地域社会からの信頼を著しく損なうものであります。近年、本県においても学校内だけでなく、SNS等を発端とする児童生徒へのわいせつ事件も発生しており、極めて憂うべき状況にあると考えております。 県教育委員会といたしましては、機会を捉えて、児童生徒へのわいせつ事件の具体的な事例や防止策を示した通知を、県立学校及び市町村教育委員会へ発出するとともに、校長会や市町村教育委員会と連携して研修を繰り返し行うなど、再発防止に取り組んでまいります。 次に、教員の性行動セルフチェック表の活用についてでありますが、学校現場では、教員と児童生徒との緊密な関係性の中で教育活動が行われており、優位な立場にある教員は自らを厳しく律する必要があることから、教員のセルフチェック表の活用は効果があると考えております。 県教育委員会といたしましては、昨年9月1日発出の非違行為根絶に向けた通知に、わいせつ行為を防止するためのチェックシートを添付し、各学校の研修において活用するよう指示したところであります。今後も教職員の意識喚起に工夫をしながら、再発防止に向けた取組を継続してまいります。 次に、学校における性教育の在り方についてでありますが、性に関する様々な課題に対して、適切に判断し行動できるよう、児童生徒が正しい知識を身につけることは、重要なことと考えております。 各学校では、学習指導要領に基づき、発達段階に応じて、思春期における心身の発達、性感染症の予防、妊娠・出産に係る健康課題などについて指導しているところです。 県教育委員会といたしましては、医師や助産師などの専門家による具体例を交えた講話等が、児童生徒の理解を深めることに有効であることから、こうした外部人材の積極的な活用について各学校に働きかけてまいります。 次に、県立図書館の維持・運営の在り方の検討についてでありますが、県教育委員会といたしましては、県有施設管理等検討委員会からの助言も踏まえながら、効果的・効率的な運営及び県民サービス向上の観点から総合的に検討していくこととしております。 県立図書館は、市町村立図書館支援や利用者の調査相談支援などの役割や機能を有しており、そうした役割や機能が十分発揮できているかという視点で検証する必要があり、市町村立図書館や利用者をはじめ関係者等の意見をお聞きした上で、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、ガイドラインにのっとった保護者対応についてでありますが、児童生徒の教育は、保護者と学校が協力しながら行うものであり、学校と保護者が良好な関係を維持することは重要であると認識しております。 いじめ重大事態が発生した場合にガイドラインに沿って対応することはもちろん、重大事態に至らない場合であっても、被害生徒や保護者に寄り添うことが重要であり、県教育委員会では、いじめ対応総合マニュアルにより学校への周知を図っているところです。 県教育委員会では、学校から保護者とのトラブルの報告があった際には、その都度、学校に対して指導・助言を行うとともに、いじめ対策総点検での各学校訪問の際にも保護者対応について確認することにより、寄り添った対応の徹底に努めてまいります。 次に、被害者家族への対応についてでありますが、県教育委員会では、再調査委員会からの指摘について、当時の学校や県教育委員会の対応を改めて検証し、被害者家族に対して説明を行うなど適切に対応していくこととしております。 なお、日程については、被害者家族の御意向を踏まえて設定したいと考えております。 次に、教育現場で生かす教訓についてでありますが、県教育委員会では、本事案の発生以降に出された3号案件、4号案件の調査報告書の提言などに基づき、いじめに対する学校の組織的対応や教職員の意識改革等を進め、いじめ対策の強化に努めてまいりました。 本事案における再調査委員会の指摘を踏まえ、取組が不足しているいじめ解消の確認方法の明確化や、第三者委員会事務局の役割の確認及び業務のマニュアル化などについて、今後、具体的に取り組んでまいります。
    ○副議長(佐藤純君) 秋山三枝子君の質問は終わりました。 次に、高橋直揮君の発言を許します。高橋直揮君。   〔高橋直揮君登壇〕(拍手) ◆高橋直揮君 自由民主党の高橋です。 本県が行う県内発注、県内調達の推進は、多くの産業に重要な役割を果たしてきております。新潟県中小企業者の受注機会の増大による地域産業の活性化に関する条例や、公共建築物等における県産材利用推進に関する基本方針の下、県内調達を推進してきてはいますが、法人事業税の推移は年々減少し続けてきております。 県庁内でも県内発注・県内調達推進会議及び県産材利用促進会議を開催し、情報共有や促進に向けた協議を行っているところですが、直近3年の出納局における物品等の入札の実施状況を見ると、県外に本社のある県外業者の参加率の平均は全体の23.1%、県外業者の契約シェアの平均は件数で34.4%、金額ベースは54.3%となり、契約金額の過半は県外業者の売上げとなっています。 高度な測定装置といった県内企業で扱えない物品や、特殊な除雪機械といった分野のものもあり、その分高額になることから金額も上がっていることも理解はできますが、県内調達が可能な物品もあるのではないかと思われます。 近年の県外業者の契約状況についての所見を伺います。 発注方法で考えれば、物品では3,000万以上は地域要件を設定できないWTO案件となり、県外業者の落札する可能性が高くなります。高額な物品購入となりますから、少しでも安く購入できればコストダウンにつながりますが、受注が県外業者であれば、当然ながらそれに関わる労働と納税は県外のものとなります。 県外業者から物品を安く購入することと、県内業者が受注し、仕事が生まれ、雇用を生み、企業も労働者も様々な納税につながることと、どちらが本県のメリットになるかといえば後者になります。 出納局におけるWTO案件にならない一般競争入札においても、令和元年度の県外業者の契約シェアは契約件数ベース、金額ベースともに30%以上となっています。 原則地域要件を設定しているのに、なぜこれほど県外業者が受注しているのか、県内企業が受注する上での課題や、県内企業の受注を拡大するための今後の対応について伺います。 他県の業者が入札に参加することにより、公平性や競争性といったメリットも考えられますが、土木部や交通政策局のように地域保全型工事のような地元企業の受注機会の確保を、物品や役務を発注する部局も工夫する必要があると思いますし、仮に県外業者が受注することとなったとしても、その入札の適正性を担保する必要があります。 県外業者の支店や営業所が県内にあるといっても、営業実態等についての情報を確認することは難しいものと考えます。中には県内の支店や営業所は、机と電話だけということもあると聞いております。 入札では価格によって落札が決まってしまうことを鑑みれば、参加する県外業者の営業実態等を正確に把握する何らかの仕組みを検討することが必要と考えますが、所見を伺います。 そもそも県外業者に県内発注の仕事を取られるということや、県内業者で受注できる企業がいないということは、それだけ本県の産業や企業が成長していないということになるかと思います。本県の産業や企業、人材を育てる意味でも、県内の仕事は県内業者が行い、育てていくよう進めていただきたいと思います。 次に、原発と本県財政についてですが、現在、本県に申告している東京電力ホールディングス、東京電力パワーグリッド、東北電力など、大手電力会社の税収は大きく落ち込んでいるものと考えられます。 平成28年の電力の小売全面自由化により、東京電力の分社化が進んだことも影響し、本県の法人事業税は近年、減少傾向となっています。その後もほかの電力会社の分社化が進みましたが、それにより本県の税収面でどのような影響があったのか、またその影響に対する所見を伺います。 現在、柏崎刈羽原子力発電所が立地していることで国から得られるものとして、電力移出県等交付金相当部分や、周辺市町村の住民や企業に交付される原子力立地給付金などによる電源立地地域対策交付金があります。 また、一企業として、周辺住民の雇用も支えていただいておりますし、その雇用から本県へ住民税等も支払われています。 過去を遡れば、原発が立地されたことにより、様々な交付金が交付され、まちが潤い、雇用も生まれ、本県に対しても多くの法人事業税をはじめとした申告がされ、周辺市町村は活気にあふれていたかと思います。 しかしながら、それは過去の話であり、現在では原発は止まり、分社化によって本県への法人事業税の申告は大幅に減少し、福島第一原発事故の検証を進めつつ、柏崎刈羽原発周辺地域の避難経路やヨウ素剤配布の課題などはいまだ結論が出ていません。 今後も原子力発電について様々な議論がされていくことと思いますが、そんな中、昨年12月14日に、柏崎商工会議所の働きかけにより、東京商工会議所幹部が柏崎刈羽原子力発電所を視察しております。東京商工会議所の三村会頭は、原子力発電は日本経済に必要だと訴えていきたいと報道取材で述べております。 東京電力の信用回復や安全性が担保された段階において、再稼働の議論が進められていくかとは思いますが、原発で発電された電力が主として供給される9都県では、安定した電力や安価な電気料金によって、住民や企業はメリットを享受します。 特に商工会議所の会員のような首都圏の大企業はコストダウンにつながるため、大きな恩恵があるかと思いますが、現在の本県に対して一体どのような恩恵があるのでしょうか。 発電地域である新潟県は、原発は危険というイメージが払拭されない中、県民は不安を抱え、地域の代表を選ぶ各種選挙になれば原発が争点化されるなど、本県が抱える負担は大きいものがあります。 仮に、9都県の電力なのだから、東京や神奈川に原子力発電所を設置すればよいと言っても、あり得ないでしょう。 発電地域である本県と、電力を供給される地域の双方で、経済的に等しく利益が発生すべきであると考えますが、所見を伺います。 これは法改正が必要になるかと思いますが、具体案として、電源開発促進税に加えて、さらに東京電力の電気料金に数円上乗せし、同社の原発立地県の会計に、国から何らかの形で交付する仕組みがあってもよいと考えますが、所見を伺います。 さらに、現在、本県に交付されている電源立地地域対策交付金の電力移出県交付金相当部分は、移出電力量に交付単価27円を乗じて算出されていますが、この交付単価の引上げを求めることも一案と考えます。再稼働し電力量が上がれば、交付金も増額することになります。この交付単価の引上げについて所見を伺います。 現在のまま制度が変わらなければ、我が県は、ただの原発立地県で終わってしまいます。子供たちの未来や県民のためにも、新潟県は安全で潤った住みよい県であるべきと考えております。安全を最優先に、その次に本県に対する経済的措置を国に求めていただきたいと考えております。 次に、本県の公共施設の民営化、指定管理者制度の導入についてですが、昨年末から様々な意見が新聞報道などでも報じられています。文教施設については直営の割合が高く、18施設中13施設が現在も直営管理され、主として一般財源で運営されています。一方で、他県では文教施設の指定管理等の導入が進んでいるところです。 文教施設の運営手法の見直しについて、外部有識者による検討委員会も開催され、今後さらに具体的な議論になるかと思われますが、直営での運営のメリットと、仮に民営化したときのメリットについて伺います。 また、どちらの運営が効率的・効果的で県民にメリットがあると考えるのか、所見を伺います。 県立図書館や博物館などの民営化について、懸念する声として、専門職員によるサービスの質の低下、または専門職員は地域の文化や歴史の継承を担う役割を託されているがゆえに、指定管理者制度はなじまないなどの意見が聞かれます。 しかしながら、民営化されることによって、極端に質が低下するとも考えにくいですし、専門職員の役割が大きく変わるとも思えません。むしろ行政でできなかったサービスの提供や新たな提案、専門職としての新たな業務の創出、利用価値の創出など、現在よりも県民に身近な存在になるのではないかと思います。 加えて、県の財政面でも負担の削減が期待されるところでもあります。民間活用をすることから、雇用に加え、収入のあるイベント開催であれば納税につながり、交流であれば地域の振興になるのではないかと思いますが、それでも不安を抱えているのであれば、仮に指定管理者の公募を行うこととなった際には、民営化に不安を抱える県民からの意見を取り入れることや、条件を付け加えるなど、お互いが議論し歩み寄ることが必要であると考えます。 図書館や博物館といった文教施設の民営化について、行財政改革の財政負担の削減という面だけではなく、新たなサービスの提供や利用価値の創出、県の施設をより身近な存在に近づけるための手法であるといった面から検討することで、サービスの質の低下の懸念や、地域の文化と歴史の継承を担う役割があるため指定管理者制度はなじまないといった認識・指摘も払拭できるのではないかと考えますが、所見を伺います。 財政面でいえば、県立図書館の令和元年度の運営費総額は約3億7,000万円で、このうち、図書の購入等の事業費が約5,500万円、人件費が約2億1,000万円と、6割が人件費に充てられています。併設する生涯学習センターと文書館で働く職員の人数を合計すると55人にもなり、3施設の人件費だけで約3億4,000万円、収支はマイナス5億3,000万円となっています。 入場料を徴収できない性質の施設であるのであれば、3施設が併設しているメリットを生かし、組織体制の見直しや運営方法を再検討するべきであると考えますが、所見を伺います。 次に、県営住宅についてですが、事務処理特例による市の管理が75団地、県住宅供給公社の管理代行が8団地、計83団地あります。したがって、県からの管理料は、交付金や委託料として立地する各市や公社に支払われていますが、運営管理であれば民間に任せることも考えられます。 民間が運営管理を担うことにより、県営住宅のイメージアップや、行政からの人員の削減や効率化、業者からの納税も見込めると考えたのですが、残念ながら県営住宅条例により、現在は不可能であるとのことであります。 県営住宅も老朽化が進み、改修などの費用もかかると思われますが、このまま立地市に管理費を支払いながら、県の一般財源で古い建物の改修を続けていくのではなく、県負担の低減を図るため、入居の需要も考慮した上で、徐々に県営住宅の整理を進め、PFI方式や民間住宅の借り上げによる民間事業者と連携した県営住宅の供給も考えられますが、所見を伺います。 指定管理者制度でもう一つ指摘したいのが県立の福祉施設や病院です。 現在、29施設中、県立病院を含めた18施設が直営で運営されています。県立病院は別として、指定管理に移行が必要であると考えるものが、福祉型障害児入所施設等の機能を持つ、コロニーにいがた白岩の里と、医療型障害児入所施設等の機能を持つ、はまぐみ小児療育センターです。 コロニーにいがた白岩の里に関しては、県内最重度の障害を持った児童等が入所するため、手厚い人員配置がされています。 コロニーにいがた白岩の里の収支は、直近のデータである令和元年度は、入所費用等による収入が約7億円に対し、人件費は約9億円と聞いており、人件費率は収入の約130%にもなっています。収支差額は例年マイナス6億円から7億円になっており、民間企業であれば倒産する水準です。 重度の障害者の対応には人手が必要なのは理解できますが、規模や障害の違いはあるものの、同様の障害者を受け入れた民間の施設も存在し経営を続けております。 人件費率が高い理由とそれに対する知事の所見を伺います。 また、コロニーにいがた白岩の里は、障害があっても可能な限り地域社会での共生を目指す法の理念の下、施設の機能を見直した上で、指定管理者制度に移行することにより、収支の改善も図れるのではないかと考えますが、所見を伺います。 はまぐみ小児療育センターも、民間施設と比較し人件費率が高く、さらに入所者が慢性的に少ないことなどから、令和元年度の収支は、収入が約3億円に対し、支出は約9億円、うち人件費は約6億7,000万円で、人件費率は200%を超え、人件費が収入の倍以上と聞いております。また、収支差額は例年マイナス5億円から6億円の赤字となっています。 現在、通所や入院の患者に対応する看護師は50名程度、入院患者は減少傾向で10名程度とのことです。 このようなセンターの運営状況と経営状況について、知事の所見を伺います。 また、入院患者が10名程度であれば、入院機能を廃止し、現在の入院患者は同様の機能を持っているほかの病院に移しつつ、ニーズの高い外来機能を手厚くするといった運営転換も考えられますが、所見を伺います。 関連して、小児医療についてですが、県では令和元年6月に小児医療あり方検討会を設置し、本県における小児医療体制の在り方や小児専門医療施設の設置について検討してきたところですが、先般、小児医療あり方検討会の報告書が取りまとめられ、小児専門医療施設の設置について提言がなされました。 一日も早く子供たちが県内で高度・専門的な医療を受けるためのよりよい環境が整備されることを願っておりますが、一方で、医療資源も限られ、また少子化も進行しており、本県の実情に即した施設の設置が必要であります。 報告書では主な施設機能の方向性として、小児集中治療や小児がん治療の機能が提言されていますが、財政的にも厳しい中、どの程度の規模の施設を想定しているのか伺います。 ここからは、精神疾患患者への対応の事例について、関係者の許可を得て話しますが、統合失調症により昨年10月末から精神科病院に入院している36歳の患者が、入院前63キロあった体重が38キロに、期間にして2か月弱で25キロ減少、その2か月間、新型コロナウイルス感染症を理由に御両親は面会を謝絶され、今年の正月にようやく面会できたときには別人のように痩せ細っていました。 当然、御両親はなぜこのようなことになってしまったのかと医師や看護師に迫りますが、病院側からの回答は、何度も試みたのですが、食事を取らないので、栄養を点滴で1か月間補給し処置してきたそうです。ちなみに、入院前は食事は通常に取れていたそうです。 今年1月に入り、状態が悪化していると判断したため、近隣の病院の内科医の診察を受ける手配をし、診察をしたところ、肝機能障害、低栄養、脱水、甲状腺機能低下など、ほかにも様々な症状が見られることから、生命に危険があると判断。栄養を腹部より入れるにも体力的にもたないので、鼻から送り込む手段を検討しましたが、別の病院での診察のため、日を改めなければならないことと、現在入院している精神科病院では精神科のみの診察のため、内科の治療技術を持った医師・看護師がいないことなど、危険な状態にもかかわらず適正な診察、検査、治療に日時を要することなどから、御両親は不満や不信感を抱き、すぐにでも別の病院に転院させてほしい旨、外部の様々な医療関係者の方々にお願いし、デリケートな話ではあったのですが、新潟市内の公的病院に翌日、転院することができました。 しかしながら、転院後の検査でほかの合併症も見つかり、現在も危険な状態なため集中治療室に入院中。聞くところによると、全ての症状の発端は栄養不足から始まったそうであります。 また、転院前に精神科病院より患者に対し何らかの虐待があったことが御両親に報告されたそうです。 前置きが長くなりましたが、私が疑問なのは、医療従事者であれば、栄養が取れず体重が激減していく原因として、体のどこかにがんが隠れているのではないかとなぜ疑わなかったのか、体重が減少していく過程において、なぜ別の病院の内科医に早く診察をさせなかったのかなど多くの疑問が残ります。 余談ですが、新潟市内の公的病院での検査において、理由は不明ですが、左頬骨折が確認されております。具体名は出しませんが、その精神病院に内科医が勤務していれば、このような事態にはならなかったのではないかと考えます。 そこで伺いますが、現在建築が進む県央基幹病院では、外来機能としての精神科も備えておりますが、精神疾患を持った患者の家族会から県央基幹病院に精神科の入院機能を設けてほしいとの要望がありましたが、県央医療圏には既存の精神科病院があることから、入院機能は設けないこととなったと聞いております。 当時、県央医療圏の中でどのような議論があったのか伺います。 現在、県央医療圏にある精神科病院には精神科と心療内科しかないため、一般的な内科疾患や身体的な疾患に対する治療ができません。精神科しかない病院で、内科診療がおろそかになり、病状を悪化させ亡くなった事例もあると聞いています。 こうした事例もあることから、既存の精神科病院に入院機能があるから県央基幹病院の精神科には入院機能は必要ないという判断に至ったのであれば、安易な判断であり、検討が足りないのではないかと考えますが、所見を伺います。 先ほどのような事態が起きないために、精神科医療の提供に当たり、県央基幹病院には周辺病院と十分に連携していただきたいと考えておりますし、許可病床の制限のために基本的に新たな精神病床を設置することはできないことは承知しておりますが、精神疾患患者は内科等の症状が分かりにくいことから、緊急時用に4床程度の最小限の入院機能を設けることを検討できないか、所見を伺います。 次に、令和2年の本県の自殺者数は8月以降、前年同月を上回って推移し、年間では速報値で前年より16人増え、424人となっています。前年を上回ったのは11年ぶりとのことです。 新型コロナウイルス感染症による経済的影響が大きくなった令和2年4月から12月までの相談件数を見ますと、県で運営する新潟県こころの相談ダイヤルで1万8,455件、民間のボランティアで運営する新潟いのちの電話では1万2,776件の相談を受けている状況です。 県で運営する新潟県こころの相談ダイヤルは、日中は保健所につながりますが、夜間・休日は東京の委託業者につながり、居住地を選択するとナビダイヤルで案内され、相談の具体的な内容によっては専門の相談窓口を紹介されています。 傾聴だけが目的でないことから一定の理解はできますが、自殺願望のある相談者に対して、結果、何が聞きたいのですかといった事務的な対応になっていると言われています。 人の命に関わる自殺防止対策としての限界も感じていますが、現在の相談体制に対する認識や知事の考えるあるべき対応について伺います。 県のこころの相談ダイヤルと、いのちの電話の相談内容を比較すると、県のこころの相談ダイヤルは経済面や生活、就労相談などこれからどうすべきかという具体的な内容が多く、いのちの電話は人生面やメンタル、家族の問題や、孤独感から人と話がしたいといった、人の気持ちに寄り添う形の相談が多いとのことであります。 相談の内容を踏まえ、悩みを抱える方がより自分に合った相談窓口を選択し、適切な相談対応につながるよう、行政と民間の相談窓口の機能を明確にして周知すべきと考えますが、所見を伺います。 県が運営する、いのちとこころの支援センターは、上・中・下越、3か所の保健所に2名ずつの職員を配置して運営していますが、月曜から金曜まで、朝8時30分から夕方5時15分までの平日の日中のみの運営であります。御承知のとおり、相談は夜間が圧倒的に多いわけであり、日中のみの運営が理由かは不明ですが、ほかの相談窓口と比べても相談件数も少ない状況にあります。 片や新潟いのちの電話は24時間体制で2台の電話で対応しているため、相談者は30分以上電話をかけ続けないとつながらないことや、相談員は受話器を置いてすぐ次の電話が鳴るといった厳しい状況の中、対応しています。 いのちとこころの支援センターは、自殺未遂者やハイリスク者などに対して十分な対応ができているのか、センターの状況と課題を伺うとともに、在り方の見直しの必要性について伺います。 現在、顕在化している問題として、コロナ禍が原因で産後鬱になる女性が増加しております。コロナ禍前は5人に1人と言われておりましたが、現在は4人に1人が産後鬱の可能性があるというデータもあります。原因としてコロナ禍での外出禁止や両親に会えないことに加え、不慣れな産後の生活や、産休後、コロナ禍での会社復帰への不安などといったことが挙げられます。 少子化が進む中、コロナ禍にあってさらに増加すると考えられる産後鬱に対して、病院や産婦人科などと連携し、女性だけでなく男性も含め知識や理解を深めるなど、市町村の対策が強化されるよう県としても取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺います。 次に、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種についてですが、今後、準備も含め各市町村にて進められていくとは思いますが、各市町村の温度差や職員数の差、専門家の有無などから、インフルエンザ予防接種の延長に考えている可能性も考えられます。 県は医療調整本部にワクチン接種グループを設置し、市町村への支援を行うこととしていますが、高齢者や障害者、男性・女性と様々な方が接種を受け、また、副反応を確認する必要があるなど配慮すべきことが多岐にわたることから、県が接種会場の運営の標準モデルを示すなど指導・助言を行い、万全を尽くすべきと考えますが、所見を伺います。 また、既に標準モデルを検討しているのであれば、その内容について伺います。 ワクチン接種は努力義務であり、個人の判断となりますが、様々な報道により不安を覚え、接種をためらうことも考えられることから、ワクチン接種のメリットや、接種しないことによる個人や社会のデメリットを理解してもらうことが重要となります。 県民にワクチン接種の意義を理解してもらうために、県としてもCMなどにより広報していく必要があると考えますが、所見を伺います。 また、ワクチン接種を受けたくともアレルギーが理由で接種できない方や、妊婦などほかの理由で接種しない方が、店舗等への入店や入場を制限されたり、様々な場面で、あなたは予防接種を受けましたかと予防接種の有無を確認され差別を受けたりしないよう、理解促進に向けて周知していくことが必要と考えますが、所見を伺います。 最後に、薬物についてですが、本県の大麻取締法違反の検挙者は増加傾向にあり、中でも10代、20代が圧倒的に多く、特に10代の検挙者が増加しています。 若者の大麻への認識について、どのように考えているのか、知事の所見を伺います。 薬物乱用防止の取組として、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を展開しておりますが、大麻も含め、なぜ駄目なのか、体にどのような影響があるのかなどといった、駄目な理由が伝わってきません。運動の中で薬物の使用がなぜ駄目なのか伝わるよう効果的な周知・啓発を検討すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 また、SNS等で薬物の入手が可能であることや、若者に薬物使用が広がりつつあること、コロナ禍での巣籠もりも影響する可能性もあることから、今後の薬物使用の拡大が懸念されますが、これらに対し県警としてどのように取り組むのか方針を伺い、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 高橋議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、県外業者との契約状況についてでありますけれども、出納局における物品等の入札におきましては、原則として、県内企業のみによる競争参加を図るため、県内に本社のある業者に限定する地域要件を設定しております。 その運用に当たっては、入札契約制度の大前提である競争性を確保する必要があることから、専門性が高い、あるいは数量が著しく多い等の理由で、取扱い可能な県内企業が少数である場合に限り、県内に営業所等が所在する県外業者まで地域要件を広げ、それでも業者が少数である場合のみ地域要件を設定しないこととしております。 こうした段階を踏んだ取扱いを行った上での適正な競争の結果として、県外業者が一定の契約シェアを占める状況となっているものと考えています。 一方で、県内企業は地域経済や雇用の確保に大きな役割を果たしていることから、本県産業の活性化を図るためにも、自由で公正な競争を阻害しない範囲において、県内企業の受注確保に積極的に努めていくべきものと認識しており、県では平成19年に新潟県中小企業者の受注機会の増大による地域産業の活性化に関する条例を定め、県内発注・県内調達を推進しているところです。 次に、県内企業が受注する上での課題等についてでありますが、地域要件の段階的運用を図る中でも、調達案件の専門性や規模等のため、納品できる業者が県外業者のみであるケースや、価格競争力の差等によって、結果として県外業者が落札するケースが一定程度見られております。 県内企業は、経営規模が小さく、経営面で他律的な企業が多いことから、県の調達物品の提供に十分対応できない場合があるものと認識しておりますが、県といたしましては、県内企業の経営規模の拡大や専門性の向上、事業の高付加価値化などを支援することで、受注拡大につなげてまいりたいと思います。 次に、県外業者の営業実態等の把握についてでありますが、議員御指摘のとおり、営業実態等の把握には一定の限界があるものと考えております。 現在のところ、物品等入札参加資格者名簿に登載されている県外業者について、営業実態のない中で受注している旨の情報が寄せられた例や、県外業者が落札して調達に支障が生じた例はありませんけれども、一方で、正確な営業実態等を把握することは重要であることから、実態把握に係る、より適切な手法等について、他県の状況等も参考にしながら研究してまいります。 次に、発電地域が受ける経済的利益についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県を含む発電地域は電力消費地の生活や経済活動を支えていることから、電力消費地が享受する恩恵の一部が還元されるべきものと考えており、国において電源立地対策制度を設け、本県に対しても交付金が交付されているところです。 県といたしましては、この電源立地対策交付金について、対象地域の拡大などの要件緩和を通じた交付額の増額を国に要望しているところであり、地元市町村などの意見も踏まえ、今後も引き続き要望してまいります。 次に、原発立地県に対する新たな交付金の仕組みについてでありますが、原子力政策に関することについては、国において検討されるべきものと考えますけれども、議員御指摘の電気料金に上乗せする仕組みについては、電力消費者に新たな負担を求めることになるため、広く理解を得る必要があり、慎重に検討されるべきものと考えています。 次に、電源立地地域対策交付金の交付単価の引上げについてでありますが、議員御指摘の交付単価の引上げは、交付額の増額のための手法の一つでありますけれども、この交付金の財源は、電気料金の支払いを通じて実質的に広く国民が負担しているため、負担の増加には、国民の十分な理解が得られることが必要であります。 このため、本県の国への要望については、国民の理解を得られるよう、単に交付単価の引上げを求めるものではなく、東京電力福島第一原子力発電所事故により、防災対策を必要とする地域が拡大されたことを踏まえ、交付金の対象地域の拡大と予算の増額を求めるものであり、県といたしましては、その実現を引き続き働きかけてまいりたいと考えています。 次に、文教施設の運営手法の見直しについてでありますが、一般的には、直営においては、業務の安定性や継続性を確保しやすい一方で、民間運営と比較すると、創意工夫やコスト面に課題があるとされています。 今後、施設ごとに検討を進めていくに当たっては、こうした観点を踏まえた上で、各施設の役割や機能が、より効果的かつ効率的に発揮できるものとなるよう、様々な視点から検証を行いたいと考えております。 次に、文教施設の民営化によるサービス向上等についてでありますが、県有施設管理等検討委員会からは、より利用者の増加を図るために、広報や集客イベントの企画などの業務について、民間の能力を活用することも有効である等の御助言をいただいたところです。指定管理者制度を導入した他県では、家族連れでも気軽に訪れやすい環境づくりの工夫のほか、開館日数の増加や開館時間の延長等のサービスの向上につながっている事例もあると承知しています。 今後の検討に際しては、そうした事例なども参考として、民間の能力の活用により、施設の機能やサービスが向上する可能性などもお示ししつつ、それぞれの施設利用者の意見などもお聞きしながら、見直しの方向性を決定してまいりたいと考えています。 次に、民間事業者と連携した県営住宅の供給についてでありますが、県営住宅につきましては、住宅に困窮する低額所得者に対する住宅セーフティーネットとして、社会的に重要な役割を担っている一方、老朽化の進展に伴う維持・改修費の増大が課題の一つであると認識しています。 このため、耐用年数の到来する県営住宅等については、入居の需要を勘案し、所在する市と協議しながら、用途廃止を含め整理に取り組んでいるところです。 県といたしましては、議員の御指摘も踏まえ、PFI方式等による民間事業者との連携の検討など、引き続き効果的かつ効率的な手法による県営住宅の供給に努めてまいります。 次に、コロニーにいがた白岩の里の人件費についてでありますが、人件費率が高い理由については、当該施設は、民間施設での受入れが困難な最重度の障害者に対応するため、法令上必要とされる基準職員数よりも手厚い職員配置としていることがあります。また、障害者基本法等における地域共生社会の実現という理念の下、入所者の地域社会への移行を進めており、施設の規模に対して入所者が減少していることなども挙げられます。 県といたしましては、当該施設は民間では担えない最重度の障害者に対し、重要な役割を果たしていると認識しております。 一方で、民間施設との役割分担等も踏まえた効率的な施設運営という観点も重要であることから、現在、外部有識者との意見交換を行っているところであります。 次に、コロニーにいがた白岩の里の見直しについてでありますが、今ほど申し上げた外部有識者による施設の在り方の検討においては、地域共生社会の実現に向けた当該施設の役割等について、意見交換を重ねているところであります。 その中では、障害者が地域社会で生活するためのサービスが充実してきたことや、障害者支援のノウハウが民間に一層蓄積されてきたこと等を踏まえ、当該施設については、必要な機能に特化した適切な規模へ再編すべきや、民間の運営ノウハウを活用すべきなどといった意見も出されていると承知しております。 議員御指摘の指定管理者制度は、収支改善の効果を期待できる一つの手法でもあり、今後、有識者の意見の取りまとめ結果も踏まえ、現利用者とその御家族への支援を継続しながら、施設の見直しを進めてまいりたいと考えております。 次に、はまぐみ小児療育センターの運営状況等についてでありますが、はまぐみ小児療育センターは、主に肢体不自由児を対象とする中核的な療育機関として重要な役割を担っております。 一方で、医療の進歩に伴い、肢体不自由児は在宅療育が中心となったことにより、施設運営の柱である入院が減少し、定員との乖離が生じているため、収支は厳しい状況にあると認識しており、今後の施設の在り方について検討する必要があるものと考えております。 次に、はまぐみ小児療育センターの運営転換についてでありますが、近年は肢体不自由児の入院が減少する一方、発達障害の外来ニーズが増加し、初診外来の予約については、約2か月待ちが常態化しております。 議員御指摘のとおり、医療ニーズにマッチした運営転換により効率化することは重要ですが、他の病院との機能再編を行う場合には、現在の利用者に対する十分な配慮が必要と考えております。 なお、増加・複雑化する子供の心・障害に関する医療機能の再編や集約等については、小児医療あり方検討会から、各分野の専門家による検討の場を別途設けた上で、具体的な議論を行う必要があると提言をいただいたところです。 この議論を進めていく中で、はまぐみ小児療育センターの在り方についても議論していただきたいと考えております。 次に、小児医療あり方検討会で提言された小児専門医療施設についてでありますが、議員御指摘のとおり、医療資源が限られ、少子化も進行していることなどを踏まえ、施設の形態について、県内で医療資源が豊富な既存の総合病院1か所に必要な機能を付加する形が望ましいとの提言をいただいております。 県といたしましては、今後、小児医療に携わる専門家や県医師会関係者等で構成する検討会を設け、将来的な患者需要の見通しや医師等の確保の実現性などを踏まえながら、施設の規模を含めた詳細な検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、身体合併症を有する精神疾患患者への医療提供体制についてでありますが、精神疾患の有無や程度にかかわらず、県内どこに住んでいても安心して必要なときに、精神医療を含めた適切な医療を受けられる体制の整備が重要と認識しております。 県央基幹病院においては、他の医療機関の精神科と連携しながら、一般病床で精神疾患患者の身体合併症に対応できる医療提供体制を整備してまいりたいと考えております。 次に、自殺防止のための相談体制についてでありますが、自殺の背景・原因には様々な問題があるため、悩みを抱える方の心に寄り添う傾聴を主とした相談だけではなく、課題を整理して適切な相談窓口を紹介し、支援につなげることも重要であり、新潟県こころの相談ダイヤルは大変意義があると思っております。 日中の相談は、保健所において専門の職員が対応しており、研修等により資質の向上を図っております。 夜間・休日の相談を担っている委託業者においては、相談業務の経験がある精神保健福祉士等の有資格者が対応しており、一定の相談の質は担保されているものと認識しておりますが、今後は、委託業者と相談業務に当たっての課題等を意見交換し、相談対応マニュアルの充実を図るなど、相談の質の向上を一層図ってまいります。 次に、産後鬱への取組についてでありますが、産後は孤立しやすく育児不安を抱えやすいことから、議員御指摘のとおり、出産後の母親に対するメンタルヘルス支援は重要と認識しております。 県としましても、妊産婦メンタルヘルス協議会を立ち上げ、課題の抽出と共有を図るとともに、産科・精神科の医師や市町村を含む行政保健師等を対象とした研修会を開催するなど、産後鬱などのメンタルヘルスに不調のある妊産婦の早期発見・支援を行うことにより、切れ目のない支援を充実させ、行政と産科医療機関等の連携体制の構築を進めてきております。 今後とも、地域における連携体制構築の取組を広げるとともに、市町村が実施する両親学級において父親の知識や理解をさらに深めるよう取り組んでいただくなど、産後鬱への取組を進めてまいりたいと考えています。 次に、新型コロナウイルスワクチン接種の標準モデルについてでありますが、1月下旬に医療調整本部内にワクチン接種グループを立ち上げ、医師会、保健所や実施主体である市町村と定期的なウェブ上での情報交換を行うとともに、集団接種のモデルを設定し、マニュアルを作成した上で、3月5日には弥彦村において模擬訓練を行うこととしており、その内容について市町村や関係団体等と共有、連携を図ってまいりたいと考えております。 こうした取組により、市町村が円滑に接種を進められるよう支援してまいりたいと考えております。 次に、ワクチン接種の広報についてでありますが、予防接種の実施においては、議員御指摘のとおり、予防接種のメリットとデメリットに関する正しい情報を積極的に提供していくとともに、効果や意義など、安心して接種ができる情報を県民に提供することが重要と考えます。 県といたしましては、関係団体と十分に連携をし、テレビをはじめとしたメディアや動画等を活用しながら、医療従事者や県民に向けて、ワクチン接種について正しく理解いただくための効果的な啓発に取り組んでまいります。 次に、ワクチンを接種しない方々への理解促進に向けた周知についてでありますが、県といたしましては、これまでも、県ホームページや新聞、テレビ、ラジオなど、様々な広報媒体を活用し、新型コロナウイルス感染症を理由とした偏見や差別、いじめなどの行為は決して行わないよう啓発を行ってまいりました。ワクチン接種においても、議員御指摘のような差別が生じないよう、接種が難しい方についての情報も含め、正しい情報を積極的に提供し理解促進を図るとともに、効果的かつ継続的な啓発に努めてまいります。 次に、若者の大麻への認識についてでありますが、議員御指摘のとおり、近年、本県における大麻取締法違反で検挙された者は増加傾向にあり、特に10代、20代の若者の占める割合が高い状況にあります。 県警によれば、令和元年中に大麻で検挙された者のほとんどが、危険性が全くない、または、あまりないと述べているとのことであり、誤った認識が広まっていることが危惧されます。 薬物は一度始めると依存性があり、通常の社会生活を営むことが難しくなることを認識してもらうことが重要であることから、県といたしましては、若年層に対して正しい知識を啓発していく必要があると考えております。 次に、薬物乱用防止の効果的な周知・啓発についてでありますが、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動につきましては、県警や教育委員会、民間団体等と協力をし、例年、街頭キャンペーン等を通じて、広く県民に対し、薬物乱用問題に関する認識を高める取組を行っているところです。 議員御指摘の、薬物の使用が駄目な理由をしっかりと伝える取組につきましては、中学生から大学生までを対象に個別に配布しているリーフレットの中で、薬物乱用の悪影響を具体的に記載し知らせているほか、学校等が実施する薬物乱用防止教室に警察職員や薬剤師など専門知識を持った者を講師として派遣し、薬物乱用の危険性を丁寧に説明しているところです。 県としましては、今後も関係機関等と連携をし、薬物乱用防止に向け、効果的な周知・啓発に努めてまいります。   〔総務管理部長笠鳥公一君登壇〕 ◎総務管理部長(笠鳥公一君) お答えをいたします。 電力会社の分社化による本県の税収への影響についてでありますが、電力会社の法人事業税は、主に電力各社が保有する発電所や送電線等のうち、県内に所在するものの割合により税額が算定されますが、分社化により県内に発電用資産等を有しない会社に係る税が本県の税収にならない事例が発生しているところです。 分社化は、法律にのっとり企業の経営判断に基づいて行われたものと認識しており、企業の決算に関する正確な情報の把握が困難な中で、税収面での影響を明確に算定することは困難でありますが、分社化の前後の状況の比較からは令和元年度ベースで約40億円程度の影響があるものと見込まれます。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 4点お答え申し上げます。 県央基幹病院における精神疾患患者への対応についてでありますが、県央基幹病院基本構想や整備基本計画の策定委員会において、新潟県精神障害者家族会連合会等からの要望に対して、外来機能は必要であるが、精神病床は医療法上、既存病床数が基準病床数を上回っていることから設置することは難しい、自殺企図者等の救急患者に対するケアやフォローを行うことは必要である、との意見があったと承知しております。 こうした意見を踏まえ、県央基幹病院では、他の医療機関の精神科と連携しながら、一般病床で精神疾患患者の身体合併症に対応できる医療提供体制を整備してまいりたいと考えております。 次に、精神疾患を有する方の身体合併症への対応についてでありますが、県では、新潟県地域保健医療計画において、県全域を1つの医療圏として精神病床を確保する中で、多様な精神疾患等に対応できる医療提供体制の整備に努めております。 その中で、重篤な身体合併症の治療に当たる病院については、患者発生頻度が低いこと、多数の医師が連携して治療に当たる必要があること等、医療ニーズの量や質を踏まえ、精神病床を有する4つの総合病院を県連携拠点病院として位置づけております。 また、先ほど申し上げたとおり、県央基幹病院では、一般病床で精神疾患患者の身体合併症に対応できる体制を整備してまいりたいと考えております。 御指摘の精神科病院の事例について、詳細は承知してはおりませんが、地域において安心して必要なときに適切な医療を受けられるためには、精神科と内科・外科など身体疾患を担当する科との連携が重要であり、県においても、精神科と一般科との連携体制を強化する取組を進めてまいります。 次に、自殺防止のための相談窓口についてでありますが、自殺は様々な要因が重なり合って起きるものであるため、県の自殺予防のホームページにおいて、民間を含めた法律、就労、借金、介護など様々な悩みに対応できる相談機関一覧を掲載し、周知を図っているところです。 悩みを抱える方が自分に合った相談窓口を適切に選択できるよう、掲載する相談機関を充実させるとともに、それぞれの相談窓口の役割の違いを分かりやすく説明し、さらに周知を図ってまいります。 次に、いのちとこころの支援センターについてでありますが、いのちとこころの支援センターは、自殺未遂者等のハイリスク者やその家族、支援者に対する相談支援を強化するために平成24年に開設し、市町村をはじめ、救急告示病院や精神科病院等関係機関と連携し、個別ケースの支援に当たっております。 令和元年度の相談件数は、3つのセンターで合わせて2,169件となっておりますが、電話相談だけでなく、家庭訪問を含む対面相談などを行っており、1件当たりの相談時間が長くなる傾向にあります。 また、社会が多様化する中で、専門性を要する事例がさらに増えているという指摘もあり、従事する相談員の資質の向上も課題と考えております。 これらの課題を踏まえ、今後、関係機関と意見交換しながら、センターの在り方について検討してまいります。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) お答えいたします。 施設併設のメリットを生かした県立図書館等の組織体制・運営方法の見直しについてでありますが、県立図書館、生涯学習推進センター、文書館については、これまでも、兼務・併任職員の配置や、施設管理の民間業務委託など、3施設全体としての効率化を図ってきたところであります。 県教育委員会といたしましては、県有施設管理等検討委員会での助言や関係者の意見等も参考にしながら、3施設が併設する特性を踏まえ、効果的・効率的な運営及び県民サービス向上などの観点から総合的に検討を行ってまいります。   〔警察本部長山本有一君登壇〕 ◎警察本部長(山本有一君) お答えいたします。 今後の薬物使用拡大防止に向けた県警察としての取組方針についてでありますが、議員御指摘のとおり、近年県内では、特に大麻事犯での全検挙人員に占める30歳未満の若者の割合が増加しており、これらの中には大がかりな密売組織等からSNSを通じて、大麻を入手している実態が明らかになっております。 これに対しましては、今後も末端乱用者の検挙と併せて入手先等の捜査を徹底し、密売組織の摘発を強化してまいりたいと考えております。 また、薬物の具体的な危険性を各種媒体を通じて県民へ広報するとともに、青少年を対象とした薬物乱用防止教室の開催など、県や学校と連携した各種施策を推進しているところであり、引き続き取締りと乱用防止対策の両面からの取組を強化してまいりたいと考えております。 ○副議長(佐藤純君) 高橋直揮君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後2時52分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時10分 開議 ○議長(桜井甚一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、池田千賀子君の発言を許します。池田千賀子君。   〔池田千賀子君登壇〕(拍手) ◆池田千賀子君 未来にいがたの池田千賀子でございます。それでは、通告に従いまして質問させていただきますので、知事、よろしくお願いいたします。 柏崎市が主催して、原子力規制庁がリモートで出席いたしました、原子力規制庁による審査結果に関する住民説明会が先月12日に開催されました。 説明会では、東京電力のID不正問題について多くの市民が質問し、規制そのものへの不信の声も上がりました。 私も幸いに原子力規制庁に対して質問をすることができました。昨年9月に東京電力から事案の報告を受けた原子力規制庁が、考えを一転させて今年1月19日になって委員長に報告したのはなぜか。1月23日に新聞報道されると知ったからではないか。このように質問したのに対して原子力規制庁は、事案を、核物質防護の水準に係る指標の重要度を当初は規制関与なしの区分緑と位置づけていたものを、新聞報道されると知り、原子力規制庁幹部の指摘に基づいて、関与ありの区分白に変更して、原子力規制委員会委員長に報告をしたという内容でありました。 あまりにも素直な、正直な回答でありまして、その意味でも驚いているわけでありますが、これでは、原子力規制庁がよりどころとしている重要度評価そのものが、そもそも厳格なのかということになります。 世論の批判にさらされるおそれがあるとして変更したとも見えるわけでありまして、原子力規制に対する国民の信頼を大きく損なうものであると考えます。 知事は、県民の声を代弁し、原子力規制庁並びに原子力規制委員会に対し、県民の信頼に足る厳格な対応を強く申し入れるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、原子力規制委員会は、ID不正問題は適格性には該当せず、核物質防護の問題であるとしています。 原子力規制庁の説明によれば、東京電力から報告を受けた後、直ちに現地に入り、詳細を確認したということでありますが、無施錠、IDカードの持ち出し、ID情報の書換え、こういったことを把握してもなお、規制関与なしの緑と判断したことは、国民感覚とずれた甘さを感じるところであります。 東京電力は、設置変更許可の段階で、ほかの原子力事業者には問われない適格性ということを加えて審査が行われたわけであります。 この事案発生時期は、保安規定への反映確認が行われていた時期であります。ID不正問題が加味されずに認められた保安規定の変更認可は、やり直すべきと考えるのは当然のことであり、適格性に該当しないという原子力規制委員会の見解は、到底県民が理解できるものではありません。 知事も柏崎市長と同様に、原子力規制委員会に対して再考を求める必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、原発事故に関する3つの検証体制・ロードマップでは、各検証委員会から検証総括委員会に報告をしながら検証を進めることになっております。 検証総括委員会が3年にもわたり開催されてこなかった理由を伺うとともに、各検証委員会の報告書が検証総括委員会には報告されず、知事に直接提出された理由について伺います。 次に、検証総括委員会委員長は、検証の進め方について、市民の意見をいろいろ聴取しながら進めていく。出した結果を説明すればいいというものではないと述べ、県民の参加を求めながら進める重要性を強く指摘しております。 これは、県民の意思を確認するプロセスが必要という知事の考え方とも一致するものと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、柏崎刈羽原発の安全性を議論する技術委員会は、現在は、柏崎刈羽原発の安全管理に関する確認に入っております。 県は、このタイミングで、委員全14人のうち7人の委員を再任しない方針を示しました。 県が設置する審議会等附属機関並びに協議会・懇談会合計193のうち、令和2年3月末現在で、直近の改選時に70歳以上の委員の再任状況を見ますと、再任しなかったのは19.8%でありました。 技術委員会が担っている役割の大きさや議論の継続性の観点から、残念ながら県民の納得は得られていないと感じております。 本県独自の原発に係る検証は、県民に強く支持されてきました。今般の不再任は、県民の信頼感、納得感をむしろ失わせるものと考えます。非常にもったいないと私は思います。このことについて、知事の所見をお伺いいたします。 技術委員会は、柏崎刈羽原発の安全対策の確認事項である21項目の確認を行い、技術委員会としての確認結果を示していくものと理解をしておりますが、この理解に間違いないか、知事の所見をお伺いいたします。 また、21項目の確認結果が示されなければ再稼働についての知事判断はできないものと考えますが、併せて所見をお伺いいたします。 次に、県は、原発事故時の避難方法を検証する避難委員会の役割を課題の論点整理までとして、論点整理で示された課題は県が対策を検討し、その結果を避難計画に反映するとしております。 これでは、検証結果が本当に安全な避難につながっているかどうかは不明ということになります。知事及び県民は安全な避難について判断できないものと考えます。 私は、避難委員会には安全な避難が可能かどうかまでを検証していただくべきであると考えますが、論点整理までとするのはなぜなのか、理由を伺うとともに、論点整理までとするのであれば、安全な避難方法はどのように確認をするのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、柏崎市は今冬、災害救助法の適用になるほどの大雪でありました。県にも大変お世話になったと思っておりますが、市民は原発事故のときには、避難はもはや困難という実感を強く持つことになりました。 今、PAZ圏内の住民有志の皆さんが、豪雪時の避難について、県並びに市村に文書で回答を求める活動を提起しております。 道路除雪もままならない、公共交通機関の麻痺という状況の下で避難は可能なのか、率直な知事の所見をお伺いしたいと思います。 また、降雪時の避難というテーマは、雪が降る本県においては基本的検証事項と考えますが、避難委員会においてどのように議論検証が行われてきたのか、お伺いいたします。 次に、原子力災害時には医療機関は多数の被曝傷病者を受け入れることが予想されます。 柏崎市に立地する柏崎総合医療センターは、原子力災害医療協力機関になっておりますが、放射線防護対策施工済みの部屋の収容人員は150名ほどでしかなく、一部の入院患者と職員くらいしか収容できない広さであると聞いております。 原発立地地の医療機関は、原発災害時には我々が傷病者を受け入れるしかないという覚悟を持っておられます。 県は、それに甘えることなく、困難な役割を担う原子力災害医療について、医療従事者の被曝・汚染対策に関して積極的な役割を果たす必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、安全対策工事が実は未了であったことが東京電力から次々と発表され、原子炉起動後の検査に進むとしていた検査工程は、ついに未定に変わりました。 ID不正問題もあり、東京電力は再稼働の事前同意を求める段階に進むことすらできないと考えますが、再稼働のための同意の時期について知事はどのようにお考えか、所見をお伺いいたします。 また、このような事案が発生しているからこそ、再稼働について県民の意思の確認の必要性は高まったと考えます。 私は、今回、グーグルのフォームを活用してウェブアンケートを実施いたしました。314人の方から御回答いただき、回答者の8割が新潟県民でありました。 知事がさきの知事選で述べられた、再稼働の是非は県民に信を問うという言葉は何を意味すると思うかと聞いてみたところ、県民投票を指すが43%、県民投票または知事選挙を指すが31.8%、次の知事選挙を指すが11.5%でありました。 また、県民の意思の確認を実際にはどのような方法で行うべきと考えますかという設問に対して、79.6%の方が県民投票と回答されました。 県議会の賛否のみでなく、知事の公約どおり県民に信を問う形での県民の意思の確認が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、令和3年度事業と課題についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスワクチン接種は、市町村が医療従事者等を除く住民の接種を担っており、負担は相当大きいと考えます。 県はどのように市町村を支援していくのか、お伺いいたします。 また、市町村により医師・看護師等医療体制に大きな差があることから、医師・看護師の派遣調整を県が実施する必要があると考えますが、併せて知事の所見をお伺いいたします。 ワクチンの円滑な接種には様々な課題がありますが、私は、最大の課題はワクチンが順調・潤沢に確保されることであると考えます。 ファイザー社ワクチンは、超低温冷凍保存が必要であることに加え、希釈が必要であること、希釈後は一定期間内に使い切ることが必要なことなど、自治体が作成した接種スケジュールと必要なワクチン数を一致させることに懸念の声が多く聞かれます。 ワクチン確保の見通しについて伺うとともに、県並びに市町村の接種が順調に行われるように、ワクチンの確保については県が国との間で十分に調整を担う必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、地域医療構想の実現に向け、県としての検討が行われていると承知をしております。県として基本的な考え方を示すことは重要であり、今後の圏域ごとの検討に資するものであると考えます。 一方で、中核病院に位置づけられる病院が自身の居住地から遠いなどの県民の不満や、連携病院に位置づけられた病院が従前の診療科目から狭められるなどの経営上の課題等、総論は賛成としても、各圏域の議論は難航することも予想されます。 こうした課題にどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県は第2次子どもの貧困対策推進計画の策定に向け、素案を示していると承知しております。 子供の貧困対策は、各自治体が現状を把握した上で講ずるべき施策を明確にすることに加え、公的支援だけでなく、フードバンク等の民間支援団体との連携が必要だと考えます。 第2次計画では、この点についてどのように盛り込んで施策を推進していくのか、知事の所見をお伺いいたします。 雇用調整助成金などの雇用維持施策は、雇用の維持に寄与してまいりましたが、離職を余儀なくされる人は増加しております。非正規雇用の比率が高い女性が特に大きな影響を受けていると言われております。 そのために、就業支援の強化はもとより、減収により生活が困窮する方々への支援の実施については、必要な方々に施策が認知され、行き届く工夫が必要であると考えられます。 県における生活困窮者支援策を周知する取組の状況について伺うとともに、どのように支援の強化を図っていくのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、知事は2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを表明され、県地球温暖化対策地域推進計画改定案を示しておられます。 令和12年度に、平成25年度比26%削減という目標の1割をリーディングプロジェクトで削減するとしておりますが、残りの大部分、9割をどのように削減するかについては明確に示しておられないと承知をしております。 どのように削減を進めるのか、知事の所見をお伺いいたします。 また、改定案によりますと、本県の温室効果ガスの排出量は、平成2年度と平成30年度の比較で、産業部門、運輸部門は減少しておりますが、民生業務部門が1.47倍、民生家庭部門は1.3倍に増加しており、民生部門の削減が急務であると考えます。 また、平成30年度県民経済計算の概要によりますと、家計最終消費支出の中の住居・電気・ガス・水道に係る支出が家計支出全体の約17%を占めており、再生可能エネルギー等の地域資源を利用した分散型エネルギーの活用を図ることは経済の地域内循環にも資するものと考えます。 したがいまして、分散型エネルギー活用を強く打ち出すべきではないかと考えますが、併せて所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域農業は農業生産という側面だけでなく、県土を守る公益的機能を果たしてきております。 しかしながら、農家数の減少や高齢化の進行、平場よりも農地集積が難しいなど、課題は多いと考えます。 県はこれまで、「公的サポート」モデル事業等の中山間地域農業対策を実施してこられましたが、これまで推進してきた政策の評価についてお伺いいたします。 また、今後はどのように中山間地域農業の維持を図っていくのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、多忙を極める学校現場におきまして、スクール・サポート・スタッフは教職員の授業準備を補助し、欠かせない存在となっております。 また、新型コロナウイルス感染症対策として、必要な消毒作業に特化した人員を確保している市町村は非常に少ない中で、スクール・サポート・スタッフが消毒作業も担っている実態があると承知をしております。 新年度におきましては、同スタッフの配置事業が勤務時間の短縮、あるいは市町村負担が生じる形で見直されるということでありますが、教職員の負担を不安視する声も聞いており、見直しは適当ではないと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。 次に、地域交通課題についてお伺いいたします。 まず、鉄道政策についてであります。 関係各県と共に本県が要望しております羽越新幹線の整備は、太平洋側の基幹鉄道の代替機能として重要であり、今後も災害の発生が懸念されることから、重要性は高まっていると考えます。 北陸新幹線整備後の整備新幹線選定に注目が集まっております。本県としては、日本海国土軸形成が十分に加味されるよう国に働きかけを行っていくことが重要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 国土交通省の幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査では、平成29年度に在来線高速化手法、既存の幹線鉄道との接続手法等の研究が行われ、大いに期待をいたしました。 しかし、それ以後は、新幹線整備後の在来線について、沿線の人口減少などを踏まえて、鉄道以外の他の地域交通の検討が述べられるなど、むしろ在来線高速化から後退しているように見えます。 本県においては、上越新幹線、北陸新幹線に挟まれた長岡-上越妙高駅間の在来線高速化が新幹線を生かすことにつながり、速達性向上に寄与することを国に対してしっかり打ち出すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、羽越・奥羽新幹線関係6県合同プロジェクトチームによる検討結果が近く示されると聞いております。 青森から秋田、山形、新潟、富山という羽越新幹線ルートには、現行の在来線区間、長岡-上越妙高駅間が含まれると想定されるので、注目しているところであります。 羽越新幹線実現までの間、この区間の高速化を進めることは、本県のみならず関係各県にも資するものであるため、本県としては、長岡-上越妙高駅間の高速化に向け、議論の方向性を導いていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県は地域の移動手段確保支援事業を実施し、県内各地でデマンド型の乗合タクシー等の取組が生まれております。 様々な移動手段確保は必要である一方、路線バス維持は県民の関心が高く、その必要性は変わるものではありません。 また、県民の移動手段を担うバス会社を支えることにもつながるため、自治体の重要な施策であると認識をしております。 県の生活交通確保対策補助金は路線バス維持に大きく寄与しておりますが、補助要件である平均乗車密度を満たすことができなくなった路線が県単要件から外れてしまい、対象除外となる路線が発生しております。 補助要件を緩和して、市町村と共に県民の生活交通を守るべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県政の諸課題についてであります。 公債費負担の大きさが本県財政の中心的な課題であると認識をしております。全国のほとんどの県が実質公債費比率を改善させる中、本県は全国ワースト2位と状況が悪化していることについて、早期の改善を求めてまいりました。 公債費負担のピークは、行財政改革行動計画の計画期間終了後であります令和13年度に来るわけでありますが、今回改訂しました中期財政収支見通しによれば、令和13年度に向けて、県債管理基金(公債費調整分)の確保に努めるとしており、基金の積み戻し額を令和3年度から令和7年度まで毎年50億円と見込んでおります。 この50億円の積み戻しの可否が、令和13年度の山を越える大きな要素と受け止められます。 歳入歳出に与える影響は様々あると考えられる中で、確実な50億円の積み戻しの達成見通しについて所見をお伺いいたします。 また、できるだけ短い期間で20億円から30億円程度のさらなる収支改革とおっしゃっていますが、これはどの程度の期間を想定しておられるのか、併せてお伺いいたします。 国は、感染症対応業務に従事する保健所保健師の恒常的な人員体制を強化するために、必要な地方財政措置を講ずることとしており、令和3年度から2年間で、全国約1,800人の保健所保健師を1.5倍の2,700人に増員するとしております。 本県の保健所保健師の人員体制について現状を伺うとともに、今後の増員の方向性について、知事の所見をお伺いいたします。 自動車産業は日本の基幹産業であり、輸出の主要品目となっております。産業としての裾野も広く、本県においても地域経済を支えております。 一方で、次世代自動車産業は、既存の自動車企業に加え、EVや自動運転を得意とするIT企業、シェアリングサービスなどのテクノロジー企業など、他分野の参入が見込まれ、ガソリン車からEV・FCVへの移行が進むとされております。 EV車は部品数が格段に少なく、標準化された部品を組み合わせることが可能なことから、いわゆる熟練の技による部品提供の必要性が低下し、サプライチェーンは大きく見直されると言われております。 これまでのエンジン車生産によって賄われてきた雇用の維持は困難ではないかとも言われていることから、本県の自動車関連産業がこうした状況を的確に捉えて変化に対応できるよう、情報提供や支援を行っていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、国の第5次男女共同参画基本計画は、選択的夫婦別姓の文言が削除されるなど当初案から後退したほか、指導的地位に占める女性の割合の目標達成期限が先送りされました。 自由民主党の国会議員有志が選択的夫婦別姓制度導入に反対する文書を地方議員に送付していたことが報道されるなど、ジェンダー平等や多様性重視について国の政策が大きく揺らいでいると言わざるを得ません。 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森前会長の女性蔑視と受け止められる発言や辞任に至る一連の経過は、日本の姿勢が世界から疑念を抱かれかねないものとなっています。 本県においては男女共同参画社会の実現に向け、政策を確実に推進していくべきと考えますが、知事の決意についてお伺いいたします。 本県は、林業振興に係る目標について、令和6年度までに年当たりの素材生産量を25万立方メートルに増やすことを目標にしていると承知をしております。 燃料用材は増加しているものの、製材用材は伸び悩んでおり、目標達成に向けた課題は多いと考えられます。 川上から川下までの県産材の流通を拡大させる施策が必要であり、特に川中にある製材業については、より積極的な施策が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 最後の質問であります。 今冬の大雪は、公共交通機関で登校する高校生や自家用車を通勤手段としている教職員の出勤に極めて大きな影響を与えたものと思われます。 高校生の登校並びに教職員の出勤への影響についてお伺いいたします。 また、大雪の中で登校・出勤することへの安全性、そして長時間かけて学校まで仮に行くことができたとしても、結果的に登校できた生徒が少なく、結局はいつもどおりに授業を進められないということなど、こういった状況を考え合わせた場合には、むしろ場合によっては臨時休校を早期に判断したほうがよいのではないかとも考えられます。 大雪などの登校・出勤困難時の休校の判断基準について教育長の所見をお伺いし、一般質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、原子力規制庁及び原子力規制委員会への申入れについてでありますが、今回の対応については、今後、原子力規制委員会で議論されると伺っておりますので、まずは、その評価を見極めたいと思います。 次に、原子力規制庁及び原子力規制委員会に再考を求めることについてでありますが、今回の事案を受け、原子力規制委員会は、東京電力に対し、改善措置活動の計画と実施結果について報告を求め、今後追加検査を実施すると聞いており、まずは、その結果をしっかりと確認したいと考えております。 いずれにいたしましても、このような事案、事態を生じさせたことは、東京電力の管理能力について、何らかの形で改めて評価すべきことと考えております。 次に、検証の進め方についてでありますが、それぞれの検証委員会において各分野の専門家の知見に基づき、科学的、合理的に検証していただいております。検証総括委員会においては、その結果について矛盾等がないか各委員に確認していただき、3つの検証の取りまとめをしていただきたいと考えており、委員の皆さんにもその旨お伝えいたしました。 県民の皆様には、検証作業の途中ではなく、こうして検証結果が取りまとめられた後、県において結果について広く情報共有し、評価を頂きたいと考えています。 その上で、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆様にお示しします。 そして、その結論について、県民の皆様の意思を確認するプロセスが必要と考えています。 次に、技術委員会委員の選任についてでありますが、技術委員会は柏崎刈羽原子力発電所の安全管理・安全の確認のために平成15年に設けた委員会であり、各分野の専門家に最新の知見に基づき、客観的かつ科学的に議論していただいており、これまでも適宜、多くの委員が交代してきているところです。 平成23年の福島原発事故発生を受け、県から技術委員会に対し、臨時的に福島原発事故原因の検証を依頼したことから、この検証作業が行われている間は、県の要綱にある例外規定を適用し、委員を再任してまいりました。 今回の委員選任は、昨年10月にこの福島原発事故原因の検証報告書が取りまとめられたことを受け、県の要綱を踏まえて行いたいと考えております。 次に、技術委員会の活動についてでありますが、議員御指摘のとおり、現在、福島原発事故の検証により抽出した課題や教訓も踏まえながら、本来の任務である柏崎刈羽原発の安全対策の確認を行っていただいているところですが、最終的に、何らかの取りまとめが行われるものと考えています。 原発再稼働については、これまでもお答えしてきたとおり、3つの検証結果が示された後に議論を始めたいと考えております。 なお、柏崎刈羽原発の安全性については、3つの検証の結果と、技術委員会における施設の安全性についての確認結果とを併せて総合的に判断していくべきものと考えております。 次に、避難委員会の役割と安全な避難方法の確認についてでありますが、避難委員会には、技術委員会が福島第一原発事故の課題と教訓を検証結果としてまとめていただいたのと同様に、避難に係る課題を抽出し整理していただいており、それが検証結果となるものと考えています。 委員会において示される課題の解決については、広域避難計画を策定する県として対策を検討し、国、市町村、関係機関と連携して取り組むべきものと考えており、その結果を避難計画に反映することによってその実効性を高めてまいりたいと考えています。 次に、豪雪時における安全な避難の実現についてでありますが、豪雪時の避難については、今冬の経験を踏まえ、国、市町村、関係機関と連携をし、効率的な除雪について検討してまいりたいと考えています。 また、1月に、柏崎市において冬季の原子力災害を想定した避難訓練を実施したところであり、今後とも条件を変えながら、様々な想定で訓練を行うことによって、原子力災害時における対応力の向上を図ってまいります。 なお、避難委員会における豪雪時の避難に関する議論については、防災局長からお答えいたします。 次に、原子力災害医療従事者の被曝・汚染対策における県の役割についてでありますが、原子力災害医療協力機関である柏崎総合医療センターにおいて、昨年10月に県の原子力防災訓練を実施し、患者の搬送についてシミュレーションを行ったところです。 今後は、他の医療機関でも様々な事態を想定した訓練を行い、医療機関・医療従事者の対応力の向上に努めてまいります。 あわせて、原子力災害拠点病院の協力の下、原子力災害医療の基礎的・実践的な研修を行うとともに、医療機関の果たす役割に応じて、防護服や放射線測定機器など原子力災害医療に必要な資機材を配備してまいります。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を判断する時期と県民の意思の確認についてでありますが、原発再稼働に関する議論は、先ほどお答えしたとおり、3つの検証の結果が示された後に始めたいと考えており、結果が出ていない中で再稼働の是非を判断する時期を見通すことはできません。 また、県民の意思の確認については、検証結果が出た後、3つの検証の結果を、広く県民の皆さんと情報共有するとともに、評価を頂き、その上で、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆さんにお示しします。そして、その結論について、県民に信を問うことも含め、県民の皆様の意思を確認するプロセスが必要であるという、これまでお示ししてきた考えに変更はございません。 なお、県民の意思を確認する方法については、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で決めているわけではありませんけれども、私は信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法であると考えています。 次に、令和3年度事業と課題についてお答えします。 まず、新型コロナウイルスワクチン接種に関する市町村支援についてでありますが、一般住民に対するワクチン接種については、市町村が実施主体となりますが、県では、医療調整本部内に市町村支援チームを含むワクチン接種グループを立ち上げ、体制強化を図っており、市町村との定期的な情報交換や集団接種マニュアルを作成した上での模擬訓練の実施等、必要な支援を行っていくこととしております。 また、医師・看護師確保については、県からの支援を望む声も寄せられていることを踏まえ、様々な関係団体に対し協力をお願いしたところであり、加えて、限られた医療体制でも実施可能な運営方法等を助言するなど、接種可能な体制構築に向けて、支援を行ってまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルスワクチンの確保についてでありますが、新型コロナウイルスワクチンの確保については、国で一元的に行うものであり、確保状況や各自治体の接種スケジュールを踏まえ、接種施設に供給されるものと考えております。 自治体における接種が円滑に進められるよう、今般の全国知事会においては、国に対し、十分な量のワクチンを確保し、供給されるワクチンの種類や量、また供給時期についていち早く詳細にわたり自治体に示すよう緊急提言を行ったところです。 県といたしましては、必要な時期にワクチンが確実に供給されるよう国とも十分に調整し、市町村等の関係者と情報を共有してまいります。 なお、ワクチン確保の見通しについては、福祉保健部長からお答えいたします。 次に、地域医療構想の実現に向けた課題への取組についてでありますが、昨年11月に新潟県地域医療構想調整会議を開催して以降、医療関係者等と意見交換を行っているところであり、その中では、議員御指摘の連携病院の在り方をはじめ、救急医療等に関する病院間の役割分担の在り方や、今後、増加が見込まれる後期高齢者の入院需要への対応策などについて意見が挙げられているところです。 県といたしましては、こうした意見等を踏まえながら、病院の機能や役割など大枠の方向性を年度内に取りまとめたいと考えております。 さらに、次年度以降、各圏域において、将来的な人口動向や医療需要などのデータをお示しするとともに、医療機能の転換に伴う経営上の課題をはじめ、地理的条件や医療機関へのアクセスなど、各圏域・地域の実情を考慮しながら、市町村を含む関係者と具体的な議論を行ってまいりたいと考えております。 次に、第2次新潟県子どもの貧困対策推進計画についてでありますが、議員御指摘のとおり、市町村が現状を把握した上で、地域の実情に応じた取組を進めることが必要という観点から、令和元年9月の法改正により、市町村における子供の貧困対策についての計画策定が努力義務とされたところです。このことを踏まえ、第2次計画におきましては、全ての市町村において計画が策定されるよう、研修会の実施等を通じ支援していくこととしております。 また、支援を必要とする人を適切に支援していくためには、行政だけではなく、新たな支援の担い手であるフードバンク等の民間団体とのさらなる連携が必要と考えております。このため、市町村とこのような民間団体を結ぶネットワークの構築に取り組むこととしており、こうした取組を進めることで、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指してまいります。 次に、生活困窮者対策の周知と支援の強化についてでありますが、生活に困窮する方に対しては、県及び市が自立相談支援窓口を設置し、相談支援員が支援プランを作成して、就労支援、家計改善などの自立支援や、各種給付金や貸付けの専門窓口へつなげるなどの支援を行っており、本年度は、前年度を大幅に上回る相談に対応しています。 この相談窓口を利用するきっかけは、市町村の保健や税などの部署、ハローワークなど関係機関からの紹介が約4割、広報によるものが1割強となっていることから、相談窓口等を知っていただく広報の取組が必要と考えております。 このため、今後、女性や若年層などを含む幅広い層に向け、SNSを活用した広報を行うほか、案内チラシの全戸配布や、市町村行政無線などを活用した情報発信に市町村と共に取り組んでまいります。 また、新年度において相談支援員を増員し、体制を強化してまいりたいと考えております。 次に、リーディングプロジェクトによる温室効果ガスの削減と再生可能エネルギー等の活用についてでありますが、県では、県全体の温室効果ガス排出削減目標達成のため、削減効果の高い直接的な取組や、広く普及啓発する取組をリーディングプロジェクトとして位置づけ、まずは直接的な取組により1割の削減に向け重点的に取り組むとともに、こうした取組を広く紹介することにより、県民や事業者の意識向上や実践行動の拡大を図り、残り9割の削減を牽引してまいりたいと考えております。 さらに、昨年9月に県として表明した温室効果ガス排出量実質ゼロに向けて、新年度には、これまでの取組を加速・推進する具体的な戦略を関係者と共に検討し、県全体の目標達成につなげてまいります。 また、分散型エネルギーの活用は、議員御指摘のとおり、経済の地域内循環にも資すると考えられるため、新年度において、地域循環型再生可能エネルギーの導入に向けた調査を支援するなど、幅広く再生可能・次世代エネルギーの導入促進に取り組んでまいります。 次に、中山間地域農業の維持についてでありますが、県ではこれまで、産業政策と地域政策を車の両輪として、農業・農村の振興を図ってまいりました。 平場では担い手への農地の集積が進み、機械化や大規模化等による生産性の向上が進むなど、一定の成果を上げていると認識しています。 一方、耕作条件の厳しい中山間地域では、農家数の減少や高齢化は深刻化しており、これまでの生産性向上や農業による地域の活性化といった視点だけではなく、農業をベースに多様な人材が多様な働き方で中山間地域を維持・発展させる政策が必要であると考えています。 このような状況の下、国は昨年、新たな食料・農業・農村基本計画を策定し、ビジョンづくりや多面的機能の発揮など、中山間地域等をはじめとする農村に人が住み続けるための条件整備を、施策の柱に位置づけました。 広域自治体である県といたしましては、中山間地域農業の維持・発展に取り組む人材を養成していくとともに、農業について高度な技術や経験を持つ普及指導員を中心に、地域と寄り添いながら、地域課題の解決に向けたビジョンづくりや組織づくりなどを、関係機関と連携して支援してまいります。 次に、地域交通課題についてお答えいたします。 まず、羽越新幹線の整備に向けた国への働きかけについてでありますが、議員御指摘のとおり、日本海側を縦貫する羽越新幹線の実現により、日本海国土軸の強化とともに、太平洋側での大規模災害時のリダンダンシーが確保され、本県の一層の拠点性向上や、地域経済の維持・発展につながるものと考えています。 県といたしましては、これまでもこうした観点から、山形県等の関係県と連携をして、整備に向けた調査・検討や、国への要望に取り組んできたところであり、引き続き、羽越新幹線整備の意義や必要性を踏まえ、実現を国に強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、在来線高速化に関する国への働きかけについてでありますが、在来線の高速化については、これまでも関係同盟会などを通じて、国に働きかけてきたところであり、高速化の具体的な方策については、今年度の国の調査において、検討されているものと承知しております。 県といたしましては、上越・北陸両新幹線をつなぐ信越本線の高速化等による利便性向上やアクセスの改善は重要と考えています。国の調査の状況を注視しつつ、引き続き在来線高速化の必要性を訴え、調査・検討を進めていくよう求めてまいります。 次に、長岡-上越妙高駅間の高速化についてでありますが、羽越・奥羽新幹線のプロジェクトチームでは、整備に向けた費用対効果や整備手法等の検討を進めており、関係6県に共通する課題である新幹線の早期実現への対応を、第一義的な目的としているところです。 しかしながら、県といたしましては、長岡-上越妙高駅間の在来線の高速化による、利便性向上やアクセスの改善は重要と考えており、引き続き沿線市町村や関係同盟会と連携しながら、様々な機会を捉えて、新幹線と在来線の直通運転化や優等列車の充実等に向けた取組を進めてまいります。 次に、路線バスへの補助についてでありますが、地域にとって必要な路線バスの運行を確保するとともに、その路線が補助により持続的に運行できることも必要であることから、補助には利用者数や運行回数について一定の要件を設けているところです。 利用者の減少等により補助対象から外れる路線も見られますが、県といたしましては、こうした路線を含む地域に対して、より実情に合った、効率的な輸送サービスへの転換を図ることへの支援も必要と考えており、これまで市町村等に対して、乗合タクシー等の新規導入や、複数市町村が連携して新たな需要を取り込むバス運行などの取組に対して支援を行ってきたところです。 引き続き、市町村や民間事業者と連携しながら、地域の実情に合った持続可能な地域公共交通の実現に努めてまいりたいと考えております。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、中期財政収支見通しにおける基金積み戻し額とさらなる収支改革についてでありますが、基金積み戻しについては、これまでも県税や地方交付税の上振れ、執行段階での経費節減などによるものであり、過去の積み戻し実績などから50億円と見込んでいるものです。 なお、令和2年度の積み戻しは、大雪による大幅な歳出増の影響等により24億円程度と見込んでいます。 また、さらなる収支改革については、令和5年度までの行財政改革行動計画の期間内を一つの目途として、取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県の保健所保健師の今後の増員の方向性についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策において、疫学調査をはじめとした感染防止対策や医療提供体制の整備など、地域保健行政の中心的存在である保健所の役割は大きいことから、体制強化は重要と認識しており、令和3年度当初の正規職員の追加採用を行ったところです。 今般、国から保健師の増員方針とそのための地方財政措置が示されたことを踏まえ、今後さらなる増員を行うなど、体制強化を図ってまいります。 なお、県の保健所保健師の人員体制の現状につきましては、福祉保健部長からお答えいたします。 次に、自動車関連産業への支援についてでありますが、自動車業界は、環境規制の強化に伴う電気自動車の普及や自動運転技術の開発競争などの大きな変革期を迎えております。 本県産業においても、こうした状況の下、最新の業界動向を的確に捉え、メーカーニーズに対応した技術開発に取り組むことが必要となってきていると考えております。 県では、これまでもセミナーの開催や共同研究による技術開発、自動車メーカー向け展示商談会の開催等を通じ、県内企業の受注獲得に向けた支援を行ってきたところであります。 県といたしましては、引き続き、最新の業界動向の情報提供や技術開発力の強化に向けた取組等を行うことに加え、新たに研究会を立ち上げ、FCV等の水素関連産業への参入を支援するなど、社会経済活動の変化や企業ニーズ等を十分に踏まえた支援に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、男女共同参画社会の実現のためには、家庭、職場、地域社会等のあらゆる場面で、性別に関わりなく、それぞれの個性や能力を生かした多様な生き方を認め合うことの大切さを理解することが重要と考えております。 このため、第3次新潟県男女共同参画計画では、根強く残る性別による固定的役割分担意識の解消や、ワーク・ライフ・バランスを可能とする職場環境づくり、女性のキャリア形成支援などを課題として取り組んでいるところです。 県といたしましては、来年度、次期計画の策定を予定しており、引き続き男女共同参画社会の実現に向けて、取組を進めてまいります。 次に、県産材の流通拡大と製材業に対する施策についてでありますが、県では、林業の成長産業化を目指して、県産材の生産拡大・利用拡大に取り組んでいるところです。 素材生産拡大の目標達成に向けては、製材用材の主要な供給先である住宅での県産材の需要を拡大させることにより、その効果を川中、川上へと波及させ、製材品の増産を促し、素材生産の拡大につなげていくことが重要であると考えています。 議員御指摘の製材業は、県産材流通の要であり、生産性の向上を図る施設整備の支援に加え、消費者ニーズが高い県産材製品の開発や販路開拓の取組を支援し、市場競争力の強化につなげてまいります。   〔防災局長熊倉健君登壇〕 ◎防災局長(熊倉健君) 2点についてお答えいたします。 検証総括委員会の開催と検証委員会の報告書についてでありますが、3つの検証委員会は各担当課長の求めに応じて検証を行っていただいていることから、報告書は、知事に提出していただきました。 また、検証総括委員会の開催についてでありますが、個別の検証の取りまとめに合わせて開催したいと考え、この間、各委員と個別の検証状況について情報共有を行ってまいりました。今般、技術委員会と健康・生活委員会の生活分科会における検証が取りまとめられたことから、今年1月に開催いたしました。 次に、避難委員会における豪雪時の避難に関する議論についてでありますが、委員会においては、避難時の積雪の影響について、現在県で実施しております原子力災害時避難経路阻害要因調査の結果を踏まえ、確認することとしております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 2点についてお答え申し上げます。 新型コロナウイルスワクチンの確保の見通しについてでありますが、国からは、2月14日に承認されたファイザー社のワクチンについて年内に約1億4,400万回分のワクチンの供給を受けると契約されているほか、アストラゼネカ社やモデルナ社との契約も締結されており、今後、順次ワクチンの供給が見込まれると聞いているところです。 ワクチンの確保については、国と製薬会社との間で調整されるものと認識しておりますが、円滑なワクチン接種を進めるためには供給スケジュールなどの詳細な情報が必要なことから、国の責任において速やかに情報提供されるよう全国知事会を通じて求めているところです。 次に、県の保健所保健師の人員体制の現状についてでありますが、令和2年4月1日現在、79名が在籍し、そのうちの16名が平時における感染症対応業務を担当しております。 新型コロナウイルス感染症の陽性患者が発生した保健所においては、まずは当該保健所内で職員を総動員して業務に当たるとともに、一時期に陽性患者の発生が重なった保健所に対し、本庁やほかの保健所からの保健師の派遣や、県内市町村との協定に基づく市町村保健師の応援などにより機動的に取り組んでまいりました。 また、体制強化を図るため、年度途中における保健師の臨時採用や、令和3年度当初の正規職員の追加採用を行ったところです。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 2点についてお答えいたします。 新年度におけるスクール・サポート・スタッフの配置についてでありますが、令和2年度当初は小学校41校に配置しておりましたが、新年度は配置校数の拡充と勤務日数の増加が重要であるとの観点から、県による直接雇用に加え、働き方改革への責任を有する市町村との調整を行った上で、雇用に要する経費の市町村への補助を制度化したところであります。 働き方改革を推進するためには、服務監督権者である市町村教育委員会による、勤務時間の上限に関する方針の策定と方針に基づいた具体的な業務改善策の実行が大切であることから、県教育委員会といたしましては、働き方改革の先進事例を紹介するなど、市町村の多忙化解消の取組を引き続き支援してまいります。 次に、大雪による登校・出勤への影響と休校の判断基準についてでありますが、1月の豪雪で、特に積雪の多かった上越・柏崎地区のほとんどの県立高校では臨時休業を前日にメールで周知しました。また、他地区では当日の出席状況や交通機関の状況などから下校時間を早めたり、登校した生徒が少数の場合、既習事項の復習などを行った高校もありました。 県立高校の場合、校長が天候や交通状況により判断することが基本でありますが、今回のように、大雪等の気象情報が発表され、公共交通機関の終日運休が決まっていたり、道路事情の極端な悪化が予測される場合には、各校長が早期に臨時休業等の判断をするよう働きかけてまいります。   〔池田千賀子君登壇〕 ◆池田千賀子君 知事、答弁ありがとうございました。3点再質問させていただきたいと思います。 まず、避難委員会の検証範囲ということなのですけれども、知事の御答弁ですと、避難委員会は論点整理の形で検証結果が出てくるということだと思います。それを関係者間でしっかりと共有して、整理された論点がきちんと克服されていくかどうかというのは、県の関与の下、その後ということになろうかと思います。 そうすると、知事の御判断というのはどこでされるのでしょうかということなのです。論点整理ということしかされない状態で、避難委員会が検証結果を出すとなると、それを御覧になって、これで安全な避難ができるなとか、できないなとかということは、私は判断できないと思うのです。 ですから、全て広域避難計画とかに反映をさせて、様々なことをやってみた後で御判断されるのかどうなのかというところはタイムラグがあると思うのです。 そこのところを、どのようにお考えになっているのでしょうかという質問の趣旨でしたので。私は避難委員会が全て、本当に安全な避難ができるなというところまで検証すべきなのではないでしょうかというのが私の考えなのですけれども、知事の御判断のタイミングとの関係で、このことをどのように考えればいいのでしょうかということを1点お聞かせいただきたいと思います。 それから、適格性を含む保安規定の審査の再考を求めるべきではないかという質問に対して、知事は、これから規制委員会が行ういろいろな検査等も見ていきたいと。しかし、東京電力の管理能力については、何らかの形で改めて評価されるべきなのではないかという御答弁だったかと思います。 つまり、東京電力の管理能力について何らかの形で評価することを原子力規制委員会、原子力規制庁に求めるということだというふうに思います。 しかし、記者会見等を拝見しますと、再審査までは言っていないのだということであったかと思います。 今回、規制当局へも非常に批判が高まっているわけですよね。今年1月になって、ようやく規制関与ありの白に、ID不正問題の取扱いを変えたわけであります。その原子力規制庁が再審査には、国会審議等でもありましたが、非常に否定的で、核物質防護の問題という主張を繰り返しているというのは、この事案を何か矮小化しているのではないかというふうに県民には見えるのだと私は思うのです。 原子力規制委員会の委員長は、これまでも審査の中で、基準にはない安全優先の姿勢とか、そういうことを東電スペシャルということで異例な対応をしてきたわけです。ですから、何で今回の事案が審査のやり直しに位置づけられないのかということも、非常に県民は不信を抱いていると私は思うのです。県民が頼ることができるのは知事なのです。知事にしっかりと言っていただきたいというのが県民の思いなのです。 昨年から、いろいろと資源エネルギー庁の訪問があったりということが報道されています。板挟みでいらっしゃるのだろうと思いますが、やはりこの問題は安全第一。県民の思いに沿って、しっかりと言っていただきたい。 ですので、質問は、東京電力の管理能力について何らかの評価をするというのは、一体何をおっしゃっているのか。これは、やはり国民が納得できる評価でなければなりませんし、安全対策の意識も含めて、対策がしっかりと担保されるものでなくてはならない。形式的なものであっては困るわけです。知事がおっしゃっている評価というのはどういうことなのかということをお伺いいたしたいと思います。 それから、もう一点です。もう一点は、県民に信を問うであります。今日御答弁をお聞きして、県民の意思の確認、信を問うことも含めとおっしゃいましたが…… ○議長(桜井甚一君) 池田千賀子君、時間が超過しておりますので、結論を急いでください。 ◆池田千賀子君(続) 信を問うのが、責任が最も明確だとおっしゃいました。 お聞きしたいのは、知事選においては、再稼働の是非については県民に信を問うとおっしゃり…… ○議長(桜井甚一君) 結論を急いでください。 ◆池田千賀子君(続) 信を問うことも含むとはおっしゃらなかった。信を問うとおっしゃった。つまり……   〔「長いよ」と呼ぶ者あり〕 ◆池田千賀子君(続) 終わります。 つまり、これは公約だと私たちは認識をしております。県民に…… ○議長(桜井甚一君) 今ほど注意いたしましたが、時間が超過しておりますので、結論を急いでください。 ◆池田千賀子君(続) 信を問うとは公約ということでよろしいのでしょうか。ぜひ公約かどうかということの御答弁を求めたいと思います。 以上です。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の再質問にお答えします。 質問の趣旨、3つ正確に理解したかどうか分かりませんけれども、まず最初の質問は、避難委員会の件であったと思います。これは、つい先ほど上杉議員にお答えしたことと重なっております。 繰り返し申し上げますけれども、現在進めていただいております避難委員会での検証は、福島第一原発事故を踏まえた、安全に避難するための課題の抽出、そして整理が検証の成果であって、その成果がまとまった時点で、委員会としては一つの区切りをつけるものだというふうに思っています。 そこで抽出された課題をどのような形で克服していくかということは、県が、国、市町村、関係機関と連携して取り組んでいくこと、まさに行政がやっていくべきことであります。それを広域避難計画に反映していく作業を繰り返し繰り返し行っていくことになると思います。 あと、東京電力がこのような事案、事態を生じさせたことについて、私が一貫して申し上げているのは、東京電力の、まさに適格に運転する技術的能力を有するという判断を規制委員会は既にされているわけですけれども、その後で起きた事案ですよねと。保安規定の認可ということがされた後で分かった事案ですよねと。これは、明らかに東京電力の適格に運転する技術的能力があるかないかと関連すると思っています。 管理能力があるのかないのかというところに大きく関わる基本的な問題だというふうに思っております。ただ、そのやり方、どういうふうに評価するのか、仕方、手続については、それは原子力規制委員会が適切な判断をする、お考えになることだと思いますけれども、何らかの形で、東京電力の能力というものをしっかり再評価してもらいたいというふうに思っています。 あとは、再稼働に関する県民の意思を確認する方法については、何度も申し上げているとおりでありまして、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で決めているものはありません。ただ、私は信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法であると考えています。   〔池田千賀子君登壇〕 ◆池田千賀子君 申し訳ありませんが、再々質問させていただきたいと思います。 途中までは認識が一致していると思うのです。東京電力の能力がどうなのかというのはもう一回確認しなければいけない。私もそのとおりだと思います。 知事がおっしゃっているのは、それを原子力規制委員会に投げますよといいますか、あとは原子力規制委員会でやっていただくことですということだったと思うのですが、その中身が、やはり原子力規制委員会、原子力規制庁が今までこの問題を取り扱ってきた姿勢からすると、心もとないと思うわけです。 ですので、知事の不安が改善されるように、担保されるように、きちんと言っていただきたい。私たち県民は、それは審査のやり直しではないかと、こう思っているわけですが、審査のやり直しまではきっとお求めにならないということだと思うので、本当に担保される形で言っていただきたいということなのです。 それから、端的に答えていただけばいいのですけれども、県民に信を問うですが、これは、さきの知事選の公約という理解でよろしいのですよね。 この2点、もう一回お願いします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の再々質問にお答えしますが、再審査までを求めていないと言っているのではなくて、どういうやり方で評価をするか、その適切なやり方は原子力規制委員会が考えるべきことですと言っているわけです。 それから、県民の意思を確認する方法については、何度も申し上げていますが、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で決めているものはありません。ただ、私は信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法であると考えています。 ○議長(桜井甚一君) 池田千賀子君の質問は終わりました。 次に、重川隆広君の発言を許します。重川隆広君。   〔重川隆広君登壇〕(拍手) ◆重川隆広君 リベラル新潟の重川隆広です。一般質問を行います。 最初に、財政悪化の原因と財政健全化に向けての取組について伺います。 県は、新潟県行財政改革行動計画を令和元年10月に発表しました。以降、計画に基づき財政健全化に向けての取組を進めていると承知をしています。 また、歳出予算に占める公債費の割合を適正な規模とするため、公債費負担適正化計画を令和2年3月に策定し、公債費負担の目標や県債発行ルールを決め、公債費適正管理に向けた取組も進めています。 一方、財政悪化の要因について、県は、平成18年改訂から平成29年改訂までの12年間の財政運営計画において、経済成長率等を高く用いた収支見通しによる、県税収入を大きく伸びると見込んでいた予算時と決算時の経済成長率乖離を挙げています。 また、財政状況の悪化は近年まで見通していなかった。さらに、今日の危機的状況に至った責任は、結果として、的確でない見通しを前提に財政運営を行ってきた県にあり、そのことをしっかりと反省し、教訓として、持続可能な財政運営に向けた今後の取組に生かしていきますとしていますが、企業経営者から見れば、にわかに信じ難い説明だと思います。 企業は月次決算を行い、年度途中でも見通しが違えば、その都度対策を講じますし、1年ごとの決算時の収支見通しが違っていたら徹底的に要因を分析し、時には担当者の処遇も含め厳しく検証を行います。 12年間の長きにわたる県税収入の過大見積りや財政状況の悪化を近年まで見通していなかったとすることに疑問を禁じ得ませんが、なぜ本県が急激に財政悪化に至ったのかを、総務省から公表されています、47都道府県の平成20年から令和元年までの12年間の健全化比率から、実質公債費比率と将来負担比率の2つの指標に着目し、グラフを作成。本県と他の都道府県との比較の中で見えてきた本県財政運営の傾向から質問を行ってまいります。 平成20年度から令和元年度に向かって、本県の実質公債費比率は47都道府県中40位から46位に悪化しました。将来負担比率も42位から45位に順位を落とし、兵庫県、北海道と並び、財政の悪い都道府県ワーストスリーの仲間入りをしています。 将来負担比率の12年間のグラフを見ますと、本県以外のほとんどの都道府県は、交付税措置率の一部が45%から30%に減少する平成22年度から数値を改善、全国平均で46.4%の数値改善を行っています。特に、42位の本県の前後に位置していました宮城県、大阪府、茨城県、岩手県の4県は平均で104%もの改善を行っています。 一方、本県は、逆に比率を45.7%も悪化させ、今後実質的に支払う借金、負債の合計額も1,459億円増やし、1兆4,315億円に増加をさせています。 両指標の推移をしっかりと認識していれば、正しい危機意識が生まれ、早い段階で財政健全化に向けた取組ができたと考えます。 県は、両指標の推移を分析してこなかったのか、それとも分析はしていたが、問題を放置してきたのか、これまでの経緯について伺います。 次に、県民への財政問題理解促進への取組について伺います。 財政健全化に向けた行財政改革行動計画の着実な実行には、県財政に対する県民の正確な理解と協力が必要であると考えますが、県民の多くは、県の財政は厳しいと聞いているが、その内容と程度は知らないとの受け止めが圧倒的多数ではないでしょうか。 知事は答弁として、より一層の理解が得られるよう取り組みたいとしています。 実質公債費比率や将来負担比率、加えて全国順位は県民の目からも分かりやすい指標と考えます。年度ごとのこれまでの推移や今後の目標等を示してはどうかと考えますが、見解を伺います。 また、県が行っている県民理解の促進に向けた今年度の具体の取組と、今後の取組の方向性についても併せて伺います。 次に、知事は、財政悪化を招いた原因や要因の究明、経緯の確認について、重要であり、再び繰り返さないためにも必要との見解を示しています。その上で、結果として当時の県の判断が的確ではなく、判断を行った組織としての県が結果責任を負うと答弁しています。 そこで、伺いますが、結果責任を負うべき組織としての県とは、具体に何を指すのか、誰を指すのか。あわせて、判断の誤りの原因を特定しない限り、将来への確かな教訓にならないと考えますが、当時の県組織の中の、誰のどの判断に問題があったと究明しているのか伺います。 次に、本県の持続的発展に向けては、次の世代に負の遺産を残さないことが大変重要であると考えます。 知事や財政当局が短期的・中期的な実質公債費比率を重視する点は理解をしていますが、次の世代に負担を残さないという観点からは将来負担比率の抑制をより重視すべきであると考えますが、県の見解を伺います。 また、県は、的確ではない見通しを前提に、結果として身の丈に合わない歳出を繰り返し、将来負担を増加させてきましたが、身の丈を超えた部分はどこに支出され、何が作られたのか、それは県民が納得できる効果の高い賢い支出であったのか、県の見解を伺います。 次に、行財政改革行動計画の趣旨に賛同する県を退職した職員からの寄附は、本年度4月から7月末の4か月間で220件、1,069万7,241円でありました。9月定例会において知事は、感謝の意を表明しましたが、件数と金額の受け止めについては答弁にありませんでした。寄附額等は、知事や議会も含めた県の取組に対する評価や期待が高ければ、これ以上の結果が出たのではないかと私は受け止めています。 県退職職員の寄附の件数と金額に対する所見について、改めて知事に伺います。 次に、中期財政見通しについて伺います。 知事は9月定例会で、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化すると見込まれることや、国の地方財政措置の状況等を見定める必要があることから、12月に地方財政対策が公表された後、直近の経済状況を踏まえ再算定し、改めて示すとの答弁でありました。 令和7年度の財源対策的基金残高について、再算定の結果とそれに対する対応について伺います。 次に、令和3年度当初予算の県税収入等について伺います。 県は、前年度当初予算比4.6%減の2,524億円を計上していますが、税収悪化の具体の内容と今後の対応について伺います。 また、9月定例会時点で、今年度の県税収入について、県は、コロナ禍により当初予算から約200億円の減収を見込んでいましたが、現在の減収見込額について伺うとともに、9月定例会時点の減収見込額との乖離がある場合、その要因分析と対応について伺います。 次に、令和3年度当初予算編成案の最終調整に際し、知事は、有利な財源を活用しながら切れ目のない予算編成を行いたいとのコメントを発表しましたが、有利な財源という甘い誘惑に惑わされて不急の事業を予算化することがあってはなりません。事業のさらなる選択や集中を徹底すべきと考えます。 財政健全化に向けては、過去の県債発行の積み重ねが今日の財政悪化を招いたことを反省し、有利な財源を活用しての投資事業を含む実質的な県負担を抑制すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、柏崎刈羽原子力発電所再稼働問題について伺います。 柏崎刈羽原子力発電所について、東京電力の発電所員が他人のIDで中央制御室に入ったり、完了したと説明していた安全対策工事が完了していなかったなど、東京電力の原子力発電所を運転する事業者としての適格性が疑われる事案が相次ぎ発生しています。 知事も定例記者会見で、全体に対する信頼感を失いかねないような事態であり、非常に不信感があると発言しています。 東京電力に対する現在の知事の評価を伺います。 去る1月22日、3年ぶりに新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会が開催されました。報道によれば、複数の委員より県民から意見聴取する機会を持ちたいとの意見が上がったほか、池内委員長が3年もの間会合が開かれないことなど、3つの検証についての運営をめぐる県の対応に不満を訴えたとのことであります。 今後、3つの検証をどのように進めていくのか、県民からの意見聴取や具体のスケジュールを含め、伺います。 あわせて、技術委員会の再任希望者は、議論の継続性からも再任し、しっかりと柏崎刈羽原発の安全対策の確認をすべきと考えますが、見解を伺います。 去る1月26日、冬場の事故を想定した原子力防災訓練が、避難準備区域、UPZにある集落で実施されましたが、即時避難区域、PAZの住民からは大雪の中で事故が起きたら逃げられないと悲観する声も上がり、現行の避難計画の実効性が問われる内容となったと報じられています。 今回の訓練をどのように評価し、今後、避難計画の実効性をどのように高めていく方針か伺います。 次に、柏崎刈羽原子力発電所再稼働について、過去の知事発言について伺います。 さきの知事選告示日前日、2018年5月23日の主要紙朝刊は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、知事が県民の気持ちを酌み取って一定の結論を出し、職を賭して信を問いたい、一定の結論を出した上で職を賭して県民に信を問いたいなどと述べたと報じています。この発言に基づいて知事に投票した人も多くいると考えます。 知事は御自身の言葉を大事にし、守る方だと信じていますが、知事のお考えは、この新聞報道のとおりであり、微動だにしていないと考えていますが、よろしいでしょうか、お伺いをいたします。 ちなみに、産経新聞は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非について、自らの判断を県民に問う知事選を改めて行う考えを明らかにした。市長勝手連の会合で表明。3つの検証の結果が出た後(任期途中であっても)職を賭して県民に信を問いたいと話した。会合後、花角氏は記者会見し、同原発再稼働について(検証結果を)しっかり説明した上で県民の気持ちを酌み取って一定の結論を出し、職を賭して県民に信を問いたいと話した。ほか、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞も同様の内容であります。 新潟日報には、(検証後に)一定の結論を出して信を問う覚悟がある。そうでないと県民の納得を得られないと話した。任期途中でも職を賭すのかと問われ、そうだと答えた。市長勝手連を呼びかけた篠田新潟市長は、これ以上重い言葉はない。最大限に支持すると強調。 また、当選後の同紙は、6月12日の就任記者会見での知事の発言として、①県独自の検証作業を進める。検証の仕組みは変えない。②2年から4年でまとまる検証結果を踏まえ、リーダーとして結論を出す。③私の結論に納得してもらえるか信を問う。4年後の知事選か、検証が任期途中で終了した場合は職を賭すこともあり得る。④結果的に、今在任期間中に原発は動かない。と花角新知事の柏崎刈羽原発をめぐる発言ポイントとして紹介をしています。 次に、本県の自然環境と災害防止について伺います。 本県では、気候変動の影響により風水害、暑熱、雪害、農業被害などが顕在化している中、豊かな自然環境を未来につなぐため、新潟県環境基本計画や関連計画であります新潟県地球温暖化対策地域推進計画等の見直しを行っています。地球規模の課題に対し、本県の取組効果は限定的ではありますが、県民の環境に対する関心を醸成することは大切なことだと思います。 地球温暖化に対する県の認識を伺うとともに、基本計画等見直しの方針について伺います。 次に、新潟県地球温暖化対策地域推進計画の見直しでは、2050年に温室効果ガス実質ゼロの脱炭素社会を目指して取り組むことが盛り込まれていますが、国際的な取決めに基づく国の目標や関連法との整合性について伺います。 また、主要排出国であります米国や中国などの脱炭素の動きや、国のグリーン成長戦略として2兆円の基金を設置し、長期にわたる技術の開発実証を支援する取組などについて、県はどのように認識をしているのか伺います。 次に、同計画では、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で26%削減し、2,176万トンとすることを目標としていますが、2018年度の排出量は2,659万トンであり、2030年度までの12年間に約480万トンの削減が必要となります。目標達成に向けてどのような方針で取り組むのか伺います。 次に、同計画では、県が特に重点的に取り組む施策をリーディングプロジェクトと位置づけ推進しています。2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの脱炭素社会の実現に向けては、これまでの取組のさらなる強化や新たな取組が必要と考えますが、今年度の計画見直しを踏まえ、新リーディングプロジェクトを具体的にどのように展開するのか伺います。 次に、新潟県カーボン・オフセット制度について伺います。 同制度は、森林整備に寄与し、二酸化炭素吸収を通じた地球温暖化の緩和に有効な対策であることから、今後さらに強力に推進すべきと考えます。新潟県カーボン・オフセット制度の現状と今後の取組方針について伺います。 次に、新潟米について伺います。 新潟県気候変動適応に関する研究会は、気候変動による各分野・項目への影響について、近年の状況や将来予測を基に重要度を分類し、最も重要度が高いものの一つに水稲、主食用米を挙げ、地球温暖化が進行した場合でも引き続き、トップブランドである新潟米の食味・品質の維持に取り組む必要があると提言をしました。 新潟米がトップブランドの地位を維持するために、本県としてどのように対策に取り組む方針なのか伺います。 また、同研究会は、農作業中の熱中症対策と併せ、作業の安全性向上の観点からもスマート農業の実践に向けた取組を提言しています。ドローンなどを利用するスマート農業は、これまでの、きつい・汚い・危険の3Kを覆し、稼げる・かっこいい・感動するの新3K農業実現にもつながり、新たな後継者確保にも寄与すると期待をされています。 新年度、県はスマート農業の導入をどのように促進する方針か、所見を伺います。 同研究会は、水害を最も重要度が高いものの一つに挙げ、防災・減災対策をハード・ソフト両面にわたって一層強化する必要があると提言しました。 県内には、信濃川、阿賀野川という大河川が流れ、新潟市を中心にゼロメートル地帯と呼ばれる低平地が広がっています。 また、国内に大雨をもたらし、甚大な被害が生じた令和元年東日本台風では、信濃川上流の長野市長沼地区で千曲川の堤防が決壊したほか、広域にわたり堤防の越水氾濫や内水氾濫による家屋の浸水など甚大な被害が発生しました。 本県の大河津分水路については、堤防からの越水氾濫はなかったものの、計画高水位を超過し、観測史上最高水位となる17.06メートルを観測しました。新潟県の治水上、極めて重要となります大河津分水路改修工事の現在の進捗状況と今後の予定について伺います。 最後に、林業について2問伺います。 県は、素材生産量について、令和2年度に20万立米、令和6年度に25万立米の目標を掲げていますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、住宅着工戸数の減少等から木材需要が減少していると仄聞をしています。 新型コロナウイルスが県産木材生産に対し、どのような影響を与えているのか伺います。 あわせて、今後の素材生産拡大の目標達成に向けての取組方針について伺います。 令和2年9月定例会において、知事は、農林公社分収林事業の諸課題への取組状況について、計画で定めた目標に達成していない取組があり、これまでの取組手法等を分析し、改善策を検討しているとの答弁でありました。 改善策の検討状況について伺います。 また、県として、どのように改善策の実行を支援していく方針なのか、併せて伺います。 以上で質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 重川議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、財政悪化の責任についてでありますが、これまでお答えしてきたとおり、当時の判断としては、国の経済対策等の施策とも連動し、県の施策が最大限効果を発揮すれば、景気が浮揚し成長が実現できるものとして、毎年国が発表する、中長期の経済財政に関する試算における経済再生ケースの経済成長率等を参考に見込んできたものと認識しています。 このような見通しは、結果として適切ではなかったと考えており、2018年2月の財政運営計画改訂時から、経済成長率等の見通しの方法を、国のベースラインケースを参考に国と本県との実績の乖離などを反映したより堅実なものに変更しております。 今日の危機的な状況に至った責任は、結果として的確でない見通しを前提に財政運営を行ってきた県にあり、そのことをしっかりと反省し、教訓として、持続可能な財政運営に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県を退職した職員からの寄附についてでありますが、多くの方々から御寄附をいただいたことは、本当にありがたく、改めて感謝しているところです。 このたびの寄附は、金額も含めて任意で御協力をお願いしたものであり、その件数や金額について評価することは適当ではないと考えています。 次に、中期財政収支見通しにおける財源対策的基金残高についてでありますが、今回改訂した中期財政収支見通しでは、令和4年度以降も地方一般財源総額の実質同水準ルールにより、基本的に税収減については地方交付税等によって措置されることを前提に試算しております。 その結果、令和7年度時点において、大規模災害時に備えた財源対策的基金の残高は230億円、また、県債管理基金の公債費調整分の残高は187億円が確保される見込みであり、中長期的に安定した財政運営の実現に向けて、一定程度の進捗が図られたところです。 しかしながら、令和13年度には公債費の実負担額がさらに100億円程度増加することが見込まれていることから、中長期的な視点で、引き続きさらなる歳出歳入改革に取り組んでまいります。 次に、有利な財源を活用した実質的な県負担の抑制についてでありますが、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策については、国から交付される新型コロナウイルス関連交付金等を最大限活用するとともに、これまでの歳入歳出改革の取組により、令和3年度当初予算案の収支では、前年度に比べ35億円、令和元年度との比較で164億円の収支改善が図られたところです。 また、投資的経費については、近年、自然災害が頻発化・激甚化する中、広い県土と長大な河川を有する本県では、県民の生命や財産を守るために必要な防災・減災対策事業を確実に進めていく必要があります。 その中で、国の5か年加速化対策等の有利な財源の活用により、公債費負担適正化計画を守る中で、公債費の実負担額を前年度比で10%減少させた上で、必要な事業量を確保したところです。 今後も、まずは県としての歳出歳入改革の取組を着実に進めるとともに、国の交付金や地方財政措置等を有効に活用することにより、安定した財政基盤の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、柏崎刈羽原子力発電所再稼働問題についてお答えいたします。 まず、東京電力に対する評価についてでありますが、今般のIDカード不正使用等の一連の不祥事は、柏崎刈羽原子力発電所全体に対する信頼を失いかねない事態であると受け止めています。 東京電力には、しっかりと対応いただき、行動と実績で示していただきたいと考えております。 次に、冬季避難訓練の評価と避難計画の実効性の向上についてでありますが、今回の訓練では、原子力災害時の対応力の向上を図るため、積雪時に車両が道路を通れない状況を想定し、孤立した住民をヘリコプターや雪上車等により救出する訓練を関係機関が連携して実施し、関係者間の連携の手順や段取り等は理解が深まったと考えております。 県といたしましては、国、市町村、関係機関と連携をし、条件を変えながら、様々な想定により訓練を繰り返し、訓練の中で明らかになった課題の解決に取り組み、その結果を適宜避難計画に反映することによって、その実効性を高めてまいりたいと考えております。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働問題についてでありますが、3つの検証の結果について、広く県民の皆さんと情報共有するとともに、評価を頂き、その上で、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆さんにお示しします。そして、その結論を受け入れていただけるかどうかについて、県民に信を問うことも含め、県民の皆様の意思を確認するプロセスが必要であるという、知事就任当初からの考えに変更はございません。 なお、県民の意思を確認する方法については、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で決めているわけではありませんけれども、私は信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法であると考えています。 次に、本県の自然環境と災害防止についてお答えします。 まず、地球温暖化の現状に対する認識と、県環境基本計画等の見直しの方針についてでありますが、近年、風水害、雪害、暑熱、農業被害など気候変動が本県にもたらす影響はより一層顕在化し、もはや非常事態というべき状況にあると考えております。 こうした認識の下、環境基本計画やその関連計画の見直しにおいては、将来の世代に安全で快適な環境を継承できるよう、中長期的な視点で、気候変動の影響に適応するための対策を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入促進や省エネ・省資源の取組強化等により、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の構築を目指してまいります。 次に、県地球温暖化対策地域推進計画の目標達成に向けた取組方針についてでありますが、目標の達成に向け、県が重点的に取り組む施策をリーディングプロジェクトと位置づけ、削減目標の1割削減を目指すとともに、これを牽引力として、県民、事業者の実践行動の拡大を図ってまいります。 また、昨年9月に県として表明した温室効果ガス排出量実質ゼロに向けて、新年度には、本県の特性や課題等を踏まえ、関係者と合意形成を図りながら、産業や家庭など部門ごとの具体的な戦略を検討してまいります。 あわせて、再生可能・次世代エネルギーの利活用を加速していくとともに、脱炭素化技術のイノベーションや省エネ・省資源の促進にも取り組んでまいります。 次に、気候変動に対応した新潟米のトップブランドの維持についてでありますが、近年異常気象が常態化しつつある中、トップブランドとしての食味・品質を維持するためには、栽培技術の見直しなど喫緊の課題と、高温耐性品種の開発など長期的な課題の双方に取り組んでいく必要があると考えております。 県といたしましては、昨年夏の度重なるフェーン現象に対し、土作りや水管理などに関係機関と農業者が緊密に連携して取り組んだことで一定の成果が上がったように、単なる技術指導ではなく、関係機関と連携した着実な対応を図ってまいりたいと考えております。 また、高温耐性品種の開発については、国や他の研究機関、大学等と連携をし、官学相互に研究協力や情報提供を行いながら、着実に研究を進めてまいります。 次に、スマート農業の導入促進についてでありますが、スマート農業は、労働力不足や高齢化、技術の継承、安全性向上といった現在直面している課題を克服するとともに、AIを活用しこれまでできなかった栽培管理も可能とするなど画期的な技術であると認識しております。 一方で、スマート農業は導入する農家にとっては資金的、技術的な負担も大きく、それぞれの農家が経営全体の効率化や所得向上につなげていく最適な形で導入していくことが重要であると考えています。 このため県といたしましては、各地域振興局の普及指導員が個々の農家の状況に応じ伴走型の相談・支援を丁寧に行いながら、コスト低減につながる共同利用を推進するなど、スマート農業の効果的な導入を支援してまいります。 次に、林業についてお答えいたします。 農林公社が行う分収林事業の改善策実行への県の支援方針についてでありますが、今年度、県では、分収林事業におけるこれまでの取組手法等を農林公社と共に分析し、課題となっている利用間伐の収支改善に向けて、外部専門家を交えた検討会において改善策を取りまとめ、昨年11月に農林公社に提言いたしました。 県といたしましては、農林公社による改善策の実行状況をしっかりと把握し、その過程で明らかになった課題について、農林公社と共に解決に取り組み、一層の改善が図られるよう支援してまいりたいと考えております。 なお、具体的な改善策の検討状況については、農林水産部長からお答えいたします。   〔総務管理部長笠鳥公一君登壇〕 ◎総務管理部長(笠鳥公一君) 4点についてお答えをいたします。 実質公債費比率及び将来負担比率の推移についてでありますが、公債費に対する交付税措置の減少に伴い、両指標に悪化の傾向が見られたものの、平成29年2月の財政運営計画改訂時まで、高い成長率を前提として試算した県税収入等の伸びが大きかったことなどから、大きな問題としては認識しておりませんでした。 その後、厳しい財政状況の見通しとなったことを踏まえ、行財政改革行動計画を策定し歳出歳入改革に取り組んでいるところですが、公債費の実負担は今後も増加し、財政状況を圧迫する見通しであることから、両指標の将来的な推移を一定の前提の下、試算してお示ししているところです。 今後も、毎年度最新の経済指標等を反映して見直し、それを踏まえて中長期的な財政運営の安定化を図るための取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、実質公債費比率及び将来負担比率の目標と県民理解の促進に向けた取組についてでありますが、両指標ともに決算に基づく算定結果を公表してきたところですが、昨年3月に策定した公債費負担適正化計画から、将来の見通しもお示ししており、実質公債費比率については、令和20年度に18%以下とする目標を定め、公債費負担の適正化に向けて取り組んでいるところです。 なお、県民の皆様から行財政改革に対する理解と協力が得られるよう、今年度は12地域振興局で行財政改革県民説明会を開催し、この両指標についても説明してきたところです。 引き続き、毎年度、両指標の将来推計を更新し、県民の皆様へ分かりやすくお示しするよう努めてまいります。 次に、将来負担比率の抑制と将来負担を増加させた歳出面の要因についてでありますが、実質公債費比率は、毎年度の公債費の実負担額等の大きさを表したフロー指標であるのに対し、将来負担比率は、毎年度の公債費の実負担額等を将来にわたって積み重ねたストック指標であることから、公債費負担適正化計画により実質公債費比率の目標値を定めて公債費の実負担を抑えていくことは、結果的に将来負担比率を抑制することにもつながると考えております。 将来負担の増加につながった歳出面の要因としては、本県が他県に比べ広い県土であり、長い河川、道路延長等の地理的な特徴を有することや、相次ぐ大規模災害に見舞われたことなどもあり、県民の安全・安心を守る見地から必要な防災・減災対策に取り組んできたことによるものと認識しております。 次に、県税収入の減収見込額についてでありますが、まず、令和2年度、本年度でございますが、リーマンショック時の落ち込み等を踏まえ見込んでいた9月定例会時点の試算以降、法人二税や地方消費税の税収実績が底堅く推移したことや、株式等譲渡所得に係る個人県民税が大幅に増収となったことなどにより、約110億円程度持ち直すことができるのではないかと見込んでおります。 減収が見込まれる部分については、本県などが国に要望して実現した、地方消費税等に係る減収補填債を発行するなどにより対応したいと考えております。 次に、令和3年度につきましては、新型コロナウイルス感染拡大による企業収益の減少の影響が税収により顕著に現れることが見込まれることから法人二税等が減収となり、令和2年度の現在の税収見込額からさらに悪化するものと見込んでおります。 この減収は全国的なものであり、基本的には地方一般財源総額の実質同水準ルールにより、地方交付税等によって措置されるものと見込んでおります。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) 3点についてお答えいたします。 本県の目指す脱炭素社会への取組と国等との整合性及び世界各国の動きについてでありますが、本県が2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことは、世界の気温上昇を1.5度Cに抑えることを掲げたパリ協定等を踏まえ、国が目標として2050年実質ゼロを目指すこと並びに地球温暖化対策推進法の改正案と整合しており、国や世界の取組と歩調を合わせたものとなっております。 なお、温室効果ガス排出量世界第2位のアメリカでは、バイデン大統領が2050年までに実質ゼロを目指すと表明しており、さらに排出量世界第1位の中国では、2060年に実質ゼロを目指すとしているなど、パリ協定の下、世界各国でも温暖化対策の強化が進んでいると認識しております。 次に、新年度のリーディングプロジェクトの具体的な展開についてでありますが、まずは、温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた取組を加速・推進するため、具体的な戦略を関係者と共に検討してまいります。 また、新たに、県内事業者等が行う脱炭素化の研究開発を支援するなど、イノベーションの促進や、洋上風力発電等の再生可能エネルギーの導入、水素等の次世代エネルギーの利活用の促進に取り組んでまいります。 加えて、事業者等による脱炭素に資する設備整備等の支援のほか、県民の各層に応じた温暖化対策の広報や、省エネ家電への買換え・住宅の高断熱改修などについての普及啓発を行い、様々な主体による省エネ・省資源の取組を拡充・強化してまいります。 さらに、新潟県カーボン・オフセット制度など、吸収源対策にも一層取り組んでまいります。 次に、新潟県カーボン・オフセット制度の現状と今後の取組方針についてでありますが、現在、県内6地域で、約700ヘクタールの森林管理プロジェクトが登録されており、これまでに約1万3,000トンのCO2クレジットが県内外の200を超える企業等に販売され、その販売代金は、森林の間伐等の費用に充てられています。 また、クレジットを購入した企業から、カーボン・オフセットされた環境に優しい商品が販売され、県民の皆様の目に触れる機会が増えているほか、企業のイメージアップにもつながっているものと考えております。 県といたしましては、今後とも森林管理プロジェクトやクレジットの販売・活用等の拡大に努め、経済活動と森林吸収源対策を両立させた地球温暖化対策を推進してまいります。   〔防災局長熊倉健君登壇〕 ◎防災局長(熊倉健君) お答えいたします。 3つの検証の今後の進め方と技術委員会委員の選任についてでありますが、3つの検証は、期限を区切ることなく議論を尽くしていただきたいと考えており、検証総括委員会は、各個別の検証委員会の報告書が取りまとめられる都度開催したいと考えております。 県民の皆様との情報共有や意見の聴取につきましては、各分野の専門家が事実に基づき科学的、合理的に行っている検証作業の途中ではなく、検証総括委員会で検証結果が取りまとめられた後に行いたいと思います。なお、検証結果が出ていない中で、実施時期を見通すことはできません。 また、技術委員会委員の選任についてでありますが、技術委員会は柏崎刈羽原子力発電所の安全管理・安全の確認のために平成15年に設けた委員会であり、各分野の専門家に最新の知見に基づき、客観的、科学的に議論していただいており、これまでも適宜、多くの委員が交代してきているところでございます。 平成23年の福島原発事故発生を受け、県から技術委員会に対し、臨時的に福島原発事故原因の検証を依頼したことから、この検証作業が行われている間は、県の要綱にある例外規定を適用し、委員を再任してまいりました。 今回の委員選任は、昨年10月に福島原発事故原因の検証報告書が取りまとめられたことを受け、県の要綱を踏まえて行いたいと考えております。   〔農林水産部長山田治之君登壇〕 ◎農林水産部長(山田治之君) 2点についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の県産材生産に対する影響と今後の素材生産拡大の目標達成に向けた取組方針についてでありますが、令和2年4月から12月における本県の木造住宅着工戸数は、昨年同時期に比べて14%減少し、住宅建築用材の需要が落ち込んでおり、林業事業体においては、切捨て間伐作業や価格の安いバイオマス燃料材の生産に切り替えるなど、県産材生産への影響が出ており、対応に苦慮しておられます。 また、県全体の素材生産量は、中間年度として設定した令和2年度20万立方メートルの生産目標は昨年度に達成できたものの、今年度は昨年度に比べて1割以上減少する見込みであり、目標達成は難しい状況であると認識しております。 このため、単に素材生産量を高めるのではなく、林業関係者の所得向上につながる住宅建築用材の生産拡大に向け、引き続き生産性の向上や安定供給につながる取組を支援することに加え、県民の皆様から県産材を選んでいただけるよう、様々な観点から理解促進に取り組み、需要の拡大を推進してまいりたいと考えております。 なお、現在、森林・林業の基本戦略を検討する中で、川上・川中・川下の関係者や環境・教育等の団体の皆様から、県産材の生産・利用促進についても様々な意見を頂いております。これらの意見を踏まえ、今後、戦略を策定し、素材生産拡大に向けた取組を進めてまいります。 次に、農林公社分収林事業に係る改善策の検討状況についてでありますが、今年度、県では、農林公社と共に外部専門家を交えた検討会を開催し、分収林事業の改善策の検討を行ってまいりました。 その結果、特に利用間伐の収支改善が必要であるとして、施業や出荷などを個々に行うだけでなく、周辺の森林経営者と共同化し、スケールメリットを発揮すること、大型トラックでの直送により、木材の運搬コストを低減することなどの改善策を取りまとめ、農林公社に提言いたしました。 農林公社では、雪解け後の施業開始に向け、改善策の実行を準備しているところであり、施業後には収支改善の効果を評価して、さらなる改善につなげていくこととしております。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) お答えいたします。 大河津分水路の進捗状況についてでありますが、平成27年度に着手した大河津分水路改修事業の令和3年1月末時点における主要工種の進捗状況は、山地部や低水路の掘削工事については、契約済工事を含め総土量に対し11%、野積橋架け替えについては、橋台が1基、橋脚が全4基中2基完成しております。 また、第二床固改築工事については、ケーソン全9函中、1函の設置が完了し、2函は今年度中に大河津分水路河口から設置箇所への移動が完了する見込みであります。 なお、国からは、現計画に基づき令和14年度の完成に向け着実に事業進捗していると聞いております。 ○議長(桜井甚一君) 重川隆広君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) お諮りいたします。 議案調査のため、明3月2日は本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(桜井甚一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) お諮りいたします。 次会は、3月3日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(桜井甚一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時20分散会...